
メル美花街(かがい)って、京都の祇園や金沢のひがし茶屋街のイメージだけど、新潟にもあるの?

プレ男「古町花街」っていって、いまも芸妓さんがいるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 「色街の歴史」、今回は新潟市の古町花街(ふるまちかがい)です。新潟市の『新潟市民文化遺産ガイドブック』(中央区の巻)、新潟県の文化財の資料、新潟市が持つ「旧齋藤家別邸」の公式サイトで確かめました。花街は、芸妓が芸でお客をもてなす町です。京都の花街は京都の「五花街」、金沢はひがし茶屋街で紹介しています。
新潟市の「市民文化遺産」
- 新潟市には、地域の文化的な遺産を市が認定する「新潟市民文化遺産」の制度があります。平成25年度に159件、26年度に42件、27年度に17件が認定され、市はそれをまとめたガイドブックを発行しました
- 古町花街は、その中の有形文化遺産のひとつです。場所は中央区古町通8〜9番町周辺、ガイドブックにのせた団体は「古町花街の会」です
明治に生まれ、震災・火災を免れた町
市のガイドブックは、古町花街をこう紹介しています。
- 港町新潟の貴重な文化遺産である古町芸妓の活躍の場
- 明治期に近代花街として形成された
- 震災や火災でも大きな被害を免れたため、戦前からの歴史的な料亭建築、置屋建築などが多数残っている
- 全国の花街が衰退あるいは消滅する中で、戦前からの町並みが残る現役の花街としては、京都・金沢に次ぐもの
「茶屋」の京都・金沢、「料亭」の古町
- ガイドブックはさらに、京都・金沢が「茶屋」の花街であるのに対し、古町は「料亭」の伝統的花街として、全国でも最もよく残されていると書いています
- 市は、新潟が全国、世界に誇る遺産として、今後も保存・整備をはかる必要がある、としています
- 古町花街の会は、毎年「にいがた美しいまちなみフォーラム」「古町柳と華の会」「華つなぐ道発表会」を開いています(ガイドブック掲載時点)

メル美同じ花街でも、「茶屋」の町と「料亭」の町があるんだ。
芸妓の舞は「市山流」
- 古町芸妓を指導しているのは、日本舞踊の市山流です。市のガイドブックによると、市山流の家元の住居兼稽古場も、古町花街の中にあり、市山流は新潟市の無形文化財です
- 新潟県の資料によると、市山流は、18世紀半ばごろ、市山七十郎(いちやましちじゅうろう)が振付師として一流を興したのが始まりです
- 幕末ごろ、3代目が新潟を訪れ、のちに4代目となる市山七十世(いちやまなそよ)に舞の指南をしました。3代目が長野で亡くなると、七十世は新潟の永楽座で一周忌の舞踊公演を開いています
- 4代目の七十世からあと、市山流は新潟を拠点に、女性の舞踊家によって受けつがれてきました
- 令和5年(2023年)7月21日、国の文化審議会は、「日本舞踊」を重要無形文化財に指定し、日本舞踊保存会の会員56名を保持者として認定するよう答申しました。その中に、市山流の7代目宗家・市山七十郎(いちやまなそろう)さんが含まれています
明治の名妓が晩年をすごした家
- 市のガイドブックには、花街にゆかりのある建物も出てきます。中央区西堀前通1番町の「くらおり」は、明治43年(1910年)に蔵つきの住宅として建てられた建物です
- 明治期の新潟で名妓とうたわれた芸妓「庄内屋しん」が、ここで晩年をすごしました
- かつて西堀という堀が流れていた場所で、ガイドブックは、当時を感じさせる室内のしつらえが「花街が栄えた新潟の風情」をいまに伝えている、と紹介しています。いまはギャラリーと喫茶として使われています
港町の豪商の別荘
- 港町新潟の繁栄を伝える建物に、旧齋藤家別邸(中央区西大畑町)があります。豪商・齋藤家の4代齋藤喜十郎が、大正7年(1918年)に別荘として造りました
- 齋藤家は、清酒の問屋から事業を広げ、明治に入ると北前船の経営に本格的に取り組み、新潟の三大財閥のひとつに数えられた家です
- 戦後は進駐軍の接収をへて、昭和28年(1953年)から加賀田家の住まいに。解体の心配が出た平成17年(2005年)から市民の保存運動が起こり、26,379名分の署名などを受けて、平成21年(2009年)に新潟市が買いとりました

新潟市のガイドブックは、京都・金沢が茶屋の花街であるのに対し、古町は料亭の伝統的花街として全国でも最もよく残されている、と紹介しています。
まとめ
- 古町花街は、新潟市中央区古町通8〜9番町周辺の花街で、新潟市民文化遺産
- 明治期に近代花街として形成され、震災や火災を免れて、戦前の料亭・置屋の建物が多く残る
- 京都・金沢が「茶屋」の花街なら、古町は「料亭」の伝統的花街。市は「全国でも最も良く残されている」と紹介している
- 古町芸妓を指導する市山流は、18世紀半ばに始まり、幕末から新潟で女性の舞踊家が受けついできた
- 花街の歴史は、京都の「五花街」、金沢「ひがし茶屋街」、長崎・丸山もどうぞ
参考文献
- 新潟市. 新潟市民文化遺産ガイドブック 中央区(古町花街、くらおり). https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/shinko/bunkashigen/bunkaisannintei2.files/tyuuouku.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 新潟市. 新潟市民文化遺産の認定について. https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/shinko/bunkashigen/bunkaisannintei2.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 新潟県. 重要無形文化財の指定及び保持者の認定に関する答申が出されました(日本舞踊、市山七十郎氏). https://www.pref.niigata.lg.jp/site/bunka/mukeibunkazai230721.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 旧齋藤家別邸. 来歴. https://saitouke.jp/about/raireki/ (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。