男性更年期のチェック表(AMSスコア)だけでは診断できない:当てはまる人を拾う力は83〜97%と高いが、当てはまらない人を見分ける力は約40%。診療の手引きは「スクリーニングには使わない」、治療の効果を見るのに使う
日本泌尿器科学会などの「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」(2022年12月)によると、男性更年期の症状を点数にするAMSスコアは17項目を1〜5点でつけ、17〜26点は「なし」、27〜36点は軽度、37〜49点は中等度、50点以上は重度とします。ただ、LOHの人を拾い上げる力(感度)は83〜97%と高い一方、LOHでない人を正しく除く力(特異度)はAMSで約40%と低く、AMSの点数は血液中のテストステロン値と相関しないという報告が多くあります。そのため欧州泌尿器科学会はスクリーニングに質問票を使わないよう強く推奨しており、手引きでも質問票は治療の前後で症状を見守るために使うとしています。診断の基準は血液検査のテストステロン値です。

プレ男ネットの「男性更年期チェック」をやったら、中等度って出たんだ。ぼく、男性ホルモンが足りないのかな…。

メル美そのチェックの結果だけで、決まっちゃうものなの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、男性更年期(LOH症候群)の症状のチェック表の話です。日本泌尿器科学会などの「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」(2022年12月)の「症状調査票」「症状調査票とテストステロン」の章をもとにまとめました。LOH症候群と補充療法はテストステロン補充療法とは?の記事にまとめています。
AMSスコアとは
- 1999年にドイツで作られた、男性更年期の症状をはかる自分で記入する質問票です。多くの言語に訳され、日本語訳も妥当性が確かめられています
- 17項目を、「なし・軽い・中等度・重い・非常に重い」の5段階で1〜5点とし、合計点で重さをみます
- 項目には、こころの症状(いらいら、不安、憂うつなど)、体の症状(関節や筋肉の痛み、ひどい汗、睡眠の悩み、疲れ、筋力の低下など)、性の症状(ひげの伸び、性的能力の衰え、朝立ちの減少、性欲の低下など)が含まれます
| 合計点 | 訴えの程度 |
|---|---|
| 17〜26点 | なし |
| 27〜36点 | 軽度 |
| 37〜49点 | 中等度 |
| 50点以上 | 重度 |
(手引きの表「AMSスコア 日本語訳試案(札幌医科大学医学部泌尿器科)」より)
- ほかに、「はい・いいえ」で答える10問のADAM質問紙や、日本人向けに作られた健康調査質問紙(JAMQ)もあります
「拾い上げる力」は高いが、「見分ける力」は低い
- LOHの人を拾い上げる力(感度)は、AMSとADAMで83〜97%と、質問票の中でいちばん高いものです
- 一方、LOHでない人を正しく除く力(特異度)は、AMSで約40%、ADAMで19.7〜30%と低く、LOHでない人も多く「当てはまる」と出てしまいます
- AMSの点数は、血液中のテストステロン値と相関しないという報告が多くあります
- そのため、欧州泌尿器科学会のガイドラインでは、スクリーニングに質問票を使わないことを強く推奨しています。国際的な学会もいずれも、診断のための質問票の有用性には否定的です

プレ男チェック表で「中等度」でも、男性ホルモンが低いとは限らないんだ。
では、何に使うの?
- 質問票は、テストステロン補充療法の効果を見たり、治療の前後で症状の有無や重さを見守ったりするのに役立つとされています。補充療法でAMSの合計点がよくなったという報告が多くあります
- 性機能の項目(朝立ちの減少、性欲の低下など)は、テストステロンの低さを反映するという報告が多くあります
診断は血液検査で
- 手引きでは、まず血液検査で総テストステロン値を測り、補助としてフリーテストステロン値を測ります。診断のめやす(閾値)は総テストステロン250ng/dL、フリーテストステロン7.5pg/mLで、診断の流れ図ではこれを下回る(未満)場合にLOH症候群と診断します。ただし、測定値にかかわらず症状と合わせて総合的に判断することが重要とされています
- LOHの精神症状はうつ病と似ていて見分けにくいため、こころの症状が強い人には、うつ病の質問票も使うことが役立つとされています(男性更年期とうつ病は見分けにくい)
- EDの程度をはかる質問票はEDの程度をはかる「ものさし」の記事にまとめています

AMSスコアなどの質問票は、LOHでない人も多く「当てはまる」と出てしまうため、スクリーニングには使わないことが推奨されています。点数だけで判断せず、気になる症状があるときは医療機関で相談しましょう。

メル美チェックの点数は、お医者さんに症状を伝えるときのメモくらいに考えればいいんだね。
まとめ
- AMSスコアは17項目・1〜5点。50点以上で重度
- 拾い上げる力は83〜97%と高いが、見分ける力は約40%と低い
- 点数はテストステロン値と相関しないという報告が多い
- スクリーニングには使わない。治療の効果を見るのに使う
- 診断は血液検査のテストステロン値で
参考文献
- 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会 LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き作成委員会. LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き(2022年12月). 10 症状調査票、11 症状調査票とテストステロン. https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/44_loh.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。