
プレ男「化学調味料」って体に悪いんでしょ?食べると頭が痛くなるって聞いたよ。

メル美トマトやチーズにも、うま味の成分が入ってるって聞いたことがあるけど…。同じものなのかな?
こんにちは、Dr. Taro です。 「都市伝説にマジレス」、今回はうま味調味料(グルタミン酸ナトリウム、MSG)のうわさです。米国FDA(食品医薬品局)のQ&A、欧州食品安全機関(EFSA)の2017年の発表、そして医学論文をもとにまとめました。
MSGってなに?
FDAのQ&Aによると、
- MSGは、ありふれたアミノ酸「グルタミン酸」のナトリウム塩です。グルタミン酸は、私たちの体の中にも、多くの食べ物の中にももともとあります
- トマトやチーズにも、自然にふくまれています
- 1908年、日本の池田菊苗教授が、海藻のだしからグルタミン酸を取りだし、これがだしの味のもとだと突きとめました。池田教授は特許を出し、翌年から商品の生産が始まりました
- いまは海藻のだしからではなく、でんぷん、サトウダイコン、サトウキビ、糖蜜を発酵させて作ります。ヨーグルトや酢、ワインを作るのと似た方法です
うわさの始まり:1968年の1通の手紙
- 1968年4月、アメリカの医学雑誌『New England Journal of Medicine』に、「Chinese-restaurant syndrome(中華料理店症候群)」という題の手紙が載りました
- 1968年に初めて報告された、中華料理を食べたあとの症状のまとまりは、MSGが引き金ではないかと言われ、「中華料理店症候群」とよばれるようになりました。その後、たくさんの報告が出ましたが、その多くは個人の体験談だった、と2000年の総説は書いています

メル美1通の手紙から始まって、体験談が広がっていったんだね。
確かめた試験:130人の二重盲検
「MSGを食べると具合が悪くなる」という人で確かめた試験があります。
- 2000年の論文によると、これまでの試験は、MSGに反応すると言う人を対象にしたものでも人数が少なく、はっきりした反応は示されなかった
- 一般の人を対象にした調査や試験でも、よくない影響の証拠はなかった
- そこで、MSGに反応すると自分で思っている130人(当時、最大の規模)で、「二重盲検・プラセボ対照」の試験をしました。本人も調べる人も、MSGと偽物(プラセボ)のどちらを口にしたかわからない方法です
- 結果:食べ物なしで大量のMSGをとると、プラセボより症状がやや多く出ました。でも、その頻度は低く、反応は一貫せず、くり返し確かめても再現しませんでした
- そして、MSGを食べ物と一緒にとったときは、症状は見られませんでした
FDAも、「MSGに敏感だと言う人にMSGかプラセボを与えた研究で、科学者は一貫して反応を起こすことができなかった」と書いています。
FDAの立場:「一般に安全と認められる」
- FDAは、MSGを食品に加えることを「一般に安全と認められる(GRAS)」としています
- 1990年代、FDAは独立した科学団体(FASEB、米国実験生物学会連合)に安全性の検討を頼みました。報告の結論は「MSGは安全」でした
- ただし報告は、一部の敏感な人が、食べ物なしでMSGを3g以上とると、頭痛、しびれ、顔のほてり、ちくちく感、動悸、眠気などの、短時間で消える、たいてい軽い症状が出ることがある、としています
- FDAによると、MSGを加えた食品のふつうの1人前にふくまれるMSGは0.5g未満。食べ物なしで一度に3g以上とることは考えにくい、としています
- また、大人は食べ物のタンパク質から1日に約13gのグルタミン酸をとっていて、加えられたMSGからとる量は1日に約0.55gと見積もられています。MSGのグルタミン酸と、食べ物のタンパク質のグルタミン酸は化学的に区別できず、体の中で同じように使われます

プレ男ふだんの食べ物から1日13gもとってて、調味料からは0.55gくらいなのか!
ヨーロッパの評価:「とりすぎない目安」も決めた
一方、ヨーロッパでは2017年に、もう少しきめ細かい評価が出ています。
- EFSA(欧州食品安全機関)は2017年7月12日、食品添加物としてのグルタミン酸とその塩(MSGをふくむ6種類)の安全性を見直し、1日にとってもよい量(ADI)を体重1kgあたり30mgと決めました。それまでEUでは、数字の上限は決められていませんでした
- EFSAは、この量は頭痛や血圧の上昇などの影響が出た量より低く、消費者の健康を守れるとしています
- ただし、添加物を多くふくむ食べ物をよく食べる人や、幼児・子どもでは、この目安をこえる可能性があるとして、菓子パン、スープ、ソース、肉製品、調味料などでの使用量の上限を見直すよう提案しています
つまり、「ふつうに使う量なら安全」というのが各国の評価で、ヨーロッパは「とりすぎにならないよう目安を決めた」ということです。

FDAはMSGを「一般に安全と認められる」としています。MSGに反応すると思っている130人の試験でも、食事と一緒にとったときは症状は見られませんでした。
まとめ
- MSGは、体にも食べ物にもあるグルタミン酸のナトリウム塩。1908年に池田菊苗教授が海藻のだしから見つけた
- 「中華料理店症候群」は、1968年の医学雑誌への手紙から。その後の報告の多くは体験談だった
- 130人の二重盲検では、食べ物なしの大量摂取で症状がやや多かったが再現性がなく、食事と一緒では症状なし
- FDAは「一般に安全と認められる」。EFSAは2017年に「体重1kgあたり1日30mg」という目安を決めた
- 食べ物の健康のうわさは、水素水もどうぞ
参考文献
- U.S. Food and Drug Administration. Questions and Answers on Monosodium glutamate (MSG)(2018年1月4日更新。2026年1月15日にインターネットアーカイブに保存された版で確認). https://www.fda.gov/food/food-additives-petitions/questions-and-answers-monosodium-glutamate-msg (閲覧日:2026年10月22日)
- European Food Safety Authority. EFSA reviews safety of glutamates added to food(2017年7月12日). https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/170712 (閲覧日:2026年10月22日)
- Geha RS, et al. Review of alleged reaction to monosodium glutamate and outcome of a multicenter double-blind placebo-controlled study. J Nutr. 2000;130(4S Suppl):1058S-1062S. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10736382/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Kwok RH. Chinese-restaurant syndrome. N Engl J Med. 1968;278(14):796. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25276867/ (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。