
メル美友だち(28歳)が、片目が急に見えにくくなって、目を動かすと奥が痛いって。半年前には足のしびれもあって、いつのまにか治ったらしいの。

プレ男目と足って、ぜんぜんちがう場所だね。関係あるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、多発性硬化症(MS)の話です。難病情報センターの「多発性硬化症/視神経脊髄炎」(令和7年11月更新、神経免疫疾患領域の研究班)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 神経の線は、電線のビニールのように髄鞘というカバーでおおわれています。炎症で髄鞘が壊れて中がむき出しになる病気を脱髄疾患といいます
- この脱髄が、脳や脊髄のあちこちにでき、神経の症状の再発をくり返すのが多発性硬化症(MS)です
- 原因ははっきりしていませんが、リンパ球などが自分の脳や脊髄を攻撃する自己免疫の説が有力です。遺伝的な体質と、EBウイルスなどの感染、緯度や日照時間、ビタミンD、喫煙などの環境の要因が影響すると考えられています。親から子に遺伝することはありません
どんな人に多い?
- 欧米の白人に多く、日本では比較的まれですが、最近は人口10万人あたり14〜18人程度、約17,600人と推定されています
- 若い成人に多く、平均発病年齢は30歳前後です。男女比は1対2〜3で女性に多い病気です
症状は病変の場所によってちがう
| 場所 | 主な症状 |
|---|---|
| 視神経 | 視力の低下、視野が欠ける。目を動かすと目の奥が痛むことも |
| 脳幹 | 物が二重に見える、目がゆれる、顔の感覚や動きのまひ、飲みこみにくい、話しにくい |
| 小脳 | まっすぐ歩けない(お酒に酔ったような歩き方)、手がふるえる |
| 大脳 | 手足の感覚や運動の障害、認知機能への影響。症状が出ないことも |
| 脊髄 | 胸やおなかの帯状のしびれ、ぴりぴりした痛み、手足のしびれやまひ、尿や便の障害 |
- 熱いお風呂などで体温が上がると、一時的に症状が悪くなることがあります(ウートフ現象)

プレ男脳や脊髄のあちこちに病変ができるから、目と足のように、ちがう場所に症状が出ることがあるんだ。
検査
- いちばん大切なのはMRIです。ほかに、腰に針を刺して脳脊髄液を調べる髄液検査、神経の伝わり方を調べる誘発電位検査などを行います
治療
- 急性期にはステロイドの点滴(パルス療法)を行います。よくならないときは、くり返したり、血液を浄化する治療を行ったりします
- 再発の予防には、日本では8種類の薬(自己注射、点滴、飲み薬)が認められています。どれがよいかは病状や生活スタイル、副作用などによるので、主治医とよく相談しましょう
- しびれや手足のつっぱり、排尿の障害などには、それぞれ症状を抑える薬を使います
経過
- 多くは再発と寛解(症状がおさまる)をくり返しながら長く続きます。一部は、しだいに進行する経過をとります
- 再発の回数は年に3〜4回から数年に1回まで人によってちがい、障害がほとんど残らない人もいれば、重い経過をとる人もいます。そのため、診断がついたらなるべく早く再発予防の薬を始めることがすすめられています
日常生活の注意
- 過労やストレス、感染は再発の危険因子とされているので、できる範囲でさけましょう
- ウートフ現象が出る人は、熱いお風呂やサウナはさけたほうがよいでしょう。ただ、あまり神経質になりすぎないほうがよいとされています
似た病気「視神経脊髄炎(NMOSD)」
- AQP4抗体という自己抗体が関係する病気で、日本に約6,500人と推定されています。MSより発病年齢が高く、女性の割合が非常に高いのが特徴です
- 再発のときの視力障害や脊髄の障害がMSより重くなることが多く、生涯にわたって再発予防の治療が必要とされています

多発性硬化症は、30歳前後の若い女性に多く、視力の低下、手足のしびれ、ふらつきなど、病変の場所によってさまざまな症状が再発をくり返す病気です。診断がついたら、なるべく早く再発予防の薬を始めることがすすめられています。

メル美前の足のしびれのことも合わせて、早めにお医者さんに伝えるようにすすめてみる。
まとめ
- 神経のカバー(髄鞘)が炎症で壊れる病変が、脳や脊髄のあちこちにでき、再発をくり返す
- 日本に約17,600人。平均発病30歳前後、女性に2〜3倍多い
- 視力低下・目の奥の痛み・二重に見える・ふらつき・帯状のしびれ・排尿障害など
- 熱いお風呂で一時的に悪くなることも(ウートフ現象)
- 急性期はステロイド、診断がついたら早めに再発予防の薬を
参考文献
- 難病情報センター. 多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)(情報更新日:令和7年11月、神経免疫疾患領域における難病の医療水準と患者のQOL向上に資する研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/3806 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。