
プレ男50代の叔父が、歩くとふらついて、ろれつも回りにくくなってきたんだって。立ちくらみがひどくて、尿も出にくいらしい。

メル美ふらつきと、立ちくらみと、尿…いろいろな症状が重なっているね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、多系統萎縮症の話です。難病情報センターの「多系統萎縮症(1)線条体黒質変性症」「多系統萎縮症(2)オリーブ橋小脳萎縮症」(令和7年12月更新、運動失調症の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究班)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 小脳の症状(ふらつき、ろれつのもつれ)、パーキンソン病に似た症状(こわばり、動作が遅い)、自律神経の症状(立ちくらみ、尿が出にくい、便秘)が、組み合わさって進む病気です
- 脳の細胞に、アルファ-シヌクレインというたんぱく質がたまった特殊なかたまりができることがわかっていますが、正確な原因はわかっていません
- 通常は遺伝しません
どのくらいの人に?
- 全国に11,387人(令和元年度末)の患者さんがいます
- 発症は大人になってからで、とくに50歳代に多くみられます
2つのタイプ
| タイプ | 割合 | 始まりの症状 |
|---|---|---|
| オリーブ橋小脳萎縮症 | 70〜80% | 立ったときや歩いているときのふらつき、ろれつが回らない、手の細かい動き(箸、ボタン、字を書く、立ってズボンをはく)がしにくい |
| 線条体黒質変性症 | 約30% | パーキンソン病に似た症状:表情が乏しい、筋肉がこわばる、動作が遅い、話しにくい、転びやすい |
- どちらのタイプも、やがて立ちくらみ、尿が出にくい、便秘などの自律神経の症状が出て、もう一方のタイプの症状も加わっていきます
- 多くの場合、物忘れ(記憶障害)はきたしません
- パーキンソン病に似ていても、パーキンソン病の薬が効きにくく、不自由さが早く進む場合に、この病気を疑います(パーキンソン病)

プレ男ふらつきやろれつのもつれに、立ちくらみや尿の出にくさが加わる…叔父の症状は、多系統萎縮症の特徴に当てはまるところがあるんだ。
治療と経過
- 進行を止める治療は確立していません。それぞれの症状に対する治療を行います
- パーキンソン病に似た症状には、パーキンソン病の薬を使いますが、効果は大きくありません。尿が出にくい、血圧が下がるなどの自律神経の症状には、それぞれの薬を試みます
- 小脳のふらつきは、リハビリテーションで一時的によくなることがあります。転びやすくなるので、廊下や階段などの住まいの工夫も大切です
- 進み方はパーキンソン病より速く、発病から5年ほどで車いす、10年ほどで寝たきりの状態をへて亡くなることが多いといわれています
食事の注意
- 飲みこみにくさのある人が多いので、急がず、時間をかけて、飲みこみやすいものをとるように工夫しましょう
- むせて誤嚥性肺炎になりやすくなります。食事の量が減って低栄養になると、体力が落ちて感染症を起こしやすくなります

多系統萎縮症は、ふらつきやろれつのもつれ、パーキンソン病に似た症状に、立ちくらみや尿が出にくいなどの自律神経の症状が重なる病気です。パーキンソン病の薬が効きにくく、進みが早いのが特徴です。

メル美症状がいろいろあるからこそ、まとめてメモして、脳神経内科で相談してもらおうね。
まとめ
- 小脳の症状・パーキンソン病に似た症状・自律神経の症状が重なる病気
- 50歳代に多く、全国に約1万1千人
- ふらつき・ろれつで始まるタイプ(70〜80%)と、パーキンソン病に似た症状で始まるタイプ(約30%)
- 立ちくらみ・尿が出にくい・便秘もともなう
- 薬が効きにくく進みが早い。飲みこみにくさ・誤嚥性肺炎に注意
参考文献
- 難病情報センター. 多系統萎縮症(1)線条体黒質変性症(指定難病17)(情報更新日:令和7年12月、運動失調症の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/59 (閲覧日:2026年10月12日)
- 難病情報センター. 多系統萎縮症(2)オリーブ橋小脳萎縮症(指定難病17)(情報更新日:令和7年12月、運動失調症の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/60 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。