
プレ男70代の祖父が、この1年でよく転ぶようになって、顔をぶつけてけがすることが増えたんだ。パーキンソン病の薬を飲んでいるけど、あまり効かないみたい。

メル美手で支えられずに顔をぶつけるって、心配だね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、進行性核上性麻痺の話です。難病情報センターの「進行性核上性麻痺」(令和7年12月更新、神経変性疾患領域の研究班)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 脳の大脳基底核、脳幹、小脳などの神経細胞が減り、転びやすい、下のほうが見にくい、しゃべりにくい、飲みこみにくいといった症状が出る病気です
- 脳の中にタウというたんぱく質がたまることがわかっていますが、くわしい原因はわかっていません。遺伝が原因となることはまれです
- 発症して間もないころは、パーキンソン病によく似た動作の遅さや歩行の障害がみられ、区別がつきにくいこともあります。ただし、パーキンソン病の薬があまり効かず、効いても一時的のことが多く、症状がより早く進む傾向があります(パーキンソン病)
どのくらいの人に?
- 人口10万人あたり10〜20人程度と推測され、1999年の調査(5.8人)より増えています
- 40歳以降に発症し、50〜70歳代に多くみられます
症状
転びやすさと歩行・動作の障害
- 転びやすくなったことで最初に気づかれることが多い病気です。半数以上は、発症して1年以内に転倒をくり返します
- 姿勢が不安定になるうえ、危険を察知する力が落ち、注意していてもその場になると転んでしまいます
- バランスを崩したときに手で防ぐ反応が起きず、顔や頭のけがが多くなります
- 足がすくんで前に出にくい、歩くうちに速くなって止まれない、などもみられます。進むと寝たきりになります
目の動きの障害
- 上下、とくに下を見ることが難しくなります。初期にはわかりにくく、発症して2〜3年後に出てくることも少なくありません
しゃべりにくさ・飲みこみにくさ
- 聞き取りにくい話し方、飲みこみにくい・むせるといった症状が少しずつ出て、中期以降は誤嚥性肺炎をしばしば合併します
認知症
- 合併することもありますが、比較的軽い傾向です。質問にすぐ言葉が出ず、答え始めるまでに時間がかかったりします

プレ男パーキンソン病に似ているけど、薬があまり効かなくて、1年以内に転倒をくり返す…祖父の様子に当てはまるところがあるんだ。
治療
- 根本的な治療薬はまだありません。パーキンソン病の薬や抗うつ薬が使われますが、効果はあっても一時的です
- リハビリテーションとして、筋力の維持やバランスの訓練、関節が固まるのを防ぐ訓練、飲みこみの体操や発声の訓練などが行われます

進行性核上性麻痺は、転びやすさで最初に気づかれることが多く、半数以上は発症して1年以内に転倒をくり返します。手で防ぐ反応が起きず、顔や頭のけがが多くなるのが特徴です。
- 転んで背骨を折ることもあるので、背骨の圧迫骨折の記事もどうぞ

メル美薬が効かないことも伝えて、脳神経内科で相談してみるといいね。家の中の段差も見直そう。
まとめ
- 脳の神経細胞が減り、転びやすい・下が見にくい・しゃべりにくい・飲みこみにくい
- 初めはパーキンソン病に似ているが、薬があまり効かず進みが早い
- 50〜70歳代に多い。人口10万人あたり10〜20人
- 半数以上は1年以内に転倒をくり返す。手で防げず顔や頭のけがが多い
- 根本的な治療薬はまだない。リハビリ(バランス・飲みこみ・発声)を
参考文献
- 難病情報センター. 進行性核上性麻痺(指定難病5)(情報更新日:令和7年12月、神経変性疾患領域における医療水準と患者QOLの向上を目指した基盤研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/4114 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。