
プレ男古代メソポタミアにも、ことわざがあったの?

メル美うん。書記になる学生の教科書に、ことわざや畑仕事の歌がのっていたんだって。いまの人と同じようなことを言ってるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はメソポタミアのアッカドのことわざと歌です。『バビロニア・アッシリア文学』(プロジェクト・グーテンベルク)におさめられた、A.H.セイス訳「アッカドのことわざと歌」の英訳と解説を読みました。セイスは、この古いことばを「アッカド語(Accadian)」とよんでいるので、ここでもセイスの英訳の名前で紹介します。同じ本のいのりの詩はアッカドのざんげの詩へ。
プロフィール
| 出どころ | 古いことばを学ぶための読本(教科書)。いたんでいる |
| 使った人 | アッシリア(セム系バビロニア)の学生、書記たち |
| 書きかた | 古いことばの文と、アッシリア語の訳を、ならべた2つの列に書いている |
| セイスの説明 | 書記たちが古いことばを読み、訳せなければならなかった時代につくられた |
| 畑仕事のことば | ギリシャのヘシオドス『仕事と日』のような、農業の本からとられたものもあるらしい |
1. ことわざ
セイスが選んで訳したことわざから、いくつかを紹介します(かっこの中はセイスの注)。
- 「戸とかんぬきは、しっかりしめられている」
- 「家の中庭の中で、かれは自分を小さく感じる」
- 「1度も2度ももうけたのに、まだ満足しない」(セイスの注:「人は、もてばもつほど、ほしくなる」)
- 「ひとりでほり、ひとりではたらいた」(セイスの注:「してほしいことがあるなら、自分でせよ」)
- 「れんがの山の上に、かれは家をたてず、はりもすえなかった」

メル美「もてばもつほど、ほしくなる」って、いまでも言うよね。人の気持ちって、昔からあまり変わらないんだ。
2. くらしのきまり
ことわざの中には、くらしのきまりのようなことばもあります。
- 「家をたてる約束をして、しあげなければ、銀10シェケルをはらう」
- 「マルヘシュワンの月(セイスの注では10月)の30日を、ひっこしの日にえらべ。雑草を焼く日にもえらべ」
- 「農園を借りる者は、とれたものの3分の2を、果樹園の主にはらう」
3. 畑仕事の歌
歌の中には、畑ではたらく人の声のようなものがあります。
- 「わたしのひざは進み、わたしの足は休まない。おまえは、自分の富ももたないのに、わたしのために麦を生みだす」
- 「わたしは子牛。母牛とならんで、くびきにつながれる。すきの柄は重い。もちあげよ、もちあげよ!」
- 「麦は高く、よくしげっている。どうして、それがわかるのか。麦には穂のひげがあり、よくしげっている。どうして、それがわかるのか」

プレ男「もちあげよ、もちあげよ!」って、みんなで声をあわせて畑をたがやしていたのかな。
4. ふしぎな歌
- 「悪いことをしたなら、海へ、永遠に……おまえは行く」
- 「古いかまどのように、敵にむかって、かたくあれ」
- 「川にとびこめば、おまえの水は、その時にはふくれている。果樹園にとびこめば、おまえの実は、にがい」
- 「死の実を、人は食べるかもしれない。それでも、命の実を、なしとげられますように」
- セイスは、ある歌の行について、アッシュルバニパルの図書館のために写した書記は、古いことばがわからず、訳をつけられなかったようだ、と注に書いています

セイスの英訳では、「1度も2度ももうけたのに、まだ満足しない」ということわざに、「人は、もてばもつほど、ほしくなる」という注がつけられています。
まとめ
- 古代メソポタミアの書記の学生は、古いことばを学ぶための読本で、ことわざや歌を学んだ
- 「1度も2度ももうけたのに、まだ満足しない」「ひとりでほり、ひとりではたらいた」
- 「家をたてる約束をはたさなければ、銀10シェケル」など、くらしのきまりもある
- 「わたしは子牛、すきの柄は重い、もちあげよ!」と、畑仕事の歌もある
- 同じ本のアッカドのざんげの詩、「くらしをたのしめ」と語ったシドゥリのことば、メソポタミア神話の入門もどうぞ
参考文献
- A. H. Sayce(英訳). “Accadian Proverbs and Songs” と訳者の解説・注. In: Babylonian and Assyrian Literature. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/10887 (閲覧日:2026年10月12日)
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