
プレ男とても古い粘土板に、人生のアドバイスが書いてあるの?

メル美ギルガメシュが世界の果てで出会った娘のことばなんだって。いまの人にもひびく内容なの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はメソポタミア神話のシドゥリ(サビトゥム)のことばです。モリス・ジャストロウとアルバート・T・クレイの『古バビロニア版ギルガメシュ叙事詩』(1920年、プロジェクト・グーテンベルク)の、ジャストロウによる序文を読みました。『ギルガメシュ叙事詩』の全体はギルガメシュへ。ギルガメシュが会いに行った不死の人はウトナピシュティムへ。
プロフィール
| サビトゥム | 海辺にすむ娘(ジャストロウの英訳では the maiden Sabitum)。ギルガメシュの記事ではシドゥリ(サビトゥ)とよんでいる |
| 出会った人 | 友エンキドゥをうしない、死からのがれたいと願うギルガメシュ |
| 粘土板 | 古いバビロニアの時代の断片。ジャストロウは、この叙事詩が紀元前2000年ごろにはあったしるしだとしている |
| ことばの中身 | 「あなたのさがす命は見つからない」、そして、日々のくらしをたのしむこと |
1. 世界の果ての娘
- ジャストロウの序文によると、アッシリアの版(のちの時代の版)では、ギルガメシュは海辺の娘に、なくした友エンキドゥへの悲しみと、エンキドゥのような運命からのがれたいという願いを語ります
- 古いバビロニアの断片には、そのときのサビトゥムの答えが、まるごとのこっていました
- ジャストロウは、その答えを「死はすべての人にさだめられていて、人がそれからのがれようとするのは、のぞみのないことだ」という悲しい調子と、「食べ、飲み、たのしめ」という考えをあわせもつものだ、と説明しています
2. サビトゥムのことば
ジャストロウの英訳では、サビトゥムはこう言います(ここでは、ギルガメシュは「ギシュ」とよばれています)。
- 「ギシュよ、なぜあなたは、かけまわるのか。あなたのさがす命は、見つからないだろう」
- 「神々が人をつくったとき、死を人にさだめた。命は、自分たちの手にとどめた」
- 「ギシュよ、おなかを満たしなさい。昼も夜も、よろこびなさい。毎日を、よろこびの日にしなさい。昼も夜も、たのしみをあらたにしなさい」
- 「服は清らかにしなさい。頭を洗い、水をあびなさい」
- 「あなたの手をにぎる、小さな子をいつくしみなさい。妻を、あなたの胸でよろこばせなさい」

メル美永遠の命はないけれど、ごはんを食べて、体を清潔にして、家族を大切に…。なんだか、あたたかいことばだね。
3. ジャストロウの解説
- ジャストロウは、このことばが、旧約聖書の「伝道の書(コヘレトの言葉)」の考えを思わせる、と書いています。そして、注では、伝道の書9章7〜9節と同じような一節だとしています
- ジャストロウは、こうした教えが、古い民話に、バビロニアの神殿の学校の教えがくわえられていったことをしめしている、とも考えています
- また、この断片で、主人公の名が「ギシュ」と書かれていること、友の名が「エン・キ・ドゥ」(エンキはよい)と書かれていることにも、ジャストロウは注目しています

プレ男死をこわがって走りまわるより、いまのくらしを大事にしなさい…。ギルガメシュも、このあと気づいていくのかな。

ジャストロウの英訳では、サビトゥムは「あなたのさがす命は見つからない」と言い、おなかを満たし、服を清らかにし、手をにぎる子をいつくしむように、と語っています。
まとめ
- 友をうしなって死をおそれるギルガメシュは、世界の果てで、海辺の娘サビトゥム(シドゥリ)に出会った
- 古いバビロニアの断片には、サビトゥムの答えがまるごとのこっていた
- 「あなたのさがす命は見つからない。神々は人に死をさだめた」
- 「おなかを満たし、昼も夜もたのしみ、服を清らかにし、子と妻をいつくしみなさい」
- 叙事詩の全体はギルガメシュ、不死をえたウトナピシュティム、ギルガメシュにことわられた女神イシュタルもどうぞ
参考文献
- Morris Jastrow, Jr. and Albert T. Clay. An Old Babylonian Version of the Gilgamesh Epic(1920年), Introduction と注10. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/11000 (閲覧日:2026年10月12日)
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