
プレ男メソポタミアにも、雷の神さまがいたの? 北欧のトールみたいな?

メル美ラムマンとかアダドとかよばれる嵐の神さまなんだって。名前がいくつもあって、本当の名前がどれかは学者にもはっきりしないみたい。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はメソポタミア神話の嵐の神ラムマン(アダド)です。アメリカのアッシリア学者モリス・ジャストロウ『バビロニア・アッシリアの宗教』(1898年、プロジェクト・グーテンベルク)の第8章と第12章のラムマンの項を読みました。大洪水で黒い雲の中にとどろいた嵐の神の場面はウトナピシュティムへ。ならべてまつられた太陽の神はシャマシュへの賛歌へ。
プロフィール
| 文字 | イム。嵐をつかさどる力をあらわす |
| 名前 | ラムマン(「とどろく者」、アッシリアでふつうにつかわれた)、アダド(アッドゥ)、イムメル、メルなど |
| ジャストロウの説明 | ラムマンが本当の名か、いちばん古い名かはわからない。アダドは、シリアの名高い神ハダドとむすびつけられる |
| 性格 | 嵐の神。とくに雷と稲妻 |
| よび名 | 「天の大いなる主」「地下の水と雨の主」「神々の中でいちばん力ある者」 |
| 妻 | シャラ(「女性」という意味らしい) |
1. いくつもの名前
- ジャストロウによると、この神の名を「ラムマン」と読むのは仮の読みです。名をあらわす文字「イム」は、この神を嵐をつかさどる力としてあらわしています
- アッシリアでは「ラムマン(とどろく者)」とよばれていたのはたしかですが、それは呼び名で、本当の名や、いちばん古い名ではないかもしれない、とジャストロウは書いています
- エル・アマルナの粘土板では、名前の一部に「アッドゥ」という読みが見られ、シリアやパレスチナで広くうやまわれた神ハダドとむすびつけられています。オッペルトは、アダドがいちばん古い名だと考えた、とジャストロウは紹介しています
2. 太陽の神とならんで
- ハンムラビ王の賛歌では、ラムマンはシャマシュ(太陽の神)とならんで出てきます
- カッシートの王の時代の碑文では、天の神アヌ、地の神ベル、水の神エアの三柱のあとに、シン(月)、シャマシュ(太陽)、ラムマンの三柱がならび、ラムマンとシャマシュは「正義の神々」とよばれています
- ジャストロウは、アッシリアの古い王の名「シャムシ・ラムマン」のように、太陽の神と嵐の神がいっしょにされるのは、めぐみをもたらす光の力と、こわす嵐の力が、自然のいちばん強い力としてならべられたからだろう、と説明しています

メル美お日さまと嵐。どっちも、くらしにとって大事で、こわい力だったんだね。
3. 雷と稲妻の神
- ネブカドネザル1世は、ラムマンを「天の大いなる主、地下の水と雨の主」とよび、自分の命令をやぶる者や、自分のたてた記念碑をよごす者には、ラムマンののろいがくだるように、と書いています
- ジャストロウによると、アッシリアでは、ラムマンは、はじめからずっと嵐の神、とくに雷と稲妻の神としてあらわれます
- ティグラト・ピレセル1世は、ラムマンを「敵の国や家を水でおしながす英雄」とえがき、アッシリアの軍勢がせめよせるようすを、ラムマンのおそいかかるさまにたとえました。王たちは、戦いのさなかにラムマンにささげものをしました
- そのため、アッシリアの人々にとって、ラムマンは「神々の中でいちばん力ある者」でもありました
4. 妻シャラ
- センナケリブ王は、バビロンからラムマンとシャラの像をとりもどし、エカラテの町にもどしたと書いています。418年前に、バビロンへもっていかれたものだった、といいます
- ジャストロウによると、「シャラ」は「女性」という意味らしく、ほかの女神にもつかわれた、はっきりしない名だった、とされます

プレ男418年ぶりに神さまの像が帰ってきた、なんて記録がのこっているのもすごいね。

ジャストロウの本では、アッシリアのラムマンは、はじめからずっと嵐の神、とくに雷と稲妻の神としてあらわれ、太陽の神シャマシュとならべてまつられた、と説明されています。
まとめ
- メソポタミアの嵐の神は、文字「イム」で書かれ、ラムマン(とどろく者)、アダドなどとよばれた
- アダドは、シリアの神ハダドとむすびつけられる。どれが本当の名かは、はっきりしない
- 太陽の神シャマシュとならんで「正義の神々」とよばれ、アッシリアでは雷と稲妻の神として、とくにうやまわれた
- 妻はシャラ。センナケリブ王は、2神の像を418年ぶりにエカラテへもどした
- 太陽の神をたたえるシャマシュへの賛歌、大洪水で嵐の神がとどろくウトナピシュティム、アッシリアの神アッシュールもどうぞ
参考文献
- Morris Jastrow, Jr. The Religion of Babylonia and Assyria(1898年). Chapter VIII “The Pantheon in the Days of Hammurabi”(Ramman)、Chapter XII “The Assyrian Pantheon”(Ramman; Shala). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/20758 (閲覧日:2026年10月12日)
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