
プレ男太陽の神さまって、メソポタミアではどんなふうに考えられていたの?

メル美「天と地の裁き手」だったんだって。うそもまことも、ぜんぶお見通しの神さまなの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はメソポタミアの太陽神シャマシュへの賛歌です。『バビロニア・アッシリア文学』(プロジェクト・グーテンベルク)におさめられた、フランソワ・ルノルマン訳「カルデアの太陽への賛歌」の英訳と解説を読みました。19世紀の訳なので、神々の名前は当時の英訳の表記もそえます。シャマシュに祈った王の物語はエタナへ。メソポタミア神話の全体はメソポタミア神話の入門へ。
プロフィール
| 太陽の神 | アッカド語でウトゥ(まれにパラ)、アッシリア語でシャマシュ(英訳の表記は Samas、Shamas) |
| いちばんの称号 | 「天と地の裁き手」 |
| おもな神殿 | 南カルデアのラルサと、バビロニア北部のシッパル |
| 神々の中の位 | ルノルマンによると、月の神(アッシリア語でシン)より低く、月の神が太陽の神の父とされることもあった |
| のこっている賛歌 | 典礼や呪術のための賛歌の断片が5つ。多くはアッカド語の原文にアッシリア語の訳がついたもの |
1. 天の戸をひらく太陽
第1の賛歌は、はじめの数行だけがのこっています。
- 「太陽よ、あなたは天の土台からのぼった。かがやく空のかんぬきをはずし、天の戸をひらいた」
- 「太陽よ、あなたは国々の上に頭をもたげた。太陽よ、あなたは天のはてしない広がりと、地の国々をおおった」
第4の賛歌でも、太陽は「かがやく天の大きな戸」をひらいてのぼり、天の御使いたちが、うやまいとよろこびをもってとりかこみます。
2. やみをつらぬく神
第2の賛歌です。
- 「主よ、やみをてらす者、やみの顔をつらぬく者。あわれみぶかい神、かがめられた者をおこし、弱い者をささえる者」
- 「大いなる神々は、光のほうへ目をむける」
- 「あなたのかがやきは、天のはてまでとどく。あなたは、広い大地の旗じるしだ。神よ、遠くにすむ人々も、あなたをながめてよろこぶ」

メル美「かがめられた者をおこし、弱い者をささえる」…。太陽って、やさしい神さまでもあったんだね。
3. うそとまことを知る
第3の賛歌では、太陽の神の「裁き手」としての顔が歌われます。
- 「天をおさめ、ととのえる者は、あなたである。国々の人の思いに、まことをうちたてる者は、あなたである」
- 「あなたは、まことを知り、いつわりを知る」
- 「太陽よ、正義が頭をもたげた。……太陽よ、天と地の、いちばん上の裁き手は、あなたである」
4. 病の王のために
- ルノルマンによると、第3と第4の賛歌は、病気の王をなおすために、呪術の祭司がとなえるものでした
- 第4の賛歌で、祭司はこういのります。「太陽よ、わたしがあげる手に、心をとめてください。……そのあやまちがゆるされ、その罪がぬぐわれますように。くるしみが去り、病からなおりますように。王に命をかえしてください」
- 第5の賛歌では、太陽は「杉の木かげにいて、その足は山々のいただきにある」とよばれ、「うそをほろぼし、ふしぎ・まじない・夢・悪いまぼろしの悪い力を消しさる者」とたたえられます

プレ男毎朝のぼってきて、世界じゅうをてらす太陽だから、なんでも見ている「裁き手」だと考えたんだね。

ルノルマンの訳では、太陽の神のいちばんの称号は「天と地の裁き手」で、賛歌では「あなたは、まことを知り、いつわりを知る」と歌われています。
まとめ
- メソポタミアの太陽の神は、アッカド語でウトゥ、アッシリア語でシャマシュ
- いちばんの称号は「天と地の裁き手」。神殿はラルサとシッパルにあった
- 賛歌では、太陽が「天の戸をひらいて」のぼり、「やみの顔をつらぬく」と歌われる
- 「まことを知り、いつわりを知る」神として、病の王のためのいのりにもよびかけられた
- シャマシュに祈った王エタナ、同じ本にのる7人の悪霊、メソポタミア神話の入門もどうぞ
参考文献
- François Lenormant(訳). “Chaldean Hymns to the Sun” と訳者の解説. In: Babylonian and Assyrian Literature. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/10887 (閲覧日:2026年10月12日)
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