
プレ男7人の悪霊!? 古代の人は、何をこわがっていたの?

メル美古代バビロニアの粘土板に、悪霊のことを歌った詩があるんだって。病気や悪い夢をもたらすと考えられていたみたい。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はメソポタミアの7人の悪霊です。『バビロニア・アッシリア文学』(プロジェクト・グーテンベルク)におさめられた、A.H.セイス訳「7人の悪霊のアッカドの詩」の英訳と解説を読みました。19世紀の訳なので、神々の名前も当時の英訳の表記で紹介します。メソポタミア神話の全体はメソポタミア神話の入門へ。
プロフィール
| 粘土板 | アッシュルバニパルの図書館(クユンジク)から出た、アッカド語の原文にアッシリア語の訳がついた二言語の粘土板 |
| 7人の悪霊 | 夕日の山で生まれ、朝日の山で育った。土のくぼみにすむ |
| セイスの説明 | ほかの粘土板では、7つの嵐の雲や風とされ、そのかしらは竜ティアマトらしい。月食のとき月をおそうと考えられた |
| 登場する神 | 火の神、メロダク(英訳の表記)、その父で水の神ヘア(英訳の表記) |
| 詩の使いかた | セイスによると、呪文として使われたもの |
1. 夕日の山で生まれた7人
- 詩は、火の神によびかけます。「火の神よ、その7人は、どのように生まれ、どのように育ったのか」
- 「その7人は、夕日の山で生まれた。その7人は、朝日の山で育った。土のくぼみに、すみかをもつ。地の高いところで、名をよばれる」
- 「天と地に、そのすみかは広大だ。神々のあいだに、寝床はない。その名は、天にも地にもない」
- 「7人である。夕日の山でのぼる。7人である。朝日の山でしずむ。土のくぼみに入りこみ、地の高いところへのぼる」

メル美天にも地にも名前がなくて、神さまのなかまにも入らない…。どこにもいるのに、つかまえどころがないんだね。
2. メロダクとヘア
- 火の神は、メロダクのもとへ近づいて、このことばを告げました
- メロダクは、そのことばを聞くと、父である水の神ヘアの家へおりていき、言いました。「父よ、火の神が日の出のところまで入りこみ、このひみつのことばを語りました。……エリドゥの子よ、耳をかたむけてください」
- ヘアは、息子メロダクに答えました。「わが子よ、その7人は、地にすむ。その7人は、地から出てきた。……深い海の力が、いくさのために近づいてきた。行け、わが子メロダクよ」
3. 呪文として
- セイスは、この詩が、悪霊がもたらすと考えられた病のときに使う呪文だったと説明しています
- 詩の後半では、ヘアが、悪霊をうちくだく木の名を心にとめていること、エリドゥの聖なるかこいの中で火をのぼらせ、7人が悪さをしに近づかないようにすることなどが語られます
- そして、英雄メロダクが、火の神に「悪霊をとらえ、7人をとりのぞき、そのからだをしばるように」と命じます

プレ男病気や悪い夢を、悪霊のせいだと考えていたんだね。神さまの力をかりて、なんとかしようとしたんだ。
4. エリドゥの聖なる木
- 詩のむすびには、べつの詩の断片がつけられています。「エリドゥに、暗い松が生えた。聖なる場所に植えられた。その冠は白い水晶で、深い海へとひろがった」
- 「その座は、この地の中心だった。……その聖なる家は、森のように影をひろげた。……その中には、タンムズもいた」
- セイスは、作者は、ユーフラテス川とティグリス川の合流点の近くにあった、古い町エリドゥの人だったらしい、と書いています

セイスの英訳では、7人の悪霊は「夕日の山で生まれ、朝日の山で育った」とされ、天にも地にも名がなく、神々のあいだに寝床をもたない、と歌われています。
まとめ
- 「7人の悪霊」は、夕日の山で生まれ、朝日の山で育ったとされる、天にも地にも名のない悪霊たち
- セイスによると、ほかの粘土板では嵐の雲や風とされ、月食のとき月をおそうと考えられた
- 火の神のうったえを聞いたメロダクは、父なる水の神ヘアに知恵をもとめた
- この詩は、病のときにとなえる呪文として使われた、とセイスは説明している
- 竜ティアマトをたおした神マルドゥク(/posts/myth-marduk/)、エアの知恵が出てくるアダパ、嵐の鳥ズーもどうぞ
参考文献
- A. H. Sayce(英訳). “Accadian Poem on the Seven Evil Spirits” と訳者の解説・注. In: Babylonian and Assyrian Literature. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/10887 (閲覧日:2026年10月12日)
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