
プレ男80年も待ってたの!? 天皇は、そのあいだ何してたんだろう…。

メル美それが、すっかり忘れていたんだって。でも、赤猪子の「待っていた心を伝えたい」っていう気持ちが、胸にしみるお話なの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の『古事記』の引田部の赤猪子です。『古事記』下つ巻の雄略天皇の段(武田祐吉訳、青空文庫)を読みました。同じ雄略天皇の段の話は一言主へ。赤猪子が歌によんだ三輪山(御諸山)の神についてはオホモノヌシと三輪山の糸へ。
プロフィール
| 赤猪子 | 引田部の娘。三輪川のほとりで衣を洗っていた |
| 天皇 | オホハツセノワカタケの命(雄略天皇) |
| 天皇の言葉 | 「あなたは嫁に行かないでおれ。お召しになるぞ」 |
| 待った年月 | 80年 |
| 天皇の歌 | 2首。「若いうちに結婚したらよかった。年をとってしまったなあ」 |
| 赤猪子の歌 | 2首。武田祐吉訳では、この4首の歌は「静歌」とされる |
1. 三輪川のほとりで
- あるとき、天皇が三輪川にあそびに出かけると、川のほとりで衣を洗っている美しい娘がいました
- 天皇が「あなたはだれですか」とたずねると、娘は「わたくしは引田部の赤猪子と申します」と答えました
- 天皇は「あなたは嫁に行かないでおれ。お召しになるぞ」と言って、宮へ帰りました
2. 80年
- 赤猪子は、天皇のお言葉を待ちつづけ、80年がすぎました
- 赤猪子は思いました。「お言葉を待っているあいだに、多くの年月がすぎて、すがたもやせおとろえてしまった。もうたのみにするものはない。けれども、待っていた心をあらわさなければ、心がふさいでいられない」
- 赤猪子は、たくさんのおくりものをもたせて、宮へ参上しました

メル美「もうたのみにするものはない。でも、待っていた心だけは伝えたい」…。会いに行くの、すごく勇気がいったよね。
3. 忘れていた天皇
- ところが天皇は、むかし言ったことを、すっかり忘れていました。「おまえはどこのおばあさんか。どういうわけで来たのか」
- 赤猪子は答えました。「むかし、何年何月に天皇のお言葉をいただき、今日までご命令をお待ちして、80年がすぎました。いまはもうおとろえて、たのみにするものはございません。けれども、わたくしの志をお伝えしようと、参りました」
- 天皇はたいそうおどろき、「わたしは、むかしのことをすっかり忘れていた。それなのに、おまえは志をかえずに命令を待ち、さかりの年をむだにすごしてしまった。気の毒なことだ」と言いました
4. 4首の歌
- 天皇は、赤猪子があまりに年をとっていることをくやみ、召しだすことはできずに、歌をおくりました
- 武田祐吉訳では、1首めは「御諸山の御神木のカシの樹のもと、そのカシのもとのようにはばかられるなあ、カシ原のお嬢さん」
- 2首めは「引田の若い栗の木の原のように、若いうちに結婚したらよかった。年をとってしまったなあ」
- 赤猪子の泣く涙で、着ていた赤くそめた袖が、すっかりぬれました。赤猪子は歌でこたえました。「御諸山に玉垣をきずいて、きずきのこして、だれにたのみましょう。お社の神主さん」
- もう1首。「日下江の入江にハスが生えています。そのハスの花のような若いさかりの方は、うらやましいことでございます」
- 天皇は、赤猪子にたくさんのものをあたえて、帰しました。武田祐吉訳では、この4首は「静歌」とされています

プレ男言ったほうは忘れても、言われたほうはずっとおぼえてる…。軽い気持ちで約束しちゃいけないね。

武田祐吉訳の『古事記』では、天皇は「若いうちに結婚したらよかった。年をとってしまったなあ」と歌い、赤猪子の涙で赤くそめた袖がすっかりぬれた、と語られています。
まとめ
- 三輪川のほとりで、赤猪子は天皇に「嫁に行かずに待っておれ」と言われた
- 赤猪子は言葉を信じて80年待ち、待っていた心を伝えるために宮へ参上した
- 天皇はすっかり忘れていたが、赤猪子の志におどろき、2首の歌をおくった
- 赤猪子は涙で赤い袖をぬらし、2首の歌でこたえた
- 同じ雄略天皇の段の一言主、御諸山(三輪山)の神オホモノヌシ、『古事記』下つ巻の仁徳天皇と民のかまどもどうぞ
参考文献
- 武田祐吉訳『古事記』(下つ巻 雄略天皇「引田部の赤猪子」). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月12日)
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