
プレ男自分とそっくりの行列が山の上にあらわれたら、こわくない?

メル美雄略天皇は、それで神さまに出会ったんだって。言葉もまねされちゃうの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本神話の一言主(ひとことぬし)の大神です。『古事記』下巻の雄略天皇の段を武田祐吉の現代語訳(青空文庫)で、『日本書紀』巻第十四(雄略天皇4年)を原文(ウィキソース)で読みました。日本神話の全体は日本神話の入門へ。
プロフィール
| 名前 | 葛城の一言主の大神(『日本書紀』では一事主神) |
| すまい | 葛城山 |
| 名のり | 「悪いことも一言、よいことも一言、言いわける神」(『古事記』) |
| 出会った天皇 | 雄略天皇 |
| すがた | 天皇の行列とそっくりの姿であらわれた |
1. そっくりの行列
『古事記』下巻です。
- あるとき、雄略天皇が葛城山にのぼると、家臣たちはみな、赤い紐のついた青摺りの衣を着ていました
- すると、むこうの山の尾根を、のぼってくる人びとがいました。「ちょうど天皇の行列のようで、その装束も、人も、よくにていて見わけがつかない」
- 天皇は「この日本の国に、わたしのほかに君主はいない。そのような姿で行くのはだれか」とたずねさせました。すると、むこうの答えも、天皇の言葉とまったく同じでした

メル美こだまみたいに、同じ言葉がかえってくるんだ!
2. 矢をつがえて
- 天皇はひどくおこって、弓に矢をつがえ、家臣たちもみな矢をつがえました。すると、むこうの人たちもみな矢をつがえました
- 天皇は言いました。「それなら名を名のれ。たがいに名のって、矢をはなとう」
- むこうは答えました。「わたしが先に問われたのだから、先に名のろう。わたしは、悪いことも一言、よいことも一言、言いわける神、葛城の一言主の大神だ」
3. おそれかしこむ天皇
- 天皇はおそれかしこんで言いました。「おそれおおいことです、わが大神よ。このように、うつし身の姿をおもちとは思いませんでした」
- そして、大刀や弓矢をはじめ、家臣たちの着ている衣までぬがせて、拝んでささげました。一言主の大神は手をうってそのおくりものをうけとりました
- 天皇が帰るときには、大神は山の峰に集まって、長谷の山口まで見送った、と書かれています

プレ男強い天皇でも、神さまだとわかったら、すぐにかしこまるんだね。

『古事記』では、葛城山で天皇の行列とそっくりの姿であらわれた神が、「悪いことも一言、よいことも一言、言いわける神、葛城の一言主の大神だ」と名のりました。
4. 『日本書紀』の一事主神
『日本書紀』巻第十四、雄略天皇4年の春2月の記事では、話が少しちがいます。
- 天皇が葛城山で狩りをしていると、背の高い人があらわれました。「顔も姿も、天皇ににていた」
- 天皇は、それが神だとわかっていながら、「どこの方か」とたずねました。背の高い人は「現人之神(あらひとがみ)である。先に王の名を名のれ」と答えました。天皇が名のると、「わたしは一事主神である」と名のりました
- そして、天皇と神はいっしょに狩りをたのしみ、1頭のシカを追い、矢をゆずりあい、くつわをならべて馬を走らせました。言葉はうやうやしく、「仙人に出会ったよう」だったといいます
- 日がくれて狩りが終わると、神は天皇を来目水まで見送りました。人びとはみな「徳のある天皇だ」と言った、と書かれています
まとめ
- 一言主の大神は、葛城山の神
- 雄略天皇の前に、天皇の行列とそっくりの姿であらわれ、言葉もそのままくりかえした
- 「悪いことも一言、よいことも一言、言いわける神」と名のった
- 『古事記』では、天皇はおそれかしこんで、大刀や弓矢、家臣の衣をささげた
- 『日本書紀』では、天皇と神はいっしょに狩りをたのしんだ
- 『古事記』中巻のアメノヒボコ、ホムチワケ、日本神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『古事記』武田祐吉訳. 下卷「雄略天皇」(葛城山の一言主の大神). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 『日本書紀』卷第十四(雄略天皇四年二月). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/日本書紀/卷第十四 (閲覧日:2026年10月10日)
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