
プレ男「民のかまど」って、聞いたことあるような…。どんな話?

メル美ごはんをたく煙を見て、人々のくらしを知ろうとした天皇の話なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の「仁徳天皇と民のかまど」です。『古事記』下つ巻(武田祐吉訳、青空文庫)と、『日本書紀』巻第十一の原文(ウィキソース)を読みました。同じ仁徳天皇の時代の話枯野(からの)の船もどうぞ。日本神話の全体は日本神話の入門へ。
プロフィール
| 仁徳天皇 | 『古事記』下つ巻のはじめに出てくる天皇 |
| 見たもの | 家々から炊事の煙がのぼっていない |
| 決めたこと | 3年のあいだ、税と労役をすべてやめる |
| 宮殿 | 垣がくずれ、屋根がこわれて雨がもっても、なおさせなかった |
| たたえる名 | 「聖(ひじり)の御世」(古事記)、「聖帝」(日本書紀) |
1. 煙のない国
- 『古事記』です。あるとき、天皇は高い山に登って四方を見わたし、こう言いました。「国の中に煙が立っていない。これは国がすべて貧しいからである。今から3年のあいだ、人民の租税と労役をすべてゆるせ」
- 『日本書紀』では、即位4年の春、天皇が高い台から遠くを見て、群臣にこう言います。「国の中に煙が立たない。人々はすでに貧しく、家で炊事をする者がいないのだろう。都のまわりでさえ足りない者がいるのだから、遠い国々はなおさらだ」

メル美煙がないのは、ごはんをたけない家が多いから…。煙でくらしぶりを読みとったんだね。
2. 雨もりの宮殿
- 『古事記』によると、税をやめたので、宮殿がこわれて雨がもっても、修理しませんでした。天皇は、もる雨を樋(とい)で受け、雨のもらない所にうつってすごしました
- 『日本書紀』はもっとくわしく書いています。天皇は、衣やくつも、すりきれるまでとりかえず、ごはんや汁も、すっぱくなるまでとりかえませんでした。宮殿の垣がくずれてもつくらず、かやぶきの屋根がこわれてもふきかえず、すきまから入る風雨で衣がぬれ、屋根のすきまから星が見えたといいます
- そのあいだに、風雨は時にかない、五穀がよくみのり、3年のうちに人々はゆたかになりました
3. 「人々が豊かなら、わたしも豊かだ」
- 『日本書紀』では、即位7年の夏、天皇はまた台の上から遠くを見ました。煙がたくさん立ちのぼっていました。天皇は皇后に言いました。「わたしはもう豊かになった。何の心配があろう」
- 皇后は言いました。「宮殿の垣はくずれてもなおせず、建物はこわれて衣もぬれています。何が豊かなのですか」
- 天皇は答えました。「天が君主をたてるのは、人々のためである。だから君主は人々を本とする。……人々が貧しければわたしも貧しく、人々が豊かならわたしも豊かなのだ。人々が豊かで君主が貧しいということは、まだないのだ」

プレ男屋根から星が見える宮殿でも「豊かだ」って言えるなんて…。
4. 人々がたてた宮殿
- 『日本書紀』によると、国々の人々は「税も労役もゆるされて3年がたち、宮殿はくちて、倉もからです。いま人々は豊かです。いま税を出して宮殿をなおさなければ、天に罪をえるでしょう」とねがいでましたが、天皇はまだがまんして、ゆるしませんでした
- 即位10年の冬、天皇ははじめて税と労役を命じ、宮殿をつくらせました。すると人々は、命じられなくても、老人をささえ、子どもの手をひいて集まり、材木を運び、昼も夜も力をつくして、まもなく宮殿はできあがりました。それで、いまも「聖帝」とたたえられる、と書かれています
- 『古事記』も、のちに税と労役を命じたところ、人々はさかえて、労役に出るのも苦しまなかったので、この御世を「聖の御世」とたたえる、と書いています

『古事記』では、天皇は国に煙が立っていないのを見て、3年のあいだ税と労役をやめ、宮殿が雨もりしても修理せず、国に煙がみちてから、はじめて税と労役を命じました。
まとめ
- 仁徳天皇は、高い所から国を見て、家々に炊事の煙がのぼっていないことに気づいた
- 3年のあいだ税と労役をやめ、宮殿が雨もりしても修理しなかった
- やがて国に煙がみち、天皇は「人々が豊かなら、わたしも豊かだ」と言った(日本書紀)
- 宮殿をなおすときには、人々がすすんで集まった(日本書紀)
- 同じ時代の枯野の船、古事記中つ巻のオホモノヌシと三輪山の糸、日本神話の入門、古事記中つ巻のホムチワケもどうぞ
参考文献
- 武田祐吉訳『古事記』(下つ巻 仁徳天皇). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 『日本書紀』巻第十一(仁徳天皇 4年・7年・10年). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/日本書紀/卷第十一 (閲覧日:2026年10月10日)
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