
プレ男船が琴になったって、どういうこと?

メル美大きな木から船になって、船から塩を焼くたきぎになって、さいごに琴になったんだって。ものを大切にするお話みたい。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本神話の枯野(からの)という船です。『古事記』下巻の仁徳天皇の段「枯野という船」を武田祐吉の現代語訳(青空文庫)で、『日本書紀』巻第十(応神天皇)を原文(ウィキソース)で読みました。日本神話の全体は日本神話の入門へ。

「箏(こと)」17世紀前半、日本。金具は後藤程乗。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。物語の琴とは関係のない、のちの時代の琴です
プロフィール
| 『古事記』 | 『日本書紀』 | |
|---|---|---|
| どの段 | 仁徳天皇の段 | 応神天皇5年・31年 |
| 船のもと | ウキ河の西の大きな木 | 伊豆の国につくらせた、長さ10丈の船 |
| 名前の由来 | — | かるくはやく走ったので枯野(注には「軽野」のなまりかとも) |
| 船のつとめ | 朝夕に淡路島の清水をくむ | 長く官の船として使われた |
| さいご | 塩を焼き、のこりで琴に | 塩を焼き、のこりで琴に |
1. 影が淡路島にとどく木
『古事記』です。
- 仁徳天皇の時代、ウキ河の西に高い木がありました。「その木の影は、朝日にあたると淡路島までとどき、夕日にあたると河内の高安山をこえた」
- この木を切って船をつくると、とてもはやく走る船になりました。その名を「カラノ(枯野)」といいました
- 人びとはこの船で、朝に夕に淡路島の清水をくんで、天皇の飲み水としました

メル美影が島までとどくって、どれだけ大きな木なの!
2. 塩と琴
- この船がこわれると、その木で塩を焼き、焼けのこった木をとって琴をつくりました。すると、「その音は七つの里に聞こえた」といいます
- そこで、こんな歌がうたわれました。「船のカラノで塩を焼いて、そのあまりを琴につくって、ひけば鳴る。ユラの海峡の、海中の岩にふれて立つ、海の木のように、さやさやと鳴りひびく」
3. 『日本書紀』の枯野
- 『日本書紀』では、応神天皇5年、伊豆の国に長さ10丈の船をつくらせました。海にうかべてみると、「かるくうかんで、はやく走ること、馬がかけるようだった」ので、その船を「枯野」と名づけた、とあります。注には、「かるくはやいので枯野と名づけたというのは、意味がちがう。軽野(かるの)が、のちの人になまったのではないか」と書かれています
- 応神天皇31年、天皇は家臣たちに言いました。「官の船、枯野は、伊豆の国がおさめた船だ。くちて使えなくなったが、長く官のために使われたその功をわすれてはならない。この船の名を絶やさず、のちの世に伝えるにはどうしたらよいか」
- そこで、船の木をたきぎにして塩を焼くと、500かごの塩がとれました。それを国々にくばって船をつくらせると、国々から500そうの船がおさめられた、と書かれています
- 塩を焼いた日、ふしぎと燃えのこった木がありました。天皇はふしぎに思って琴をつくらせると、「その音はさえて、遠くまで聞こえた」といいます

プレ男古くなった船の「功をわすれない」って、いいね。最後まで役に立って、琴として音がのこったんだ。

『古事記』では、こわれた船カラノで塩を焼き、焼けのこった木でつくった琴の音は、七つの里に聞こえたと書かれています。
まとめ
- 枯野は、とてもはやく走った船
- 『古事記』では、影が淡路島までとどく大木からつくられ、淡路島の清水をくんだ
- こわれたあとは塩を焼くたきぎとなり、のこった木でつくった琴の音は遠くまでひびいた
- 『日本書紀』では、伊豆の国がおさめた船で、天皇は「その功をわすれてはならない」と言った
- 同じ仁徳天皇の民のかまど、同じ『古事記』の春山の霞壮夫と秋山の下氷壮夫、一言主の大神、日本神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『古事記』武田祐吉訳. 下卷「仁德天皇」の「枯野という船」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 『日本書紀』卷第十(應神天皇五年十月、三十一年八月の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/日本書紀/卷第十 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Koto (箏), early 17th century(2007.194a–f、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/505626 (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。


