
プレ男「春山の霞」と「秋山の下氷」って、名前がきれいだね。季節の神さま?

メル美兄弟の神さまのお話なんだって。藤の花がたくさん出てくる、春らしいお話なの。でも、約束をやぶるとこわいことに…。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本神話の春山の霞壮夫(はるやまのかすみおとこ)と秋山の下氷壮夫(あきやまのしたびおとこ)です。『古事記』中巻の応神天皇の段「秋山の下氷壮夫と春山の霞壮夫」を、武田祐吉の現代語訳(青空文庫)で読みました。武田は前書きで「同じく異類婚姻説話であるが、前の物語に比してずっと日本ふうになっている。海幸山幸物語との類似点に注意」と書いています。日本神話の全体は日本神話の入門へ。

歌川広重「ツバメと藤」1840年代半ば。木版画。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 秋山の下氷壮夫 | 春山の霞壮夫 | |
|---|---|---|
| 立場 | 兄 | 弟 |
| したこと | 弟と賭けをし、約束をまもらなかった | 母のつくった藤の衣で、イヅシ乙女と結ばれた |
| さいご | 母ののろいで8年わずらった | — |
| イヅシ乙女 | 多くの神がのぞんでも、だれも妻にできなかった神の娘 |
| 母 | 兄弟の母。藤のつるで、一晩で衣と弓矢をつくった |
1. 兄と弟の賭け
- イヅシ乙女という神の娘がいました。たくさんの神がこの乙女を妻にしようとしましたが、だれもかないませんでした
- 兄の秋山の下氷壮夫は、弟に言いました。「わたしはイヅシ乙女を妻にしたいが、できない。おまえにできるか」。弟の春山の霞壮夫は「たやすいことです」と答えました
- 兄は言いました。「もしおまえが乙女を妻にできたら、上下の衣をゆずり、背の高さほどのかめに酒をつくり、山と川の産物をすべてそろえて、ごちそうしよう」
2. 藤の花の衣
- 弟がそのことを母に話すと、母は藤のつるをとって、一晩のうちに、衣・はかま・くつしたまで織りぬい、さらに弓矢もつくって、弟に着せ、乙女の家へ行かせました
- すると、その衣も弓矢も、すべて藤の花になりました
- イヅシ乙女がその花をふしぎに思って持ち帰るとき、弟はそのあとについて部屋に入り、ふたりは結ばれて、ひとりの子が生まれました

メル美衣がぜんぶ藤の花に! 花をふしぎに思ってくれたのがきっかけなんだね。
3. やぶられた約束
- 弟は兄に「わたしはイヅシ乙女を妻にしました」と言いました。けれども兄は、弟が結ばれたことをねたんで、賭けたものをはらいませんでした
- 弟が母にうったえると、母は言いました。「わたしたちの世のことは、すべて神のしわざにならうものです。それなのに、この世の人のしわざにならったのか、その物をつぐなわない」
4. 母ののろい
- 母は兄をうらんで、イヅシ川の中州の竹で目のあらい大きなかごをつくり、川の石を塩にまぜて竹の葉につつみ、のろいの言葉を言いました
- 「この竹の葉が青いように、この竹の葉がしおれるように、青くなってしおれよ。この塩がみちたりひいたりするように、みちひきせよ。この石がしずむように、しずみふせ」
- それをかまどの上におかせると、兄は8年のあいだ、かわき、しおれ、病みふせりました
- 兄が泣き悲しんで母にねがうと、母はのろいの品をもとにもどし、兄の体はもとどおり安らかになりました

プレ男約束をやぶったら8年も…。でも最後はゆるしてもらえてよかった。約束はちゃんとまもろう。

『古事記』では、母が藤のつるで一晩でつくった衣と弓矢が、すべて藤の花に変わったと書かれています。
まとめ
- 秋山の下氷壮夫(兄)と春山の霞壮夫(弟)は、兄弟の神
- 兄は、弟がイヅシ乙女を妻にできたら、衣や酒をやると賭けをした
- 母が藤のつるで一晩でつくった衣と弓矢は、藤の花に変わり、弟は乙女と結ばれた
- 兄は約束をまもらず、母ののろいで8年わずらったが、泣いてねがうと、もとにもどった
- 大木の船が琴になった話枯野という船、同じ応神天皇の段のアメノヒボコ、武田がにていると書いた海幸山幸の話のトヨタマヒメ、日本神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『古事記』武田祐吉訳. 中卷「應神天皇」の「秋山の下氷壯夫と春山の霞壯夫」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Utagawa Hiroshige, Swallow and Wisteria, mid-1840s(JP254、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/36726 (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。


