
プレ男トンボが天皇を助けたの!? 小さな虫なのに?

メル美うでにくいついたアブを、トンボが食べてくれたんだって。それがきっかけで、日本の国のよび名の歌がうまれたの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の『古事記』のトンボとアキヅ野です。『古事記』下つ巻の雄略天皇の段「吉野の宮」「葛城山」(武田祐吉訳、青空文庫)を読みました。同じ「葛城山」の章のもうひとつの話は一言主へ。雄略天皇の段のほかの話は三重の采女の歌と引田部の赤猪子へ。
プロフィール
| 吉野の宮 | 天皇が吉野川のほとりの乙女に出会い、のちに琴をひいて舞わせ、歌をよんだ |
| アキヅ野 | 吉野の野。トンボ(蜻蛉)がアブを食べたことから名がついた |
| 蜻蛉島 | 天皇の歌に出てくる、大和の国のよび名 |
| 葛城山の大イノシシ | 天皇が鏑矢で射たイノシシがおこっておそってきた |
| ハンの木 | 天皇がにげのぼった、岡の上の木 |
1. 吉野の舞
- 天皇が吉野の宮へ行ったとき、吉野川のほとりに美しい乙女がいて、天皇はその乙女を宮へつれて帰りました
- のちにまた吉野へ行ったとき、天皇は乙女に会った場所に椅子をおき、自分で琴をひいて、乙女に舞わせました。乙女がよく舞ったので、天皇は歌をよみました
- 「椅子にいる神さまが、御手ずからひかれる琴にあわせて舞を舞う女は、いつまでもいてほしいことだな」
2. アブとトンボ
- それから天皇は、吉野のアキヅ野で狩りをしました。天皇が椅子にすわっていると、アブがうでにくいつきました
- すると、トンボがとんできて、そのアブを食べて、とんでいきました
- 天皇は歌をよみました。「吉野のヲムロが嶽にイノシシがいると、陛下に申しあげたのはだれか。天下をおさめる天皇は、イノシシを待って椅子にすわり、白い織物の袖でよそおっておられる。その御手の肉にアブがとりつき、そのアブをトンボがはやく食い……このように名をもとうと、この大和の国を、蜻蛉島というのだ」
- そのときから、その野を「アキヅ野」というのだ、と『古事記』は語ります

メル美トンボのおかげで、野の名前と、国のよび名の歌ができたんだ! トンボって、むかしから大切にされていたんだね。
3. 葛城山の大イノシシ
- またあるとき、天皇が葛城山の上にのぼると、大きなイノシシが出てきました
- 天皇が鏑矢でイノシシを射ると、イノシシはおこって、大きな口をあけてむかってきました
- 天皇は、くいつかれそうなのをおそれて、ハンの木の上にのぼりました。そして歌をよみました
- 「天下をおさめる天皇の、お射になったイノシシの、手負いのイノシシがくいつくのをおそれて、わたしがにげのぼった、岡の上のハンの木の枝よ」

プレ男天皇が木ににげのぼって、それを正直に歌にしちゃうなんて! なんだか親しみがわくね。

武田祐吉訳の『古事記』では、天皇のうでにくいついたアブをトンボが食べたことから、その野をアキヅ野といい、天皇は歌で大和の国を「蜻蛉島」とよんだ、と語られています。
まとめ
- 雄略天皇は、吉野川のほとりの乙女に琴にあわせて舞わせ、「いつまでもいてほしい」と歌った
- 吉野で狩りをしたとき、天皇のうでにくいついたアブを、トンボが食べてとんでいった
- 天皇は歌で、大和の国を「蜻蛉島」とよび、その野は「アキヅ野」とよばれるようになった
- 葛城山では、手負いの大イノシシにおわれて、天皇はハンの木にのぼり、そのことを歌によんだ
- 同じ葛城山の章の一言主、雄略天皇の段の三重の采女の歌と引田部の赤猪子もどうぞ
参考文献
- 武田祐吉訳『古事記』(下つ巻 雄略天皇「吉野の宮」「葛城山」). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月12日)
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