
プレ男杯に葉っぱが1枚入っていただけで、そんなにおこられるの!?

メル美そうなの。でも、采女はおちついて歌をうたって、ピンチをチャンスにかえちゃうんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の『古事記』の三重の采女の歌です。『古事記』下つ巻の雄略天皇の段「春日のヲド姫と三重の采女」(武田祐吉訳、青空文庫)を読みました。同じ雄略天皇の段の話は引田部の赤猪子と一言主へ。
プロフィール
| 場所 | 長谷の、大きなケヤキ(槻)の木の下の酒宴 |
| 三重の采女 | 伊勢の国の三重から来た采女(宮中につかえる女性) |
| できごと | 采女がささげた杯に、ケヤキの落ち葉がうかんでいた |
| 采女の歌 | 宮殿と、天・東国・田舎をせおうケヤキの枝をたたえ、落ち葉を「うかんだ脂」にたとえた |
| 天語歌 | 采女・皇后・天皇の3首の歌は「天語歌」とよばれる |
1. 杯の中の葉
- 雄略天皇が、長谷の大きなケヤキの木の下で酒宴をしていたとき、伊勢の国の三重から来た采女が、杯をささげました
- ところが、そのケヤキの葉が落ちて、杯にうかんでいました。采女はそれに気づかずに、酒をさしあげてしまいました
- 杯にうかぶ葉を見た天皇は、いかって、采女を罰しようとしました。そのとき采女は言いました。「わたくしを殺さないでください。申しあげることがございます」

メル美こわい場面…。でも、ここで「申しあげることがございます」って言えるの、すごい勇気だね。
2. ケヤキをたたえる歌
采女はうたいました(武田祐吉訳から)。
- 「纏向の日代の宮は、朝日の照りわたる宮、夕日の光のさす宮、竹の根のみちている宮、木の根の広がっている宮です」
- 「その新酒をめしあがる御殿に生いたっている、いっぱいにしげったケヤキの木の枝は、上の枝は天をせおっています。中の枝は東国をせおっています。下の枝は田舎をせおっています」
- 「上の枝の枝先の葉は、中の枝に落ちてふれあい、中の枝の枝先の葉は、下の枝に落ちてふれあい、下の枝の枝先の葉は、三重から来た子のささげている立派な杯に、うかんだ脂のように落ちつかって、水音もころころと……これはまことにおそれおおいことでございます。とうとい日の御子さま」
- この歌をささげたので、天皇は罪をゆるしました
3. 皇后と天皇の歌
- 皇后もうたいました。「大和の国のこの高町で、小高い市の高台の、新酒をめしあがる御殿に生いたっている、広い葉の清らかなツバキの木。その葉のように広らかにおいでになり、その花のようにかがやいておいでになる、とうとい日の御子さまに、お酒をさしあげなさい」
- 天皇もうたいました。「宮廷につかえる人々は、ウズラのように頭巾をかけ、セキレイのように尾をふりあって、スズメのように前にすすんで、今日もまた酒宴をしているようだ。立派な宮廷の人々」
- 武田祐吉訳では、この3首は「天語歌」とよばれ、天皇は宴で三重の采女をほめて、たくさんのものをあたえた、と書かれています

プレ男1枚の落ち葉を、世界をせおう大きな木の話にしちゃうなんて! さいごはごほうびまでもらえて、よかったね。

武田祐吉訳の『古事記』では、三重の采女は、ケヤキの上の枝は天を、中の枝は東国を、下の枝は田舎をせおっていると歌い、杯の落ち葉をそのめぐみにたとえて、ゆるされました。
まとめ
- 雄略天皇の酒宴で、三重の采女がささげた杯に、ケヤキの落ち葉がうかんでいた
- いかった天皇に、采女は「申しあげることがございます」と言って歌をうたった
- 歌は、宮殿と、天・東国・田舎をせおうケヤキの枝をたたえ、杯の落ち葉を「うかんだ脂」にたとえた
- 天皇は罪をゆるし、皇后と天皇も歌をよんだ。3首は「天語歌」とよばれる
- 同じ雄略天皇の段の引田部の赤猪子と一言主、『日本書紀』の仁徳天皇の鳥と氷もどうぞ
参考文献
- 武田祐吉訳『古事記』(下つ巻 雄略天皇「春日のヲド姫と三重の采女」). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
