
プレ男王さまの大きな儀式を、少年がとめたの!? どうやって?

メル美王さまをことばでたたえて、「ほうびをあげよう」って言わせたんだって。頭がいいよね。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のアースティーカです。『マハーバーラタ』第1巻アーディ・パルヴァの「アースティーカの巻」第51〜58章(K.M.ガングリ英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。ジャナメージャヤ王がかたきうちを決めるきっかけになった話はウッタンカと王妃の耳かざりへ。ヘビたちとあらそった神鳥はガルダへ。
プロフィール
| ジャナメージャヤ王 | パリクシット王の子。父をヘビの王タクシャカにかまれてなくした |
| ヘビの供養 | ヘビたちの名をよび、火にひきよせる大きな儀式 |
| タクシャカ | ヘビの王。おそれてインドラのもとへにげこむ |
| ヴァースキ | ヘビの王。一族をすくうために、妹を聖仙ジャラトカールにとつがせていた |
| アースティーカ | ジャラトカールと、ヴァースキの妹(同じ名のジャラトカール)の子。ヴェーダにくわしい少年 |
| アースティーカの願い | 「供養を終わらせ、これ以上ヘビが火に落ちないように」 |
1. ヘビの供養
- ジャナメージャヤ王は、「父の命をうばったタクシャカに、かたきをうたねばならない」と、祭官たちにたずねました。祭官は「神々がさだめた、ヘビの供養という大きな儀式があります」と答えました
- 儀式の場をはかっていたとき、土台づくりにくわしい男が言いました。「この土地と、はかった時を見ると、この儀式は終わらないでしょう。ひとりのバラモンが、そのわけになります」。王は、門番に、だれも王のゆるしなしに入れないよう命じました
- 儀式がはじまり、祭官たちがヘビたちの名をよんでささげものをすると、ヘビたちは自分のからだを思うように動かせなくなり、つぎつぎに火へひきよせられていきました
- 物語は、これは、むかしヘビたちの母カドルーがかけたのろいのためだった、と語ります
2. ヴァースキのたのみ
- タクシャカは、儀式のことを聞くと、インドラの宮殿へにげこみ、あやまちをみとめて守ってもらいました
- 一族がわずかになっていくのを見たヘビの王ヴァースキは、胸がはりさけそうになり、妹ジャラトカールに言いました。「そなたを聖仙ジャラトカールにとつがせたのは、このときのためだった。むかし、ブラフマー神が、アースティーカがこの供養を終わらせる、と言ったのだ」
- 母から話を聞いた少年アースティーカは、ヴァースキに言いました。「おじさん、もうおそれることはありません。わたしのことばは、じょうだんでも、うそになったことはありません。今日、王を祝福のことばでよろこばせて、供養をやめさせます」

メル美お母さんの一族をまもるために、ひとりで王さまのところへ行くんだね。かっこいい!
3. 少年のことば
- アースティーカは、門番にとめられましたが、門番をよろこばせて、儀式の場に入りました
- そして、王と祭官たちと聖なる火をたたえました。「むかし、ソーマやヴァルナもプラヤーガで儀式をおこなったが、パリクシットの子よ、あなたの儀式は、それにおとらない。わたしたちの大切な者たちに、さいわいがありますように」
- 「あなたは、ヴァシシュタのようにいかりをおさえ、ヤマのように正しくさばく」——アースティーカは、むかしの王や神々の名をあげて、王をたたえつづけました
- 王は言いました。「この者は少年なのに、かしこい年よりのように話す。ほうびをあたえたい」
4. 「供養をやめてください」
- 祭官たちは、「タクシャカがまだ来ていません」と言いました。王が儀式をいそがせると、インドラがあらわれ、タクシャカはインドラの上着の中にかくれていました。けれども、儀式のことばのために、インドラはタクシャカをはなして自分の宮殿へもどり、タクシャカは空から火のほうへ落ちてきました
- そのとき、王は「どんな願いでもかなえよう」と言いました。アースティーカは言いました。「ジャナメージャヤ王よ、願いをかなえてくださるなら、この供養を終わらせ、これ以上ヘビが火に落ちないようにしてください」
- 王は「金でも銀でも牛でも、ほかのものをあげよう。どうか供養はやめさせないでくれ」とたのみましたが、アースティーカは「金も銀も牛もいりません。母の一族がすくわれるように、供養を終わらせてください」と言いました
- 落ちてくるタクシャカに、アースティーカは3度「とまれ、とまれ、とまれ」と言いました。タクシャカは、天と地のあいだにとどまりました
5. 約束をまもった王
- 祭官たちも口をそろえて「このバラモンに願いをかなえてあげてください」と言い、王は「アースティーカの言うとおりにしよう。供養を終わらせ、ヘビたちを安全に」と言いました。よろこびの声が、空にひびきわたりました
- 王は、儀式のはじめに「ひとりのバラモンがわけになる」と言った男にも、たくさんのほうびをあたえ、アースティーカを「こんどの馬の儀式にも、来てほしい」と言って、ていねいに送りだしました
- すくわれたヘビたちは、アースティーカにお礼をしたいと言いました。物語では、アースティーカがのぞんだのは、「この話を朝や夕べに読む人を、ヘビたちがおそれさせないこと」だった、と語られています

プレ男かたきうちにこだわっていた王さまも、さいごは約束をまもって、少年を大事にしたんだね。

ガングリ訳の『マハーバーラタ』では、アースティーカは「金も銀も牛もいりません。母の一族がすくわれるように、供養を終わらせてください」とたのみ、王はその願いをかなえました。
まとめ
- ジャナメージャヤ王は、父のかたきのタクシャカをうつため、ヘビたちを火によびよせるヘビの供養をはじめた
- ヘビの王ヴァースキは、妹の子アースティーカに、一族をすくってほしいとたのんだ
- アースティーカは、王をことばでたたえ、「どんな願いでもかなえる」という約束をとりつけた
- アースティーカは、金も銀もことわり、「供養を終わらせてください」とたのんだ。王は約束をまもった
- かたきうちのきっかけになったウッタンカ、ヘビたちとあらそったガルダ、同じ第1巻のヘビにまつわる話ルルもどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Adi Parva, Astika Parva, Sections LI–LVIII. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月12日)
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