
プレ男先生の奥さんへのお礼に、王妃の耳かざり!? ずいぶん大きなお礼だね。

メル美しかも、それをヘビの王さまにぬすまれちゃうの。地下のヘビの国では、ふしぎな光景を見るんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のウッタンカです。『マハーバーラタ』第1巻アーディ・パルヴァの第3章「パウシャの巻」(K.M.ガングリ英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。ウッタンカをたすけた神々の王はインドラ、火の神はアグニへ。
プロフィール
| ウッタンカ | バラモンのヴェーダに学んだ弟子 |
| お礼の品 | 師の妻がのぞんだ、パウシャ王の王妃の耳かざり |
| 期限 | 4日後の聖なる日。その日に、耳かざりをつけてバラモンたちの前に出たい |
| じゃまをした者 | ヘビの王タクシャカ。耳かざりをほしがっていた |
| たすけた神 | インドラ(雷で穴を広げた) |
| ヘビの国で見たもの | 黒と白の糸で布を織る2人の女、6人の少年がまわす12本の輻の車輪、馬をつれた男 |
1. 師へのお礼
- ウッタンカは、師ヴェーダによくつかえ、師は「わが子よ、おまえはよくつくしてくれた。帰ってよい。のぞみがかなうように」と言いました
- ウッタンカは、「学んだお礼(謝礼)をおさめてから帰りたい」とたのみました。師は「妻に、何をもってくればよいか聞きなさい」と言いました
- 師の妻は答えました。「パウシャ王のところへ行き、王妃がつけている耳かざりをもらってきなさい。4日後の聖なる日に、それをつけてバラモンたちの前に出たいのです」
2. 見えない王妃
- 道のとちゅう、ウッタンカは、とても大きな牛に乗った背の高い男に会いました。男は「この牛のものを口にせよ。おまえの師も、むかし口にした」と言い、ウッタンカはそのとおりにしました
- パウシャ王は「王妃のところへ行って、たのみなさい」と言いましたが、ウッタンカが行っても、王妃の姿は見えません
- 王は言いました。「食事のあとの清めが、きちんとできていないのではないか。王妃は、けがれのある人には見えないのだ」。ウッタンカは、いそいで立ったまま口をすすいだことを思いだしました
- ウッタンカが東をむいてすわり、顔や手足をていねいに清めてから行くと、こんどは王妃が見えました。王妃はよろこんで耳かざりをわたし、「ヘビの王タクシャカが、この耳かざりをほしがっています。気をつけて運んでください」と言いました
3. うばわれた耳かざり
- 帰り道、ウッタンカは、見えたり消えたりする物ごいを見かけました。ウッタンカが耳かざりを地面において水をくみに行くと、物ごいがすばやく耳かざりをひろって、にげていきました
- やっとのことで追いついてつかまえると、物ごいは姿をすて、タクシャカの正体をあらわして、地面の大きな穴へ入り、ヘビの国へ帰ってしまいました
- ウッタンカは棒で穴をほろうとしましたが、なかなか進みません。それを見たインドラが、雷(ヴァジュラ)を送りました。雷は棒の中に入り、穴を大きく広げました

メル美インドラの雷が、シャベルのかわりになったんだ! 神さまも応援してくれてたんだね。
4. ヘビの国のふしぎ
- 穴に入ったウッタンカが見たヘビの国は、はてしなく広く、塔や丸屋根や門のある宮殿が何百もならんでいました。ウッタンカはヘビたちをたたえる歌をうたいましたが、耳かざりはかえってきません
- そのときウッタンカは、2人の女が、黒と白の糸で、はたを織っているのを見ました。また、6人の少年が、12本の輻(や)の車輪をまわしていました。そして、りっぱな馬をつれた男がいました
- ウッタンカがその男をたたえると、男は「この馬に息をふきこめ」と言いました。ふきこむと、馬のからだじゅうから火と煙がふきだし、ヘビの国はもえそうになりました
- おどろいたタクシャカは、耳かざりをもってとびだしてきて、「どうか、耳かざりをおもちください」とかえしました
5. 聖なる日にまにあう
- 今日がその聖なる日だと気づいたウッタンカに、男は「この馬に乗れ。すぐに師の家へ運んでくれる」と言いました
- その朝、師の妻は、髪をととのえながら、ウッタンカが時間までにもどらなければ、のろいをかけようと考えていました。そこへウッタンカが帰ってきて、耳かざりをさしだしました
- 師の妻は言いました。「ウッタンカ、ちょうどよい時に、よい所へもどりました。よく来ましたね、わが子よ。あなたのねがいがかないますように」
6. 師の説明
ウッタンカが見たもののわけを、師はこう説明しました。
- 「2人の女は、ダーターとヴィダーター。黒と白の糸は、夜と昼だ。6人の少年がまわす12本の輻の車輪は、6つの季節からなる1年だ」
- 「男は雨の神パルジャニヤ、馬は火の神アグニだ。道で見た牛は象の王アイラーヴァタ、それに乗っていたのはインドラ。おまえが口にしたものは、不死の飲みもの(アムリタ)だった。だから、ヘビの国でも命をおとさなかったのだ」
- このあと、ウッタンカはタクシャカへのいかりをいだいて、ジャナメージャヤ王(父をタクシャカにかまれてなくした王)のもとへ行きました。語り手は、この話が、王の「ヘビの供養(ヘビのいけにえの儀式)」がおこなわれたわけのひとつだと語っています。供養の結末はアースティーカとヘビの供養へ

プレ男黒と白の糸が夜と昼で、車輪が1年…。時間そのものを、布や車輪にたとえていたんだね。

ガングリ訳の『マハーバーラタ』では、師は、黒と白の糸は夜と昼、6人の少年がまわす12本の輻の車輪は6つの季節からなる1年だ、と説明しています。
まとめ
- 弟子ウッタンカは、師の妻へのお礼として、パウシャ王の王妃の耳かざりをもらいに行った
- 耳かざりはヘビの王タクシャカにうばわれたが、インドラの雷にたすけられてヘビの国へ入った
- ヘビの国では、夜と昼を織る女たちと、1年をあらわす車輪を見た
- 火の神アグニである馬の力で耳かざりをとりもどし、聖なる日にまにあった
- ウッタンカをたすけたインドラ、火の神アグニ、同じ第1巻のヘビにまつわる話ルルもどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Adi Parva, Section III(Paushya Parva). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月12日)
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