
プレ男アグニって、ゲームの火の魔法の名前で聞いたことある!

メル美インドの火の神さまなんだって。いちばん古い聖典の、いちばん最初の歌の神さまだよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はインド神話のアグニです。『リグ・ヴェーダ』(R.T.H.グリフィス訳、第1巻1896年、インターネット・アーカイブ)の英訳と訳注を読みました。インド神話の全体はインド神話の入門へ。

「すわる苦行者、神格化された王、アグニ(火の神)」3世紀ごろ、インド(ウッタル・プラデーシュ州カウシャンビー)。青銅。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。美術館の題名は、この像が誰をあらわすかについて3つの見方をならべています
プロフィール
| 立場 | 火の神。『リグ・ヴェーダ』で、インドラにつぐ大切な神(グリフィスの注) |
| 役目 | 天と地のあいだの使者。人間のそなえものを神々へ運び、神々を祭りの場へよぶ |
| よび名 | 「えらばれた祭官(プローヒタ)」「よびよせる祭官(ホータル)」「夜をはらう者」「ジャータヴェーダス」 |
| 生まれ | 2本の火きり棒から。「2度生まれる子」 |
1. 最古の聖典の、最初の歌
『リグ・ヴェーダ』第1巻1番は、こう始まります。
- 「わたしはアグニをたたえる。えらばれた祭官、神、いけにえのつかさ、よびよせる祭官、もっとも気前よく富をあたえる者を」
- 「アグニは、むかしの聖者たちにも、いまの人びとにもたたえられるにふさわしい。アグニが、神々をここへつれてくる」
- 「アグニによって、人は富を得る。日ごとにふえるゆたかさ、すぐれた子どもたちにめぐまれた、名高い富を」
- 「アグニよ、あなたがまわりをかこむいけにえは、まちがいなく神々のもとへとどく」
- 「夜をはらう者アグニよ、わたしたちは日ごとに祈りをささげ、うやまいを持ってやってくる」
- 「父が息子にするように、わたしたちに近づきやすくあってください」

メル美「父が息子にするように、近づきやすく」って、火を身近な家族みたいに感じていたんだね。
2. 天と地をむすぶ使者
グリフィスは、この歌の注でアグニをこう説明しています。
- アグニは、『リグ・ヴェーダ』の神々の中で、インドラにつぐ大切な神(グリフィスの注)
- 「天と地のあいだの使者で、なかだちをする者」。人間の歌を神々に伝え、そなえものを神々のもとへ運ぶ
- パチパチという炎の音で神々をよび、祭りの場へまねきよせる
- 人間の祭官たちのさまざまな役目を、ひとりでになう。だから「えらばれた祭官」「よびよせる祭官」とよばれる
- すべての富はアグニの手にあり、そなえものをする人に、いちばん気前よくむくいる
3. 2本の火きり棒から生まれる
『リグ・ヴェーダ』第3巻29番は、火をおこすようすをうたいます。
- 「ここに火きりの道具がある。ここに火花を受ける火口(ほくち)も用意した。母なる木をもってきなさい。むかしのやり方で、アグニをこすり出そう」
- 「2本の火きり棒の中に、ジャータヴェーダス(アグニ)はねむっている。身ごもった女の人の中の、よく育った子のように」
- 「男たちよ、かしこく、うそのない、不死の、とても美しいアグニを、こすって生まれさせよ」
- 「男たちが腕でまっすぐこすると、アグニは木の中で、赤い色の、強い馬のようにかがやき出る」
- 「仲間たちよ、大きな煙をあげよ!」
- グリフィスの注によると、「火きりの道具」は上の火きり棒と、それを回すひものこと。火口は、炎を受けるためのかわいたクシャ草のひとたば。「母なる木」は、火花が生まれる下の木です

プレ男火をおこすことそのものが、神さまの誕生だったんだ!
4. 「2度生まれる子」
- 第1巻60番の歌で、アグニは「2度生まれる子」とよばれています。グリフィスの注は、その意味を2通りに説明しています
- 天と地から生まれ、さらに2本の火きり棒からもう一度生まれる
- または、火きり棒から生まれ、さらに祭りできよめられるときにもう一度生まれる
- 同じ注は、アグニを「いけにえの旗」(パチパチという炎の音で、祭りを知らせるから)、「すばやく動く使者」(神々と人間のあいだの使い)ともよんでいます

グリフィスの注によると、アグニは、人間のそなえものを神々のもとへ運び、神々を祭りの場へよびよせる、天と地のあいだの使者でした。
まとめ
- アグニは火の神。最古の聖典『リグ・ヴェーダ』は、アグニをたたえる歌で始まる
- 人間のそなえものを神々に運び、神々をよびよせる、天と地のあいだの使者
- 2本の火きり棒の中に、「身ごもった子のように」ねむり、こすると「赤い強い馬のように」かがやき出る
- 天と地から、そして火きり棒から生まれる「2度生まれる子」
- インド神話の全体はインド神話の入門へ。雷の神インドラ、ヴィシュヌ、同じ『リグ・ヴェーダ』でとむらいの歌によびかけられる死者の王ヤマの記事もどうぞ
参考文献
- Griffith, Ralph T.H.(英訳). The Hymns of the Rigveda, Vol. I(1896年). Book I, Hymn I(訳注を含む); Book III, Hymn XXIX(訳注を含む); Book I, Hymn LX の訳注. Internet Archive. https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.104118 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Seated Ascetic, Deified King, Agni (The God of Fire), India (Kaushambi, Uttar Pradesh), ca. 3rd century(1984.499、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/38970 (閲覧日:2026年10月10日)
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