
プレ男ガルーダって、インドネシアの航空会社の名前にもなってる鳥だよね!

メル美『マハーバーラタ』では、お母さんを助けるために天から不死の飲みものをうばってくる鳥なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 幻獣の解説、今回はインドのガルダ(ガルーダ)です。K.M.ガングリ訳『マハーバーラタ』第1巻「アーディ・パルヴァ」の中の「アースティーカの巻」(プロジェクト・グーテンベルク)の英訳を読みました。インド神話の全体はインド神話の入門へ。

サジュヌ「ガルダに乗るヴィシュヌ」1810〜20年ごろ、インド(パハーリー派、マンディ)。紙に不透明絵の具と金(余白をのぞいて切り出し)。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 名前 | ガルダ(英訳では Garuda)。「スパルナ(美しい羽をもつもの)」ともよばれる |
| 母 | ヴィナター |
| 兄 | アルナ(のちに太陽神スーリヤの御者になった) |
| 宿敵 | ヘビたちと、その母カドゥルー |
| 力 | 姿を思いのままにかえ、どこへでも飛ぶ。1枚の羽で大地と海と山をささえられる |
| 主人 | ヴィシュヌ(ガルダはヴィシュヌの乗りものになった) |
1. 500年待った卵
- ヴィナターと、そのライバルのカドゥルーは、どちらも子をのぞみました。カドゥルーは1000匹のヘビの卵をうみ、ヴィナターは2つの卵をうみます
- なかなか生まれないので、ヴィナターは待ちきれずに卵を1つわってしまいました。中の子は上半身しかできていませんでした。その子は怒って母をのろいます。「早くわったから、あなたは奴隷になる。もう1つの卵を、500年こわさずに待てば、その子があなたを奴隷から救うだろう」。この子が、朝の空に見える太陽の御者アルナです
- 500年たって、もう1つの卵からかがやくガルダが生まれました
2. 白い馬のしっぽ
- ヴィナターとカドゥルーは、海から生まれた神馬ウッチャイシュラヴァスのしっぽの色で賭けをしました。負けたほうが、勝ったほうの奴隷になる約束です
- カドゥルーは、子のヘビたちに黒い毛になって、しっぽにぶらさがれと命じます。2人が見に行くと、月の光のように白い馬のしっぽに、黒い毛がたくさんありました。こうしてヴィナターは賭けに負け、奴隷になってしまいます
- 母のわけを聞いたガルダは、ヘビたちにたずねます。「何をもってくれば、何をすれば、この奴隷の身から自由になれるのか」。ヘビたちは答えました。「力ずくでアムリタ(不死の飲みもの)をもってこい」
3. 回転する刃の輪と、2匹のヘビ
- ガルダは金色にかがやく体になって、アムリタ(英訳ではソーマ)のある場所にとびこみました
- アムリタのそばには、神々が泥棒をこまぎれにするために作った、かみそりのように鋭い鋼の輪が、休まず回っていました。ガルダは一瞬止まってすきまを見つけ、体を小さくして、輪のスポークのあいだをくぐりぬけました
- その内側には、炎のようにかがやく2匹の大きなヘビが見はっていました。まばたきをしない目でにらまれた者は、たちまち灰になってしまいます。ガルダはちりで目をおおい、見えないうちにヘビたちをたおしました
- ガルダはアムリタをつかんで飛びたちましたが、自分では一滴も飲みませんでした

プレ男不死の飲みものを手に入れたのに、自分では飲まないなんて!
4. ヴィシュヌとインドラとの約束
- 帰り道、ヴィシュヌは、ガルダが飲まなかったことによろこび、願いをかなえようと言いました。ガルダは「あなたより上にいたい。アムリタを飲まなくても、不死で病気にならない身になりたい」とねがい、どちらもかなえられます
- ガルダもヴィシュヌに願いを聞くと、ヴィシュヌは「わたしの乗りものになってほしい」とたのみ、ガルダを車の旗ざおにのせました。「こうすれば、おまえはわたしより上にいられる」
- つづいてインドラが雷を投げつけました。ガルダは笑って、「雷のもとになった聖仙の骨と、雷と、あなたに敬意をはらって、羽を1枚落とそう。痛みはまったく感じなかった」と言いました。その羽の美しさに、人びとはガルダを「スパルナ(美しい羽をもつもの)」とよびました
- ガルダは、「わたしは1枚の羽で、山と森と海をのせた大地を、あなたごとささえられる」と言いつつ、インドラと友だちになり、「アムリタは、わたしが置いたあとで、あなたがとりもどしていい」と約束しました
5. ヘビの舌が2つに分かれたわけ
- ガルダは母のもとへ帰り、ヘビたちに言いました。「アムリタをもってきた。クシャ草の上に置くから、身をきよめてから飲むといい。約束どおり、きょうから母を自由にしてくれ」
- ヘビたちが身をきよめに行っているあいだに、インドラがアムリタをもちさってしまいました。もどってきたヘビたちは、アムリタが置かれていたクシャ草を舌でなめました
- そのため、ヘビの舌は2つに分かれ、アムリタにふれたクシャ草は、それから聖なる草になった、と『マハーバーラタ』は語ります

メル美ヘビの舌が2つに分かれている理由まで説明しちゃうんだ。おもしろい!

ガングリ訳『マハーバーラタ』では、ガルダはアムリタをうばいながら、自分では一滴も飲みませんでした。
まとめ
- ガルダは、500年卵の中にいた、鳥の王
- ヘビたちの母カドゥルーとの賭けに負けて奴隷にされた母を救うため、アムリタをうばった
- 回転する刃の輪をくぐりぬけ、見はりのヘビをたおしたが、自分では飲まなかった
- ヴィシュヌの乗りものになり、インドラの雷にも羽1枚を落としただけだった
- ヘビたちがアムリタのあとの草をなめて、舌が2つに分かれた
- 『ラーマーヤナ』の大ワシジャターユ、ガルダを乗りものにしたヴィシュヌ、雷の神インドラ、インド神話の入門もどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Adi Parva, Astika Parva, Sections XVI, XX, XXIII, XXVII, XXXIII–XXXIV. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Sajnu, Vishnu on Garuda, India (Pahari School, Mandi), ca. 1810–20(2019.144、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/822850 (閲覧日:2026年10月10日)
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