
プレ男カエルとネズミが戦争!? 神話というより、おもしろ話?

メル美戦いの叙事詩をまねた、古代ギリシャのパロディの詩なんだって。神さまたちも出てきて、大まじめにふざけているの(笑)。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャの『カエルとネズミの合戦』です。ヒュー・G・エヴリン=ホワイト訳『ヘシオドス、ホメロス風賛歌とホメリカ』(1914年、プロジェクト・グーテンベルク)におさめられた『カエルとネズミの合戦』を読みました。同じ本の話はホメロスとヘシオドスの歌くらべへ。神々の会議に出てくる女神はアテナへ。
プロフィール
| 詩の名 | 『カエルとネズミの合戦』(バトラコミュオマキア)。ホメロスの作と言われてきたが、エヴリン=ホワイトによると、スーダ(辞典)は作者をカリアのピグレスとしている |
| エヴリン=ホワイトの説明 | 「戦いの叙事詩のパロディ」。武者たちのふうがわりな武具の一覧がおもしろい |
| パフ・ジョー | カエルの王(英訳の名は Puff-jaw「ふくらみあご」)。池じゅうでうやまわれている |
| クラム・スナッチャー | ネズミ(英訳の名は Crumb-snatcher「パンくずひろい」)。父はブレッド・ニブラー(パンかじり) |
| ネズミの武具 | 豆のさやのすね当て、ランプのふたの盾、針の槍、豆のからのかぶと |
| カエルの武具 | ゼニアオイの葉のすね当て、キャベツの葉の盾、イグサの槍、カタツムリのからのかぶと |
| 結末 | ゼウスがおくったカニの軍勢に、ネズミたちはにげだし、「1日の戦争」はおわった |
1. 池をわたるネズミ
- 詩は、ムーサたちによびかけてはじまります。「ネズミたちがカエルたちを相手に勇気をしめし、大地の巨人たちのてがらにもおとらなかった、そのおそろしい戦いを、歌いたい」
- ある日、のどのかわいたネズミが、池のほとりで水を飲んでいると、カエルの王パフ・ジョーが声をかけました。「旅の人よ、あなたはだれか。友にふさわしければ、わが家へまねこう」
- ネズミのクラム・スナッチャーは、自分は人間と同じものを食べるとじまんしました。「パンもチーズもハムも、はちみつのお菓子も食べる。……でも、この世でこわいのは、タカとイタチと、罠だ」
- パフ・ジョーは「わたしの背中にのりなさい。わが家へつれていこう」と言い、ネズミはその背中にのって池へこぎだしました
2. ヘビと、ふりおとされたネズミ
- はじめはよろこんでいたネズミも、波が体をあらうと、こわくなって泣きだしました。「エウロペを背にのせてクレタへわたった牛は、こんなふうではなかったろうに」
- そこへ水ヘビがあらわれました。おどろいたパフ・ジョーは、友のことも考えずに水の底へもぐってしまい、ネズミは池に落ちて、おぼれてしまいました
- ネズミは、しずむまぎわに言いました。「パフ・ジョーよ、このうらぎりはむくいをうけるぞ。ネズミの軍勢が、きっとおまえをこらしめる」

メル美こわくなって、友だちをおいてにげちゃった…。そこから戦争になっちゃうんだね。
3. 豆のさやの武具
- それを見ていた仲間が知らせると、ネズミたちはいかり、父のブレッド・ニブラーが「武装して、カエルたちにむかおう」とよびかけました
- ネズミたちは、かじった豆のさやをすね当てにし、イタチの皮で胸当てをつくり、ランプのふたを盾に、針を槍に、豆のからをかぶとにしました
- カエルたちも、ゼニアオイの葉のすね当て、ビートの葉の胸当て、キャベツの葉の盾、イグサの槍、カタツムリのからのかぶとで武装しました
4. アテナのもんく
- ゼウスは神々を天にあつめ、「だれがカエルを、だれがネズミを助けるか」とたずねました。そして、アテナに「ネズミを助けてはどうか。いつもおまえの神殿でたのしんでいるのだから」と言いました
- アテナは答えました。「ネズミなんか助けません。わたしの花かざりやランプの油をだいなしにし、苦労して織った神聖な衣に穴をあけたのですから。おかげで、織るのに借りたお金の利息を、金貸しにせっつかれているんです」
- 「でもカエルも助けません。戦いから帰ってつかれていたとき、さわいでねむらせてくれず、ニワトリが鳴くまで頭がいたかったのです。神々よ、見物していましょう」

プレ男女神アテナが、借金の利息になやんでいる(笑)。神さまがこんなことを言うなんて、たしかにパロディだね!
5. 1日の戦争
- ブヨが大きなラッパで戦いをしらせ、ゼウスが雷をとどろかせて、戦いがはじまりました。ホメロスの戦いの場面をまねて、英雄たちの名乗りやいさましい戦いが、カエルとネズミで大げさに語られます
- やがて、つよいネズミのスライス・スナッチャーが、クリのいがを手にはめてあばれ、カエルたちは池へにげこみました。ゼウスはカエルをあわれみ、雷をなげましたが、ネズミたちはひきさがりません
- そこでゼウスは、助けをおくりました。背中によろいをつけ、まがったはさみをもち、横歩きをする、目がうしろについた、8本足の生きもの——カニです
- カニたちがはさみでネズミのしっぽや足をはさむと、ネズミたちはこわくなってにげだしました。日はしずみ、「1日の戦争」はおわりました

エヴリン=ホワイト訳の『カエルとネズミの合戦』では、アテナが「ネズミはわたしの衣に穴をあけ、カエルはさわいでわたしをねむらせなかった。神々よ、見物していましょう」と言っています。
まとめ
- 『カエルとネズミの合戦』は、戦いの叙事詩をまねた、古代ギリシャのパロディの詩
- カエルの王パフ・ジョーの背からふりおとされたネズミのクラム・スナッチャーのかたきをうとうと、ネズミたちは豆のさやや針で武装した
- 神々の会議で、アテナは「ネズミは衣に穴をあけ、カエルはうるさい」と、どちらも助けなかった
- さいごはゼウスがおくったカニの軍勢にネズミがにげだし、「1日の戦争」はおわった
- 同じ本のホメロスとヘシオドスの歌くらべ、もんくを言った女神アテナ、神々の王ゼウスもどうぞ
参考文献
- Hugh G. Evelyn-White(英訳). Hesiod, the Homeric Hymns, and Homerica(1914年). “The Battle of Frogs and Mice” と序論(The Burlesque Poems). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/348 (閲覧日:2026年10月12日)
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