
プレ男鳥が餅になって、それから芋になった!? どういうこと?

メル美『豊後国風土記』の国の名のはじまりの話なんだって。人の声を聞くと、おこってわきあがる温泉の話もあるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の『豊後国風土記』の国の名と、人の声におこる湯です。『豊後国風土記』の原文(ウィキソース「古風土記/豐後國風土記」)の、はじめの部分と日田郡の条を読みました。ほかの風土記の話は印南の別嬢と白い犬、童子女の松原と白鳥の里、出雲の2つのほら穴へ。人の名や地名には、原文にない読みがなはつけていません。
プロフィール
| 話 | あらすじ |
|---|---|
| 豊国のはじまり | 豊国直の祖先兎名手が見た、白い鳥→餅→芋の草のふしぎ。天皇が「豊国」の名をあたえた |
| 日田郡 | 女神久津媛が人の姿になって、天皇をむかえた |
| 鏡坂 | 天皇が「この国の形は、鏡の面のようだ」と言った坂 |
| 五馬山の慍湯 | 地震でくずれた山からわいた湯。人の声を聞くと、1丈あまりもわきあがる |
1. 白い鳥と芋
- 『豊後国風土記』によると、豊後の国は、もとは豊前の国とあわせて1つの国でした
- 纏向の日代の宮で天下をおさめた大足彦天皇は、豊国直たちの祖先兎名手に、豊の国をおさめに行かせました
- 兎名手が豊前の国の仲津郡の中臣村で一夜をあかした、次の朝のことです。とつぜん、白い鳥が北からとんできて、この村にあつまりました
- 兎名手が家来に見に行かせると、鳥は餅に変わり、しばらくすると、さらに芋の草が何千株も生えてきました。その花と葉は、冬にもさかえていました
2. 「豊国」の名
- 兎名手はふしぎに思い、よろこんで言いました。「このように生まれた芋は、これまで見たことがない。まことに、天子の徳のしるし、天地のめでたいしるしだ」
- 兎名手は朝廷にのぼって、そのことを申しあげました。天皇はたいそうよろこび、兎名手に言いました。「天のめでたいもの、地のゆたかな草。おまえがおさめる国は、豊国とよぶがよい」
- そして、兎名手に「豊国直」の姓をあたえました。それで「豊国」といい、のちに2つの国にわけて、こちらを「豊後国」とよんだのだ、と風土記は語ります

メル美冬でも花と葉がしげる芋…。ゆたかな実りのしるしだから「豊国」なんだね。
3. 人の姿でむかえた女神
- 日田郡の名のいわれです。天皇が戦いからの帰り道、筑後の国の生葉の行宮をたって、この郡にやってきたとき、久津媛という神が、人の姿になってむかえに出て、国のようすをくわしく申しあげました
- それで「久津媛の郡」といい、いま「日田郡」というのは、それがなまったものだ、と書かれています(ウィキソースの本文では、「曰」にあたる字が「袁」と表示されています)
- 郡の西の鏡坂では、天皇が坂の上にのぼって国の形をながめ、「この国の地形は、鏡の面ににているな」と言ったので、鏡坂とよぶのだといいます
4. 人の声におこる湯
- 日田郡の南の五馬山では、飛鳥浄御原の宮で天下をおさめた天皇の時代の戊寅の年に、大きな地震があり、山や丘がさけくずれました。そのとき、あちこちから湯がわきでました
- 湯気はとても熱く、ごはんもすぐにたけるほどでした
- その中のひとつは、井戸のような穴で、さしわたし1丈あまり、深さもわからず、水の色は紺のようで、ふだんは流れていません
- ところが、人の声を聞くと、おこったようにわきあがり、1丈あまりもふきあがるのです。それで、いま「慍湯」(慍は、いかるという意味の字)というのだ、と風土記は書いています

プレ男人の声におこってふきあがる湯! 近くで大声を出したら、たいへんだね。

『豊後国風土記』では、北からとんできた白い鳥が餅になり、さらに冬にも花と葉がさかえる芋の草になったのを見て、天皇が「豊国」の名をあたえた、と伝えています。
まとめ
- 豊国直の祖先兎名手の前で、北からとんできた白い鳥が餅になり、何千株もの芋の草になった
- 天皇は「天のめでたいもの、地のゆたかな草」とよろこび、「豊国」の名をあたえた。のちにわけた国が豊後国
- 日田郡では、女神久津媛が人の姿になって天皇をむかえ、鏡坂では国の形が鏡にたとえられた
- 五馬山の「慍湯」は、人の声を聞くと1丈あまりもわきあがった
- ほかの風土記の印南の別嬢と白い犬、童子女の松原と白鳥の里、出雲の2つのほら穴もどうぞ
参考文献
- 『豐後國風土記』(冒頭の国名の条、日田郡・鏡坂・五馬山の条). ウィキソース(古風土記/豐後國風土記). https://zh.wikisource.org/wiki/古風土記/豐後國風土記 (閲覧日:2026年10月12日)
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