
プレ男プロポーズの条件が「わたしの家をほめる詩」!? むずかしそう…。

メル美ケルトでは、詩人や詩がとても大切にされていたんだって。その詩が、すごくきれいなの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はケルト神話のカエルとクレーデです。グレゴリー夫人『神々と戦士たち』(1904年、プロジェクト・グーテンベルク)の第2部、「白い浜の戦い」の巻の「カエルとクレーデ」と「クレーデのなげき」の章を読みました。同じフィン物語群の話はフィンが白髪になったわけ、猟犬ブランとスコローンの誕生へ。
プロフィール
| カエル | フィアナの若者。ネムナーンの孫で、東のレンスターの王の息子とされる |
| クレーデ | キアライ・ルアクラの王の娘で、妖精の丘(シー)の女性。金髪 |
| ムイレン | デルグの娘で、カエルの乳母。ブルー・ナ・ボーニャにいる |
| 求婚の条件 | クレーデの器や角杯や杯、館をほめたたえる詩をつくること |
| クレーデの館 | クーレ湖のほとり。銀と金でつくられ、屋根は鳥の赤い羽でふかれている |
| 結末 | 「白い浜の戦い」でカエルは海にしずみ、クレーデはなげきの歌をうたった |
1. 夢で見た姫
- フィンがフィアナの7つの軍団をあつめていると、若者のカエルがやってきました。「どこから来た」とたずねると、カエルは「ブルー・ナ・ボーニャから。乳母のムイレンに会いに行っていました」と答えました
- 「夢で見た、妖精の丘の女性との結婚のことです。わたしが見たのは、キアライ・ルアクラの王の娘、クレーデです」
- フィンは言いました。「知っているか。あの姫はアイルランドいちばんのくわせものだ。アイルランドの宝で、あの姫が自分の大きな館へうまくもっていかなかったものは、ほとんどない」
- 「姫が求婚にくる男に何をもとめるか、知っていますか」とカエル。フィンは「知っている。器や角杯や杯、りっぱな道具や館のことをほめたたえる詩をつくれる者でなければ、だれもむかえいれない」
- 「それなら、もう用意してあります。乳母のムイレンが、さずけてくれたのです」とカエルは言いました
2. 妖精の丘の戸をたたく
- 一行は、丘や石の多い地をこえて、西のクーレ湖まで行き、妖精の丘の戸を、金の口金のついた長い槍の柄でたたきました
- 日あたりのよい館の窓に、金髪の娘たちがあらわれ、クレーデが150人の女性をつれて出てきました
- 「あなたに求婚しに来ました」とフィン。「だれが、わたしに」とクレーデ。「ネムナーンの孫で、レンスターの王の息子、カエルです」
- 「うわさは聞いていますが、会ったことはありません。わたしのための詩は、ありますか」とクレーデがたずねると、カエルは「あります」と立ちあがり、詩をうたいはじめました

メル美乳母さんがつくってくれた詩なんだね。プロポーズも、みんなで応援していたんだ。
3. カエルの詩
- 「わたしには旅がある。かんたんな旅ではない。山のむねにある、クレーデの館への旅。7日のあいだ、くるしい旅をしなければならない」
- 「その館は楽しい。男たち、少年たち、女たち、ドルイドに楽師たち、杯をつぐ者に門番、そして金髪のクレーデが、みなをおさめている」
- 「クーレ湖のほとりの日あたりのよい館は、銀と金でできていて、屋根は、きずひとつなく、鳥の赤い羽でふかれている。戸の柱は緑で、まぐさは銀」
- 「館の人々は、しあわせだ。……館ののきで歌う妖精の丘の鳥の声を聞けば、傷ついた人も、ねむりにつくだろう」
- 「王の青銅のおけがあり、そこから心地よい麦の汁が流れでる。おけの上にはリンゴの木があり、クレーデの角杯をおけからみたすとき、4つのリンゴが、いっしょにその中へ落ちる」
- 「この歌は、急ごしらえの花嫁へのおくりものではない。形の美しいクレーデにささげる。わたしの訪れが、あなたにとって明るいものとなるように」
4. 結婚の宴
- そして、クレーデはカエルを夫にむかえ、結婚の宴がひらかれました
- フィアナはみな、そこに7日のあいだとどまり、飲んで楽しみ、あらゆるよいものにめぐまれた、と書かれています

プレ男リンゴが4つ、杯に落ちるなんて、想像するだけでステキ。ほめ上手は、モテるんだね!
5. クレーデのなげき
- しかし、そのあとの「白い浜の戦い」で、カエルは、さいごにのこった外国の戦士と海の中でたたかい、ともにしずんでしまいました
- カエルをさがしていたクレーデは、キツネからひなを守ろうと身を広げるツルや、つれあいをうしなってなげく雄ジカを見て、自分のかなしみを重ねました
- 波がカエルを浜にもどすと、クレーデはなげきの歌をうたいました。「港がとどろく、ああ、港がとどろく。……二つの犬の湖の英雄がしずんだのを、波が浜でなげいている」
- グレゴリー夫人の本では、クレーデはそのあと、カエルのそばで、かなしみのうちに息をひきとり、2人はひとつの墓にほうむられて、カイルテがその上に石をたてた、と語られています

グレゴリー夫人の本では、クレーデは自分の宝と館をほめたたえる詩をつくれる者だけをむかえいれる姫で、カエルは乳母ムイレンからさずかった詩をうたって、クレーデの夫になりました。
まとめ
- フィアナの若者カエルは、夢で見た妖精の丘の姫クレーデに求婚した
- クレーデは、自分の宝と館をほめたたえる詩をつくれる者だけをむかえいれる姫だった
- カエルは乳母ムイレンからさずかった詩をうたい、鳥の羽の屋根や、杯に落ちる4つのリンゴをたたえて、クレーデの夫になった
- のちの「白い浜の戦い」でカエルは海にしずみ、クレーデはなげきの歌をうたった
- 同じフィン物語群のフィンが白髪になったわけ、猟犬ブランとスコローンの誕生、オシーンの誕生もどうぞ
参考文献
- Lady Augusta Gregory. Gods and Fighting Men(1904年). Part II, Book Three “The Battle of the White Strand”: Chapter II “Cael and Credhe”、Chapter XIII “Credhe’s Lament”. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/14465 (閲覧日:2026年10月12日)
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