
プレ男英雄フィンが、いきなりおじいさんに!? どうして?

メル美妖精の乙女の、やきもちの魔法なんだって。フィアナの仲間たちが、フィンをすくうために大さわぎするの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はケルト神話(アイルランド)のフィンが白髪になったわけです。グレゴリー夫人『神々と戦士たち』(1904年、プロジェクト・グーテンベルク)の第2部第4巻第15章「スリーヴ・クリンの狩り」を読みました。フィンのことはフィン・マックールへ。フィンの猟犬は猟犬ブランとスコローンの誕生へ。
プロフィール
| 場所 | アルスターのスリーヴ・クリンの山と、その湖 |
| 灰色の子ジカ | フィンをさそいだした、ふしぎな子ジカ |
| 湖の乙女 | 金色の髪の美しい乙女。正体は妖精の国のミルフラ(クリンの娘) |
| 魔法のわけ | フィンが自分ではなく、姉妹のアーネに心をよせたことへのやきもち |
| クリン | クアルンゲの丘の主。一説ではマナナーン |
| 悲しみの湖 | 仲間たちは湖を「ドグラ湖(悲しみの湖)」と名づけた |
1. 湖の乙女
- フィンがアルムの野にいると、灰色の子ジカのようなものが野を走っていきました。フィンは猟犬をよびましたが、来たのはブランとスコローンだけでした
- 追いかけて、アルスターのスリーヴ・クリンまで来ると、子ジカは消えてしまいました。フィンが東へさがしに行くと、湖のほとりに、金色の髪で、肌は石灰のように白く、目は霜の夜の星のような、美しい乙女がすわっていました
- 乙女は悲しそうに言いました。「赤い金の指輪を、湖に落としてしまいました。フィアナのフィンよ、ちかいにかけて、湖からとってきてください」
2. 老人になったフィン
- フィンは服をぬいで湖に入り、湖を3度まわって、すみずみまでさがし、ついに指輪を見つけました
- フィンが水の中から指輪をわたしたとたん、乙女は水にとびこんで消えてしまいました
- 岸にあがったフィンは、服のところまで歩くこともできません。アイルランドのフィアナの長は、その一瞬で、弱々しくしなびた白髪の老人になっていたのです
- もどってきたブランとスコローンも、主人だとわからずに、湖のまわりをさがしまわりました

メル美たすけてあげたのに、こんな目にあうなんて…。犬たちにもわかってもらえないのは、つらいね。
3. 仲間たちの悲しみ
- アルムでは、フィンがいなくなって、フィアナの人々は悲しみました。ただコナンだけは「フィンがいなくなるなんて、こんなにうれしい音楽はない。1年いなければ、わたしが王になる」と言い、人々は悲しいながらも笑いをこらえきれませんでした
- カイルテたちは、さがしまわってスリーヴ・クリンへ来ると、湖のほとりに年老いた男がすわっていました。漁師だと思ってたずねると、老人はなかなか答えません。自分がフィンだと言う勇気がなかったのです
- やがて老人がすべてを話すと、フィアナの7つの部隊は、大きな悲しみの声を3度あげ、その湖を「ドグラ湖(悲しみの湖)」と名づけました
4. 金の器
- フィンは言いました。「これは、妖精の国のミルフラ(クリンの娘)の魔法だ。わたしが、姉妹のアーネに心をよせたのを、ねたんだのだ。クアルンゲのクリンの丘へつれていってくれ。わたしをもとにもどせるのは、クリンだけだ」
- 仲間たちはフィンを盾の上にそっとのせ、肩にかついで丘へ運びました。けれども、だれも出てきません。7つの部隊は3日3晩、丘をほりかえしつづけました
- とうとう、クリン(一説ではマナナーン)が、赤い金の器を手に、丘から出てきて、フィンにわたしました。フィンがその中のものを飲むと、すぐにもとの姿にもどりました
- けれども、髪だけは、もとの美しい色にもどりませんでした。クリンの娘がつくった湖は、もし世界じゅうの人が入れば、みな白髪になってしまうほどの湖だったのです

プレ男仲間が3日3晩も丘をほりつづけてくれたんだ。フィアナの友情、すごいね!
5. 未来を知る木
- フィンが器の中のものを飲みほすと、器は手からすべり落ちて、ほりかえされたやわらかい土の中に消えました
- その場所には1本の木が生えました。朝、何も食べないうちにその枝を見る人は、その日におこることをすべて知ることができた、と語られています

グレゴリー夫人の本では、クリンの金の器の飲みもので、フィンはもとの姿にもどりましたが、髪だけはもとの色にもどらなかった、と語られています。
まとめ
- フィンは灰色の子ジカを追って、スリーヴ・クリンの湖へ来た
- 湖に落ちた指輪をさがしてわたすと、フィンは白髪の老人になってしまった。妖精のミルフラの、やきもちの魔法だった
- フィアナの仲間たちは、3日3晩丘をほりかえし、クリンの金の器の飲みもので、フィンはもとの姿にもどった
- けれども髪は白いままで、器が消えたところには、未来を知る木が生えた
- フィンの物語フィン・マックール、フィンの猟犬のブランとスコローンの誕生、クリンだとも言われる海の神マナナーンもどうぞ
参考文献
- Lady Augusta Gregory. Gods and Fighting Men: The Story of the Tuatha de Danaan and of the Fianna of Ireland(1904年). Part Two, Book Four, Chapter XV(The Hunt of Slieve Cuilinn). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/14465 (閲覧日:2026年10月12日)
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