
プレ男美しすぎて、ふるさとにいられなくなった!? モテすぎるのも大変なんだね…。

メル美その王子が、海の神さまの国で出会った乙女の名前が、アイルランドの「波」の名前になったんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はケルト神話(アイルランド)のクリーナの波です。グレゴリー夫人『神々と戦士たち』(1904年、プロジェクト・グーテンベルク)の第1部第4巻第12章「クリーナの波」を読みました。この章は、海の神マナナーンの国をたずねた人々の話のひとつです。同じ本の妖精の国の話はロイガレと喜びの野へ。
プロフィール
| キーヴァーン | 英訳では Ciabhan of the Curling Hair(巻き毛のキーヴァーン)。アルスターの王の子。そのころ世界でいちばん美しい若者 |
| 時代 | フィアナ(フィンのひきいる戦士団)の時代 |
| ふしぎな騎手 | 金の手綱の、黒みがかった灰色の馬に乗る。9つの波のあいだ海にもぐり、10番めの波で、ぬれずにあらわれる |
| 約束の地 | ティール・タルンギレ。マナナーンの都がある |
| クリーナ | 英訳では Cliodna of the Fair Hair(金髪のクリーナ)。マナナーンの国のドルイドの長ゲヴァンの娘 |
| クリーナの波 | クリーナをさらった波。その名でよばれ、長く語りつがれる |
1. ふるさとを出る王子
- キーヴァーンは、月が星々よりすぐれているように、ほかの王子たちよりも美しい若者でした
- フィンはキーヴァーンを気に入っていましたが、フィアナの女性たちがみなキーヴァーンを好きになったので、男たちのやきもちが大きくなりすぎました。フィンは、フィアナのやきもちをおそれて、とうとうキーヴァーンを送りだしました
- キーヴァーンは浜べで、船尾が銅の、細い小舟(カラフ)を見つけて乗りこみました。「アイルランドでは、わたしには身をよせるところも、守ってくれる人もいない」
2. 波の騎手
- 海に出ると、山ほどもある白い波がさけび声をあげてわきあがり、キーヴァーンはおそろしくなりました。「陸の上なら、もっとうまく戦えるのに」
- そこへ、金の手綱をつけた黒みがかった灰色の馬に乗った騎手が近づいてきました。騎手は、9つの波のあいだ海の下にもぐり、10番めの波であらわれるのに、少しもぬれていませんでした
- 騎手は「この大きな危険から助けたら、何をくれるか」とたずね、「助けてくれた者に、つかえることだ」と言いました。キーヴァーンが手をさしだすと、騎手は王子を馬にひきあげ、小舟もいっしょに、約束の地(ティール・タルンギレ)の岸へつれていきました

メル美海の中を馬で走って、ぜんぜんぬれないなんて! 海の神さまの国の人なんだね。
3. 9本の柳の枝
- 2人は「小人の湖」をすぎて、マナナーンの都に着きました。宴がひらかれ、少年たちが角の杯をくばり、竪琴の音が館じゅうにひびいていました
- マナナーンの館には、芸をする道化たちがいました。そのひとつは、9本のまっすぐな柳の枝を屋根のはりまで投げあげ、片足で立ち、片手だけで、落ちてくる枝をうけとめる芸でした
- 道化たちは、自分たちのほかにはできないと思い、客にやらせて失敗するのを見るのがならいでした。けれども、枝をわたされたキーヴァーンは、ほかのことは何も習ったことがないかのように、みごとにやってのけました
4. クリーナの波
- マナナーンの国のドルイドの長ゲヴァンには、まだだれにも心をあたえたことのない娘、金髪のクリーナがいました。クリーナはキーヴァーンを見て心をよせ、次の日、いっしょに国を出ることにしました
- 2人は小舟で海をわたり、アイルランドの南の「テイテの浜」に着きました
- キーヴァーンは、クリーナを浜の小舟にのこして、森へシカをさがしに行きました
- ところが、マナナーンの館の人々が、40そうの船で追ってきました。小舟にいたユフヌがうらぎって、クリーナに音楽をきかせると、クリーナは舟の中で横になり、ねむってしまいました
- そのとき、大きな波が浜におしよせ、クリーナをさらっていきました。その波は、金髪のクリーナの名からよばれるようになり、物語は「長く語りつがれるだろう」と結ばれています

プレ男やっといっしょになれたのに、波にさらわれちゃうなんて…。せつないお話だね。

グレゴリー夫人の本では、マナナーンの館の人々が追ってきて、ねむらされたクリーナを大きな波がさらい、その波はクリーナの名でよばれるようになった、と語られています。
まとめ
- 美しすぎてふるさとにいられなくなった王子キーヴァーンは、小舟で海に出た
- 9つの波のあいだ海にもぐり、10番めの波でぬれずにあらわれる騎手が、王子を約束の地へつれていった
- マナナーンの館で、9本の柳の枝の芸をみごとにやってのけた
- ドルイドの娘クリーナと国を出たが、アイルランドの浜で、大きな波がクリーナをさらった。その波は「クリーナの波」とよばれる
- 海の神マナナーン、湖の中の妖精の国へ行ったロイガレ、妖精の乙女についていったコンラもどうぞ
参考文献
- Lady Augusta Gregory. Gods and Fighting Men: The Story of the Tuatha de Danaan and of the Fianna of Ireland(1904年). Part One, Book Four, Chapter XII(Cliodna’s Wave). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/14465 (閲覧日:2026年10月12日)
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