
プレ男クー・フリンって、アイルランドの最強の英雄だよね! ゲームでも槍の使い手で出てくる。

メル美「クランの犬」っていう名前の由来がおもしろいんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 英雄の解説、今回はケルト神話(アイルランド)のクー・フリンです。アイルランドの叙事詩『クーリーの牛争い(ターイン・ボー・クアルンゲ)』の英訳(L.W.ファラデー訳、1904年、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。おもに、1100年ごろの写本『褐色の雌牛の書』と、14世紀後半の写本『レカンの黄書』から訳されたものです。ケルト神話の全体はケルト神話の入門へ。

スティーヴン・リード「王に武具を求めるクー・フリン」1904年(エレノア・ハル『少年のためのクー・フリン』のさし絵)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン。作者は1948年没)
プロフィール
| 名前 | クー・フリン(英訳では Cuchulainn、「クランの犬」の意味) |
| 母 | アルスターの王コンホヴァルの妹デヒティレ |
| 父 | 話によってちがう。アルスターの戦士スアルタウ、妖精の丘の神の英雄ルー、または王コンホヴァル(ファラデーの序文) |
| 育ての親 | 王コンホヴァルや、アルスターの戦士たち |
| 御者 | ロイグ |
| 守ったもの | アルスターと、ムルテウネの野 |
1. 『クーリーの牛争い』とは
ファラデーの序文によると、
- 『クーリーの牛争い』は、アルスターの王コンホヴァルと、その甥でいちばんの戦士クー・フリンの物語の中心となる話です。言い伝えでは、紀元のはじめごろのこととされています
- コナハトの王アリルと女王メイヴは、財産くらべで負けないために、クーリーにいる褐色の牡牛を手に入れようと、アルスターに攻めこみます
- そのとき、アルスターの戦士たちは、ときどきおそってくるふしぎな病で動けず、アルスターを守ったのは、17歳のクー・フリンだけでした
2. 7歳の少年と、鍛冶屋の番犬
物語の中で、戦士コナル・ケルナハが、クー・フリンの子どものころの手がらを語ります。
- 鍛冶屋クランが、王コンホヴァルを宴にまねきました。王は出かけるとちゅう、少年たちの遊び場で、クー・フリンが150人の少年を相手に、ボール遊びでも、穴入れでも、すもうでも勝っているのを見ます
- 王は「いっしょに宴に来なさい」とさそいますが、少年は「まだ遊びたりません。あとから行きます」と答えました
- 宴の席で、クランが「だれかあとから来ますか」とたずねると、王は少年との約束を忘れていて、「いいえ」と答えます。クランは、3本の鎖に、それぞれ3人ずつでおさえる大きな番犬をはなし、門をしめました
- あとからやってきた少年に、番犬がおそいかかります。少年は遊びをつづけながら近づき、最後に番犬を両手でつかまえて、たおしてしまいました
- アルスターの人びとは、王の妹の子が殺されかけたとさわぎ、少年を王のひざにのせました

プレ男王さまが約束を忘れたせいで、大変なことに…!
3. 「わたしが番犬になる」
- そこへクランが入ってきて、なげきます。「ようこそ、少年よ。あなたの母のために。でも、宴など用意しなければよかった。わたしの番犬は、財産と家畜を守ってくれる、家族のようなものだったのだ」
- 少年は言いました。「たいしたことではありません。同じ血すじの子犬を、わたしがあなたのために育てます。その犬が育って役に立つようになるまで、わたしがあなたの家畜と、あなた自身を守る犬になります。ムルテウネの野も守りましょう」
- それを聞いたドルイドのカトバドが言いました。「それなら、おまえの名は「クー・フリン(クランの犬)」だ」。少年は「その名でけっこうです」と答えました

メル美うばってしまったものの代わりを、自分でひきうけたんだね。
4. 短い命でも、名高く
- 戦士フィアハが、つづけて語ります。あるとき、カトバドが弟子に「きょうは、武具をとる戦士にとってよい日だ。その名は永遠にアイルランドにひびくだろう」と教えていました
- それを聞いたクー・フリンは、王コンホヴァルのもとへ行って、武具を求めます。王が武具をあたえると、クー・フリンはふりまわして、たくわえてあった15組の武具をすべてこわしてしまいました。最後に、王自身の武具だけがたえました
- あとから来たカトバドは「この子にとっては、よくないことだ」と言います。そして「この日に武具をとる者は、まちがいなく名高くなる。だが、命は短い」と告げました
- クー・フリンは答えます。「すばらしい。名高くなれるなら、この世に1日しかいなくてもかまわない」

ファラデー訳『クーリーの牛争い』で、クー・フリンは「名高くなれるなら、この世に1日しかいなくてもかまわない」と答えています。
まとめ
- クー・フリンは、アルスターの王コンホヴァルの甥で、アルスターいちばんの戦士
- 7歳のとき、鍛冶屋クランの番犬をたおし、「わたしが代わりに番犬になる」と言って、「クランの犬」と名づけられた
- 「この日に武具をとる者は名高くなるが命は短い」と聞き、「名高くなれるなら1日でもいい」と答えた
- 17歳で、病で動けないアルスターをひとりで守った
- 少年クー・フリンにはっぱをかけた戦いの女神モリガン、父ともいわれるルー、ケルト神話の入門もどうぞ
参考文献
- L. Winifred Faraday(英訳). The Cattle-Raid of Cualnge (Tain Bo Cualnge): An Old Irish Prose-Epic(1904年、Leabhar na h-Uidhri と Yellow Book of Lecan から). Introduction; Cuchulainn’s boyhood deeds(Culann’s hound, the taking of arms). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/14391 (閲覧日:2026年10月10日)
- Stephen Reid. “Cuchulain Desires Arms of the King”(Eleanor Hull, The Boys’ Cuchulain, 1904年のさし絵). Wikimedia Commons(パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cudesiresarms.jpg (閲覧日:2026年10月10日)
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