
プレ男モリガンって、ゲームでは魔女っぽいキャラだよね。本当はどんな女神さま?

メル美アイルランドの戦いの女神なんだって。「戦いのカラス」っていうよび名もあるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はケルト神話(アイルランド)のモリガンです。グレゴリー夫人『神々と戦士たち』(1904年、プロジェクト・グーテンベルク)の英訳を読みました。夫人は、ちがう版をまぜあわせ、つなぎの文を入れたと書いています。ケルト神話の全体はケルト神話の入門へ。

J.C.ライエンデッカー「戦いにのぞむクー・フリン」1911年(T.W.ロールストン『ケルト民族の神話と伝説』のさし絵)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン。作者は1951年没)。英雄クー・フリンの上を、黒いカラスが飛んでいます
プロフィール
| よび名 | 「大女王(グレート・クイーン)」「戦いのカラス」 |
| 一族 | ダーナ神族(トゥアハ・デ・ダナン) |
| 仲間の女王 | バドヴ、マハ |
| すまい | ゲール人が来る前はタラ(テウィル)に住んでいた |
| すがた | たくさんの姿をもち、ときにはカラスの姿でたたかった |
| 子 | メヒ(3つの心臓をもっていた) |
1. 霧と火の雨
- ダーナ神族がアイルランドに来て、先に住んでいたフィル・ボルグ族とむかいあったとき、3人の女王バドヴ、マハ、モリガンは、フィル・ボルグ族が作戦を立てていたタラへ行きました
- 3人は魔法で、あたり一帯に霧と暗い雲をかけ、人びとの上に火と血の雨をふらせて、3日のあいだ、たがいに見ることも話すこともできないようにしました
- 3日目の終わりに、フィル・ボルグ族の3人のドルイドが、その魔法をやぶりました
2. ダグザとの約束
- フォモール族との「マグ・トゥレドの大いくさ」の前、ダグザは、コナハトのウニウス川で、「戦いのカラス」モリガンに出会いました。女神は、川の南と北の岸に片足ずつおいて、身をあらっていて、髪は9つの房にほどけていました
- モリガンはダグザに、ダグザをおどしたフォモールのインデフの「心臓の血」を、アイルランドの人びとにもってくる、と約束します
3. 戦場をはげまし、勝利を告げる
- 戦いがはじまり、インデフがたおれると、モリガンが戦場にあらわれ、ダーナ神族を「よくたたかえ」とはげましました
- そして、ダグザとの約束のとおり、インデフの血を両手いっぱいにすくって、ウニウス川の浅瀬で待つ軍勢にわたしました。その浅瀬は、それから「ほろびの浅瀬」とよばれた、といいます
- 戦いのあとも、生きのこったフォモールの4人が、穀物や乳を荒らしてまわっていましたが、あるサウィン(冬のはじまり)の夜、モリガンとアンガス・オーグが追いはらい、フォモールは二度とアイルランドを支配しませんでした
- 勝利のあと、モリガンは、軍勢と、アイルランドの王の丘々、大きな川や河口に、勝ちいくさの知らせを告げました
- 「天まで平和を。天は地へ、地は天の下に。すべての者に力を」

メル美戦いの女神なのに、最後のことばは「平和」なんだね。
4. ふしぎな焼き串
- グレゴリー夫人の本の「モリガン」の章によると、モリガンはタラで、3種類の食べものを一度に焼ける串を持っていました。生の肉と、調理した肉と、バターを1本の串にさしても、生の肉は焼け、焼けた肉はこげず、バターはとけない
- あるとき、9人のおたずね者がモリガンをたずね、自分たちにも串を作ってほしいとたのみます。もらった串には9本のあばらがあり、9人はそれぞれ1本ずつ持ち歩いて、日が暮れると集まりました。串は、人の背の高さにも、こぶしひとつ分の高さにもなった、といいます
5. クー・フリンへのはっぱ
- モリガンは、英雄クー・フリンの時代にも、アイルランドで戦いやもめごとをおこしていた、とグレゴリー夫人は書いています
- まだ少年のクー・フリンが、魔法にかけられて負けそうになっていたとき、モリガンがあらわれて言いました。「影の足もとで寝ているようでは、英雄になれないよ」。クー・フリンは立ちあがり、ハーリング(アイルランドの球技)の棒で、上に立っていた影の頭を打ちおとしました
- モリガンは牛のことにもよく口を出し、クルアハンの丘から牛をつれさろうとして、クー・フリンと言いあいになったこともありました

プレ男「英雄になれないよ」って言われたら、立ちあがるしかないな!
6. カラスの姿
- マグ・ラトの戦いでは、モリガンは鳥の姿でコンガル・クランの上をはばたき、コンガルは敵と味方の区別がつかなくなりました
- クロンターフの戦いでも、ブライアンの息子ムルハズの頭の上を飛んでいました。「モリガンはたくさんの姿をもち、ときにはカラスの姿でたたかった」とグレゴリー夫人は書いています

グレゴリー夫人の本では、モリガンは勝利のあと「天まで平和を。天は地へ、地は天の下に。すべての者に力を」と告げています。
まとめ
- モリガンは、「大女王」「戦いのカラス」とよばれる、ダーナ神族の戦いの女神
- バドヴ、マハとともに、魔法で霧と火の雨をふらせた
- マグ・トゥレドの戦いで神々をはげまし、「天まで平和を」と勝利を告げた
- 少年クー・フリンに「影の足もとで寝ているようでは、英雄になれない」とはっぱをかけた
- たくさんの姿をもち、カラスの姿でたたかった
- ダグザ、ルー、アンガス・オーグ、ケルト神話の入門もどうぞ
参考文献
- Lady Augusta Gregory. Gods and Fighting Men: The Story of the Tuatha de Danaan and of the Fianna of Ireland(1904年). Part I, Book I, Chapter I(The Fight with the Firbolgs); Book II, Chapter III(The Great Battle of Magh Tuireadh); Book IV, Chapter IV(The Morrigu). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/14465 (閲覧日:2026年10月10日)
- J.C. Leyendecker. Cuchulain in Battle(1911年、T.W. Rolleston, Myths and Legends of the Celtic Race のさし絵). Wikimedia Commons, File:Cuchulain in Battle.jpg(パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cuchulain_in_Battle.jpg (閲覧日:2026年10月10日)
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