
プレ男デメテルって、ペルセポネのお母さんだよね。季節ができた話の。

メル美そう。今回はお母さんのほうから見た話。人間の町で乳母をしていたんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はギリシャ神話のデメテルです。『ホメロス風讃歌』第2歌「デメテルへ」(H.G.エヴリン=ホワイト訳、1914年、プロジェクト・グーテンベルク)の英訳を読みました。むすめの側から見た話はペルセポネへ。

ニオビデスの画家「水がめ(ヒュドリア)」紀元前460〜450年ごろ、ギリシャ・アッティカ。テラコッタ。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。美術館の分類では、デメテルとペルセポネと車
プロフィール
| 立場 | 穀物と実りの女神。「季節をもたらす者、よい贈りものをあたえる者」 |
| 家族 | 父クロノス、母レア。きょうだいにゼウス、ハデス、ポセイドンなど。むすめペルセポネ |
| 聖地 | アテナイの近くのエレウシスの神殿 |
| 人間の姿のときの名 | 「ドソ」(クレタから来た老婆と名のった) |
| よび名 | 「デオ」 |
1. 老婆の姿で、人間の町へ
- むすめペルセポネが、ゼウスのはかりごとで、冥界の王ハデスにつれさられると、デメテルは9日間、たいまつを手にさがしまわりました。太陽神ヘリオスから本当のことを聞くと、デメテルはいっそう悲しみ、ゼウスに怒って、神々の集まりにも出なくなります
- デメテルは姿をかえて、人間の町や畑をさまよい、エレウシスの王ケレオスの館の近くの道ばたにすわりこみました
- 水くみにきた王の4人のむすめたちに、デメテルは「わたしの名はドソ。クレタから海をこえて、心ならずもつれてこられた」と名のります。むすめたちは母メタネイラに話し、老婆を赤ちゃんの乳母としてむかえることになりました
2. わらわせたイアンベと、ミントの飲みもの
- デメテルが館の入り口に立つと、頭が天井にとどき、戸口が神々しい光でいっぱいになりました。メタネイラはおそれて席をすすめますが、デメテルはすわらず、だまって目をふせていました
- 気のきくイアンベが、銀の毛皮をかけた腰かけを出すと、デメテルはすわって、ベールで顔をおおいます。長いあいだ、だれにもあいさつせず、ほほえまず、食べも飲みもせず、むすめを思って悲しんでいました
- イアンベが、たくさんのじょうだんで、とうとうデメテルをほほえませ、わらわせました
- メタネイラがぶどう酒をすすめると、デメテルは「赤いぶどう酒を飲むのはおきてにかなわない」と言い、大麦の粉と水と、やわらかいミントをまぜた飲みものを作らせて受けとりました

メル美悲しみにくれる女神を、じょうだんでわらわせた人がいたんだ。
3. 火の中の王子
- デメテルは、王子デモポンの乳母になりました。子は食べものも乳もあたえられないのに、不死の者のように育ちます。昼はデメテルがアンブロシアをぬって、あまい息をふきかけ、夜はたきぎのように火の中にかくしていたのです
- ある夜、それを見た母メタネイラは、おどろいてさけびました。「デモポン、わが子よ、よその女があなたを火の中にうずめている」
- デメテルは怒って子を火から取りだし、地面におきました。「おろかな人間たち。わたしはこの子を、死なず年をとらない者にし、永遠のほまれをあたえるつもりだった。でも、もう死と運命からのがれることはできない」
- そして言います。「わたしはデメテル。神々と人間の、いちばんの助けとよろこびのもと。人びとに、わたしのための大きな神殿と祭壇を建てさせなさい。わたしのまつりを、わたし自身が教えよう」
- デメテルが老いを脱ぎすてると、美しさがまわりに広がり、よい香りがただよい、金色の髪が肩にかかって、館はいなずまのような光でいっぱいになりました

プレ男お母さんがさけばなければ、王子は不死の神になれたのか…。
4. 芽の出ない1年
- 王ケレオスは人びとを集めて、丘の上にデメテルの神殿と祭壇を建てました。デメテルはそこにこもり、むすめを思ってやつれていきます
- そしてデメテルは、人間におそろしい1年をもたらしました。大地は種を芽ぶかせず、牛がすきを引いても、白い大麦をまいても、むだでした
- このままでは、人間はききんでほろび、神々もいけにえや供えものを受けられなくなります。ゼウスは虹の女神イリスを、つぎつぎにほかの神々を送りますが、デメテルの心はかわりません
- とうとうゼウスは、ヘルメスを冥界に送り、ペルセポネを母のもとへ帰させました。ただしペルセポネはザクロの種を食べていたので、1年の3分の1は冥界へもどることになります
5. エレウシスの秘儀
- 母レアのとりなしで、デメテルはゼウスとなかなおりし、すぐにゆたかな畑から実りを芽ぶかせました。広い大地は葉と花でいっぱいになりました
- デメテルは、エレウシスの王たち(トリプトレモス、ディオクレス、エウモルポス、ケレオスなど)に、自分のまつりのやり方を見せ、秘儀(ひみつのまつり)を教えました
- 讃歌は言います。「それは、だれもやぶったり、さぐったり、口にしたりしてはならない、おそれ多い秘儀だ。地上の人間で、この秘儀を見た者はしあわせである」

『ホメロス風讃歌』では、悲しみで何も口にしなかったデメテルを、イアンベがたくさんのじょうだんでわらわせています。
まとめ
- デメテルは穀物と実りの女神で、ペルセポネの母
- むすめをさがして、老婆ドソの姿でエレウシスへ。イアンベのじょうだんで、はじめてわらった
- 王子デモポンを火の中で不死にしようとしたが、母メタネイラに見つかり、正体をあらわした
- 神殿にこもったデメテルのせいで、大地は芽を出さず、ゼウスはペルセポネを帰させた
- エレウシスの王たちに、だれにも明かしてはならない秘儀を教えた
- むすめの話はペルセポネ、冥界の王はハデスへ
参考文献
- Homeric Hymns, II. To Demeter(英訳:Hugh G. Evelyn-White、1914年). Hesiod, the Homeric Hymns, and Homerica. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/348 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Niobid Painter, Terracotta hydria: kalpis (water jar), ca. 460–450 BCE(41.162.98、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/254270 (閲覧日:2026年10月10日)
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