
プレ男先生の言いつけをまもる弟子の話? ちょっときびしすぎない?

メル美「試験」として語られているんだって。古代インドで、師と弟子の関係がどう考えられていたかがわかるお話なの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のダウミヤの3人の弟子です。『マハーバーラタ』第1巻アーディ・パルヴァの第3章「パウシャの巻」(K.M.ガングリ英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。3人めの弟子ヴェーダの弟子の物語はウッタンカと王妃の耳かざりへ。ウパマニュの目をなおした神々はアシュヴィン双神へ。
プロフィール
| 弟子 | 試験 | 師のことば |
|---|---|---|
| アールニ(パンチャーラの人) | 水路のこわれ目に、自分のからだを横たえて水を止めた | 「これからはウッダーラカとよばれる」 |
| ウパマニュ | 食べものをつぎつぎに禁じられ、目が見えなくなっても師への礼をまもった | 「アシュヴィン双神の言ったとおり、さかえるだろう」 |
| ヴェーダ | 長いあいだ、暑さ寒さ、うえやかわきにも文句を言わずにつかえた | 師は満足し、ヴェーダはさいわいとあらゆる知識をえた |
1. アールニ ― からだで水を止める
- 仙人アーヨーダ・ダウミヤは、弟子アールニに、「畑の水路のこわれ目をふさいできなさい」と言いつけました
- 行ってみると、ふつうのやり方ではふさげません。こまったアールニは、こわれ目の中に自分のからだを横たえ、水を止めました
- しばらくして、師はほかの弟子たちとアールニをさがしに行き、「パンチャーラのアールニよ、どこにいる。こちらへおいで」とよびました
- アールニは水路から出てきて言いました。「ほかに方法がなかったので、自分が入って水をせきとめていました。先生の声を聞いて、水を流してしまいましたが、出てまいりました。何をすればよいでしょう」
- 師は言いました。「水路から立ちあがって水路をひらいたので、これからは『ウッダーラカ』とよばれるだろう。わたしの言いつけをまもったので、さいわいがある。すべてのヴェーダと法典が、おまえの中でかがやくだろう」
2. ウパマニュ ― 禁じられた食べもの
- 弟子ウパマニュは、牛の番を言いつけられました。夕方もどったウパマニュがふっくらしているのを見て、師は「何を食べているのか」とたずねました
- 「托鉢(たくはつ)でもらったものです」と答えると、師は「もらったものは、まずわたしにさしだしなさい」と言い、ぜんぶうけとりました
- ウパマニュがもう一度托鉢に行っていると知ると、師は「ほかの托鉢の人の分をへらすことになる」とさとしました。牛のミルクを飲んでいると知ると「わたしのゆるしなしに飲んではいけない」、子牛がのこした泡を飲んでいると知ると「子牛たちの食事のじゃまになる」と言いました
- 何も食べられなくなったウパマニュは、森でうえに苦しみ、アルカの葉を食べました。すると、その葉のせいで目が見えなくなり、はいまわるうちに、井戸に落ちてしまいました

メル美何も食べられなくなって、目も見えなくなって、井戸に落ちるなんて…。かわいそう。
3. アシュヴィン双神のお菓子
- 日がしずんでも帰らないので、師は弟子たちと森へさがしに行き、井戸の底からウパマニュの声を聞きました
- 師は「神々の医者である、ふたごのアシュヴィン双神をたたえなさい。目をなおしてくれるだろう」と言いました
- ウパマニュがたたえると、アシュヴィン双神があらわれ、「このお菓子を食べなさい」と言いました。ウパマニュは「先生にさしだす前に、食べるわけにはいきません」とことわりました
- 双神は「むかし、おまえの師も、わたしたちからお菓子をもらって、師にさしださずに食べた。同じようにしなさい」と言いましたが、ウパマニュはそれでもことわりました
- 双神は言いました。「師へのまごころに、わたしたちは満足した。おまえの師の歯は黒い鉄だが、おまえの歯は金になる。目は見えるようになり、さいわいがあるだろう」。ウパマニュの目は見えるようになり、師も「すべてのヴェーダと法典が、おまえの中でかがやくだろう」とよろこびました
4. 双神をたたえるうた
- ウパマニュのうたには、こんなことばがあります。「あなたがたは、太陽をつくり、昼の白い糸と夜の黒い糸で、1年というふしぎな布を織る」
- 「360日である360頭の牛が、1頭の子牛を生む。それが1年である」「1年は車輪のこしきで、そこには昼と夜をあらわす720本の輻がついている」

プレ男昼と夜の糸で1年を織る…。ウッタンカがヘビの国で見た、黒と白の糸を織る女たちと、そっくりだね。
5. ヴェーダ ― だまってつかえる
- 3人めの弟子ヴェーダには、師は「しばらく、わたしの家にいて、つかえなさい。おまえのためになる」と言いました
- ヴェーダは長いあいだ師の家にいて、主人の荷を運ぶ牛のように、暑さ寒さ、うえやかわきにも、文句ひとつ言わずにつかえました
- 師はまもなく満足し、ヴェーダはさいわいと、あらゆる知識をえました
- のちに自分も3人の弟子をもったヴェーダは、師の家で苦しい思いをしたので、弟子たちに仕事を言いつけたり、きびしくしたりはしなかった、と語られています

ガングリ訳の『マハーバーラタ』では、ウパマニュは、アシュヴィン双神にもらったお菓子を「先生にさしだす前に食べるわけにはいかない」とことわり、目をなおしてもらいました。
まとめ
- 仙人ダウミヤの3人の弟子は、それぞれ「試験」をうけた
- アールニは、水路のこわれ目に自分のからだを横たえて水を止め、「ウッダーラカ」の名をえた
- ウパマニュは、目が見えなくなっても、アシュヴィン双神のお菓子を師より先に食べず、目をなおしてもらった
- ヴェーダは、文句を言わずにつかえ、知識をえた。のちに自分の弟子には、きびしくしなかった
- ウパマニュをたすけたアシュヴィン双神、ヴェーダの弟子のウッタンカ、インド神話の入門もどうぞ
参考文献
- Kisari Mohan Ganguli(英訳). The Mahabharata of Krishna-Dwaipayana Vyasa, Volume 1. Adi Parva, Section III(Paushya Parva). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/15474 (閲覧日:2026年10月12日)
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