
プレ男こまった人のところへ、車でかけつけるふたごの神さま? ヒーローみたい!

メル美『リグ・ヴェーダ』には、アシュヴィン双神が人々を助けた話が、つぎつぎに歌われているんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のアシュヴィン双神です。『リグ・ヴェーダ』第1巻第116歌(R.T.H.グリフィス英訳と注、1896年、インターネット・アーカイブ)を読みました。同じ『リグ・ヴェーダ』の暁の女神ウシャスや火の神アグニもどうぞ。インド神話の全体はインド神話の入門へ。
プロフィール
| アシュヴィン双神 | ふたごの神。ナーサティヤともよばれる(グリフィスの注) |
| ほかのよび名 | ダスラ(グリフィスの注では「ふしぎをおこす者たち」「力ある者たち」) |
| 乗りもの | 矢のようにはやい車。ロバがひく(グリフィスの注) |
| 歌にでてくる呼びかけ | 「医者たち」(Physicians) |
| この歌の作者 | 聖仙カクシーヴァンとされる(グリフィスの注) |
1. 花嫁を運んだ車
- 歌はこうはじまります。「わたしは、ナーサティヤたちへの歌を、草をかるようにととのえ、風が雨雲を運ぶように、ほめ歌を送りだす。ふたりは、矢のようにはやい車で、若いヴィマダに花嫁を運んだ」
- グリフィスの注によると、ヴィマダは、新しい花嫁をつれて帰るとちゅうでおそわれましたが、アシュヴィン双神が、ふたりを自分たちの車にのせて家まで送りとどけたのだ、といいます
2. 海からの救い——ブジュユ
- 「アシュヴィンよ、死んだ人が財産をのこしていくように、トゥグラは、ブジュユを水の雲(海)にのこした。あなたがたは、命ある船で彼をつれもどした。空をわたり、波にぬれることもなく」
- 「ナーサティヤよ、あなたがたは翼あるもので、ブジュユを運んだ。3晩と3日、すばやく旅をして、海のむこうの岸まで、百の足をもつ3台の車と6頭の馬で」
- 「ささえも、つかむところも、立つところもない海の上で、あなたがたは、その英雄のわざをなしとげた。百のオールのある船で、ブジュユを家へ運んだのだ」

メル美海のまんなかでとりのこされた人を、3日3晩かけて家まで送りとどける…。たのもしい!
3. 鉄の足と、見えるようになった目
- 「夜の、ケーラのいくさで、野鳥の翼のように足がうしなわれたとき、あなたがたはすぐに、ヴィシュパラーに鉄の足をあたえた。たたかいがはじまるとき、動けるように」
- 「父に目をうばわれたリジュラーシュヴァに、ナーサティヤよ、ふしぎをおこす者たちよ、医者たちよ、あなたがたは目をあたえ、そこなわれていない目で見えるようにした」

プレ男いくさで足をうしなった人に、鉄の足! 神話の中の、義足のお話なんだね。
4. まだまだある救いのわざ
第116歌には、このほかにも、たくさんのわざが歌われています。
- 「あなたがたは、冷たさで火のはげしい熱さをふせぎ、とても栄養のある食べものをあたえた。洞穴に投げこまれたアトリを、その人々みんなとともに、なぐさめるためにつれだした」
- 「あなたがたは井戸をもちあげ、その底を上にして、下へと口をひらいた。のどのかわいたゴータマの一族のために、雨のように、千倍のゆたかさを生む流れがあふれた」——グリフィスの注は、この「井戸」は水をふくんだ雲のことだ、と説明しています
- 「あなたがたは、そろって立ち、オオカミの口から、ウズラを救いだした」
- 「あなたがたは、なやみをなげく詩人に、ととのった視力をあたえた」

『リグ・ヴェーダ』第1巻第116歌では、アシュヴィン双神は、いくさで足をうしなったヴィシュパラーに鉄の足をあたえ、海にとりのこされたブジュユを、百のオールの船で家へ送りとどけた、と歌われています。
まとめ
- アシュヴィン双神は、『リグ・ヴェーダ』で歌われるふたごの神。ナーサティヤともよばれる
- 矢のようにはやい車で、花嫁をつれたヴィマダを家へ送った
- 海にとりのこされたブジュユを、3日3晩はこび、百のオールの船で家へ送りとどけた
- いくさで足をうしなったヴィシュパラーに鉄の足を、目をうばわれたリジュラーシュヴァに目をあたえた
- 洞穴のアトリ、かわいたゴータマの一族、オオカミの口のウズラも救った
- 同じ『リグ・ヴェーダ』の暁の女神ウシャスと火の神アグニ、神々の王インドラもどうぞ
参考文献
- Griffith, Ralph T.H.(英訳). The Hymns of the Rigveda, Vol. I(1896年). Book I, Hymn CXVI(訳注を含む). Internet Archive. https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.104118 (閲覧日:2026年10月12日)
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