
プレ男神さまのオーディンが、人生のアドバイスをしてくれるの?

メル美そうなんだって。お酒の飲みすぎに気をつけろとか、早起きしろとか、すごく身近なアドバイスなの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は北欧神話のハーヴァマール(高き者のことば)です。ヘンリー・アダムズ・ベローズ英訳『古エッダ』(プロジェクト・グーテンベルク)の「ハーヴァマール」の英訳と解説を読みました。この歌の後半には、オーディンがルーンを手に入れる場面もあります(くわしくはオーディン)。オーディンが詩の蜜酒を手に入れた話は詩の蜜酒へ。
プロフィール
| 題 | ハーヴァマール。ベローズの英訳では “The Ballad of the High One”(高き者の歌) |
| 高き者 | オーディン |
| 写本 | 「王の写本」で、「巫女の予言」のあとにある。ほかの写本にはない |
| ベローズの説明 | オーディンのものとされた、ことわざと教えのあつまり。旧約の箴言がソロモンのものとされたように |
| 中身 | くらしの教え、ロッドファーヴニルへの教え、まじないの歌、ルーンを手に入れた話など、5つほどの部分がまざっている |
1. 客と主人
ハーヴァマールは、旅人として家をたずねるときの心がまえからはじまります。
- 「門をくぐる前に、よくまわりを見よ。どこに敵がひそんでいるか、わからないのだから」
- 「こごえたひざでやってきた者には、火がいる。山からやってきた旅人には、食べものと着るものがいる」
- 「宴に来た者には、水と手ぬぐいと、むかえることばを」
- 「かしこい客は、だまって耳をすまし、目でよく見る。かしこい人は、みなそのように用心ぶかい」
2. 知恵とお酒
- 「遠くへ旅するなら、知恵にまさる荷物はない。知らない道では、富よりもよく、悲しみのときには、たよりになる」
- 「旅にもっていくのに、ビールの飲みすぎほど悪い食べものはない。飲めば飲むほど、人は自分の心をおさえられなくなる」
- 「蜜酒をさけることはないが、ほどほどに飲め。要点を話すか、だまっていよ」
- 「欲ばりは、腹をこわすまで食べる。家畜でさえ、いつ草をはなれて家に帰るか知っているのに、おろか者は自分の腹の量を知らない」

メル美「家畜でさえ、帰る時間を知っている」…。食べすぎ・飲みすぎに気をつけるのは、むかしからなんだね。
3. 友だち
- 「友には、友であれ。おくりものには、おくりものでこたえよ」
- 「心から信じられる友がいるなら、思いをまじえ、おくりものをし、たびたびたずねていけ」
- 「わかいころ、ひとりで旅をして、道を知らなかった。仲間を見つけたとき、ゆたかになった気がした。人は、人のよろこびなのだから」
- 「大きなものをあげなくてもよい。半分のパンと、半分の杯で、わたしはすぐに友をえた」
- 「だれにも愛されない人は、丘の上でかれていくモミの木のようだ」
4. 早起きと、ほどほどの知恵
- 「はたらき手の少ない者は、早く起きて、自分で仕事をさがせ。朝ねぼうには、やりのこしが多い。すばやい者は、富を半分手に入れたも同じ」
- 「人はそれぞれ、ほどほどの知恵をもつがよい。知りすぎてはいけない。知恵が大きすぎると、かしこい人の心はめったに楽しくない」
- 「ひとりには思いを話せ。けれども、ふたりには用心せよ。3人が知れば、みなが知る」
- 「人にとって、いちばんよいおくりものは火、そして太陽を見る力。健康も、もしもてるなら」

プレ男「3人が知れば、みなが知る」って、秘密はなかなかまもれないってことだね(笑)。
5. 死なないもの
- 「だれもすっかりみじめなわけではない。病気であっても。息子からよろこびをえる人も、身内からえる人も、富からえる人も、よいおこないからえる人もいる」
- 「家畜は死に、身内も死ぬ。そして自分も死ぬ。けれども、よい名を手に入れたなら、その名はけっして死なない」
- ベローズは、ハーヴァマールを「世界の文学の中でも、これほど健全な知恵を、これほど短くあらわした格言集は少ない」と評しています

ベローズ訳の『古エッダ』のハーヴァマールでは、「わかいころ、ひとりで旅をして、仲間を見つけたとき、ゆたかになった気がした。人は、人のよろこびなのだから」と歌われています。
まとめ
- ハーヴァマールは、オーディンのことばとされる、北欧の知恵の歌
- 客と主人の心がまえ、お酒の飲みすぎへのいましめ、友だちとのつきあいかたが歌われる
- 「知恵にまさる荷物はない」「人は、人のよろこび」「早起きは富の半分」
- 「家畜は死に、身内も死ぬ。けれども、よい名はけっして死なない」
- ルーンを手に入れたオーディン、オーディンがうばった詩の蜜酒、知恵くらべのヴァフスルーズニルもどうぞ
参考文献
- Henry Adams Bellows(英訳). The Poetic Edda. “Hovamol: The Ballad of the High One” と訳者の解説(Introductory Note). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/73533 (閲覧日:2026年10月12日)
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