
プレ男草や木がしゃべっていた時代!? 鏡を見ると鬼がにげる!? ふしぎな話ばっかりだね。

メル美むかしの常陸の国の風土記に書いてあるんだって。地名のいわれといっしょに、ふしぎな話がのこっているの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の『常陸国風土記』のふしぎな話です。『常陸国風土記』の原文(ウィキソース)の、信太郡・那賀郡・久慈郡の条を読みました。同じ風土記の話は童子女の松原と白鳥の里、夜刀の神へ。名も知らない男が夜ごとかよってくる話とくらべるなら、『古事記』のオホモノヌシと三輪山の糸もどうぞ。
プロフィール
| 出典 | 『常陸国風土記』 |
| 晡時臥の山(那賀郡) | 兄の努賀毘古と、その妹の家に生まれた、小さなヘビの子の話 |
| 普都大神(信太郡) | 天地のはじめ、草や木がものを言っていたころ、天からくだった神 |
| 長幡部の社(久慈郡) | 綺日女命と、ぬわなくても衣になる布の話 |
| 石の鏡(久慈郡) | 鬼が集まって鏡を見ると、ひとりでに去っていった |
1. 晡時臥の山の小さなヘビの子
- 那賀郡の茨城の里の北に、晡時臥の山という高い丘があります。古老の話では、むかし兄の努賀毘古と、その妹がいました
- 妹の部屋に、名も知らない人が、いつも求婚にかよってきて、夜に来ては昼に去り、2人は夫婦になりました。やがて妹は身ごもり、月がみちて生まれたのは、小さなヘビでした
- ヘビの子は、明るいうちはものを言わないのに、暗くなると母と話をしました。母とおじはおどろき、神の子ではないかと思って、きよめた杯に入れ、祭壇をもうけておきました
- すると、ひと晩のうちに杯いっぱいに大きくなりました。盆にうつすと、また盆いっぱいになりました。こうしたことが3、4回つづき、もう入れる器がなくなりました

メル美ひと晩で器いっぱいに大きくなる…。神さまの子は、育ちかたもふつうじゃないんだね。
2. 父のもとへ
- 母はヘビの子に言いました。「あなたの器量をはかれば、神の子だとわかります。わたしたちの力では、とても育てきれません。父のいるところへ行きなさい」
- 子はかなしんで泣き、顔をぬぐって答えました。「母の言いつけに、したがいます。でも、ひとりで行くのは心細いので、小さな子をひとり、いっしょに行かせてください」
- 母は「この家にいるのは、母とおじだけ。それは、あなたもよく知っているでしょう。いっしょに行ける人はいません」と答えました
- わかれのとき、子はいかりをおさえきれず、おじに雷をおとして、天へのぼろうとしました。おどろいた母が盆を投げつけると、子はのぼれなくなり、この峰にとどまりました。ヘビの子を入れた盆やかめは、いまも片岡の村にあり、子孫は社をたてて、祭りを絶やさずにいる、と書かれています
3. 武具をぬいで天へ帰った神
- 信太郡の高来の里の古老の話です。「天地のはじめ、草や木がものを言っていたころ」、天からくだってきた神がいました。名を普都大神といいます
- 普都大神は、葦原の中つ国をめぐりあるき、山や川のあらぶるものたちをやわらげました
- 大神は、みちびく仕事をおえると、天へ帰ろうと思い、身につけていたよろい、ほこ、盾、剣、それに手にもっていた玉を、すべてぬいで、この地にのこしました
- そして、白い雲にのって、青い天へのぼって帰っていきました

プレ男仕事がおわったら、武器をぜんぶおいて、雲にのって帰る。かっこいい神さまだね!
4. ぬわなくても衣になる布
- 久慈郡の太田の郷には、長幡部の社があります。古老の話では、珠売美万命が天からくだったとき、衣を織るために、いっしょにくだってきた神がいました。名を綺日女命といいます
- 綺日女命は、筑紫の国の日向の二つの峰から、三野の国の引津根の丘へうつりました。のちに美麻貴天皇の時代、長幡部の遠い祖先の多弖命が、三野から久慈へうつり、機殿をたてて、はじめて布を織りました
- その布は、ひとりでに衣になり、ぬう必要がありませんでした。これを「内幡」とよびます
- また、布を織るとき、人に見られるので、戸をしめて、暗い中で織った。それで「烏織」という名がついた、とも書かれています。いまも毎年、神へのみつぎものとして、べつに織っておさめている、とあります
5. 鬼が去る石の鏡
- 久慈郡の河内の里は、もとは古々の村といい、土地の人は、サルの声を「古々」というのだ、と書かれています
- その東の山に、石の鏡がありました。むかし、鬼たちがあつまって、この鏡をもてあそびながら見ると、ひとりでに去っていったといいます
- 土地の人は、「わるい鬼も、面と向かって鏡を見れば、おのずと消える」と言いつたえていました

『常陸国風土記』では、普都大神は、草や木がものを言っていた天地のはじめに天からくだり、山や川のあらぶるものをやわらげたあと、武具をすべてこの地にのこして、白い雲にのって天へ帰った、と語られています。
まとめ
- 晡時臥の山:妹の家に生まれた小さなヘビの子は、杯から盆へと大きくなり、母が投げた盆で天へのぼれず、峰にとどまった
- 普都大神:草や木がものを言った天地のはじめにくだり、武具をのこして、白い雲で天へ帰った
- 長幡部の社:綺日女命とともにくだった機織りの技で、ぬわなくても衣になる布が織られた
- 石の鏡:鬼たちは、鏡を見るとひとりでに去っていった
- 同じ風土記の童子女の松原と白鳥の里、夜刀の神、夜ごとかよってくる神のオホモノヌシと三輪山の糸もどうぞ
参考文献
- 『常陸國風土記』(信太郡の高來里の条、那賀郡の茨城里・晡時臥之山の条、久慈郡の河內里の条・太田鄕の長幡部之社の条). ウィキソース(古風土記/常陸國風土記). https://zh.wikisource.org/wiki/古風土記/常陸國風土記 (閲覧日:2026年10月12日)
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