
プレ男「火の国」っていうよび名には、由来の話があるの?

メル美『肥前国風土記』に、空からおりてきたふしぎな火の話がのっているんだって。霧の国の話もあるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の『肥前国風土記』の火の国と霧の国です。『肥前国風土記』の原文(ウィキソース「古風土記/肥前國風土記」)の、はじめの部分と基肄郡の条を読みました。ほかの風土記の話は豊後の国の名と、人の声におこる湯と印南の別嬢と白い犬へ。人の名や地名には、原文にない読みがなはつけていません。
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| 話 | あらすじ |
|---|---|
| 火の国(1) | 健緒組が八代郡の白髪山にとまった夜、空に火があらわれ、ひとりでにもえながらおりてきた |
| 火の国(2) | 夜の海で、天皇の舟が、だれのものともわからない火の光にみちびかれて岸に着いた |
| 霧の国 | 霧におおわれた山を見て、天皇が「霧の国」とよんだ。のちに基肄の国、基肄郡 |
| 永世社 | 天皇のよろいが光り、神がそれをもとめていると占われた社 |
| 酒殿の泉 | 秋9月に白くにごってすっぱくなり、正月にはまた清くなる泉 |
1. 空からおりてきた火
- 『肥前国風土記』によると、肥前の国は、もとは肥後の国とあわせて1つの国でした
- 御間城天皇の時代、朝廷は肥君たちの祖先健緒組を、肥後の国へつかわしました。健緒組は国をめぐって、八代郡の白髪山で一夜をすごしました
- その夜、空に火があらわれ、ひとりでにもえながら、しだいにおりてきて、この山をてらしました
- 健緒組はおどろき、朝廷にのぼってこのことを申しあげました。天皇は「申したことは、まだ聞いたことがない。火のおりた国だから、火の国とよぶがよい」と言い、健緒組に「火君健緒純」の名をあたえて、この国をおさめさせました。のちに2つの国にわけて、前と後にした、と書かれています

メル美夜空から火がゆっくりおりてくるなんて…。きっと、とても神秘的な光景だったんだね。
2. 夜の海の火
- 風土記は、もうひとつの話も伝えています。纏向の日代の宮で天下をおさめた大足彦天皇が、筑紫の国をめぐったとき、葦北の火流の浦から舟を出して、火の国へむかいました
- 海をわたるうちに日がしずみ、夜はまっ暗になって、どこに着けばよいかわかりません。すると、とつぜん火の光が、はるか前方に見えました
- 天皇はこぎ手に「まっすぐ、火のところをめざせ」と命じ、そのとおりに進むと、ぶじに岸に着きました
- 天皇が「火がもえていたところは何というところか。もえていた火は、何の火か」とたずねると、土地の人は「ここは火の国の八代郡の火の村です。けれども、火の主はわかりません」と答えました
- 天皇は家来たちに言いました。「いまもえていた火は、人の火ではない。火の国とよぶわけが、これでわかった」
3. 霧の国
- 同じ天皇が、筑紫の国の御井郡の高羅の行宮から国の中を見わたしたとき、基肄の山が霧におおわれていました
- 天皇は「あの国は、霧の国とよぶがよい」と言いました。のちの人がそれをあらためて「基肄の国」とよび、いまは郡の名にしている、と書かれています
4. 光るよろいと、白くにごる泉
- 天皇が高羅の行宮から帰るとちゅう、酒殿の泉のほとりで食事をしていると、天皇のよろいが、いつもとちがってかがやきました。占いの者が「この地に神がいて、よろいをほしがっています」と申しあげました
- 天皇は「本当にそうなら、神社にささげて、いつまでも宝としよう」と言い、それで「永世社」とよび、のちに「長岡社」とあらためた、と書かれています。よろいのひもはみなくさってしまったが、かぶとと胴の板はいまものこっている、とも書かれています
- 酒殿の泉は、秋の9月になると白くにごり、味はすっぱく、においがして飲めません。けれども、春の正月には、また清くつめたくなって、人はまた飲むようになる、と風土記は伝えています

プレ男季節によって、においや味がかわる泉…。むかしの人は、ふしぎに思って名前をつけたんだね。

『肥前国風土記』では、夜の海で火の光にみちびかれて岸に着いた天皇が、「いまもえていた火は、人の火ではない。火の国とよぶわけが、これでわかった」と言った、と伝えています。
まとめ
- 肥前と肥後は、もとは「火の国」という1つの国だった
- 白髪山では、夜空から火がひとりでにもえておりてきた。天皇は「火のおりた国だから、火の国」と名づけた
- 夜の海では、だれのものかわからない火にみちびかれて天皇の舟が岸に着き、天皇は「人の火ではない」と言った
- 霧におおわれた山から「霧の国(基肄)」、光るよろいから「永世社」の名がつき、酒殿の泉は秋に白くにごった
- ほかの風土記の豊後の国の名と、人の声におこる湯、印南の別嬢と白い犬、童子女の松原と白鳥の里もどうぞ
参考文献
- 『肥前國風土記』(冒頭の国名の条、基肄郡・長岡神社・酒殿泉の条). ウィキソース(古風土記/肥前國風土記). https://zh.wikisource.org/wiki/古風土記/肥前國風土記 (閲覧日:2026年10月12日)
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