
プレ男小鳥が海をうめようとする話があるって、ほんと?

メル美中国の「精衛」っていう鳥だよ。太陽を追いかけた巨人「夸父」の話といっしょに見てみよう。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国神話の精衛(せいえい)と夸父(こほ)です。『山海経(せんがいきょう)』の「北山経」「海外北経」「大荒北経」と、『列子』湯問篇の原文(ウィキソース)を読みました。中国神話の全体は中国神話の入門へ。

「新刻山海経全図」1796〜1820年、中国・清(嘉慶年間)。多色木版、紙。クリーブランド美術館所蔵(CC0)。『山海経』のふしぎな生きものたちをえがいた版画です
プロフィール
| 精衛 | 夸父 | |
|---|---|---|
| すがた | カラスに似た鳥。頭にもよう、白いくちばし、赤い足 | 2匹の黄色いヘビを耳かざりにし、両手にも2匹の黄色いヘビをもつ(大荒北経) |
| もとは | 炎帝の末娘、女娃(じょあい) | 后土(こうど)の孫、信(しん)の子(大荒北経) |
| 住むところ | 発鳩(はっきゅう)の山 | 成都載天(せいとさいてん)という山 |
| していること | 西の山の木や石をくわえて、東の海をうめる | 太陽を追いかけた |
| 鳴き声・名前 | 「自分の名をよぶように鳴く」 | ― |
1. 海をうめる鳥、精衛
『山海経』北山経です。
- 「北へ200里、発鳩の山という。山の上にはヤマグワの木が多い。そこに鳥がいて、すがたはカラスのようで、頭にもようがあり、白いくちばし、赤い足。名を精衛という。その鳴き声は、自分の名をよんでいる」
- 「これは炎帝の末娘で、名を女娃という。女娃は東の海であそんで、おぼれて帰らなかった。そこで精衛となり、いつも西の山の木や石をくわえて、東の海をうめようとしている」

メル美小さなくちばしで、海をうめようとしつづけているんだね…。
2. 太陽と追いかけっこをした夸父
『山海経』海外北経は、とても短く書いています。
- 「夸父は太陽と追いかけっこをして、太陽の中に入った。のどがかわき、水を飲みたくなって、黄河と渭水(いすい)の水を飲んだ。黄河と渭水では足りず、北の大きな沢へ飲みに行こうとした。たどりつかないうちに、道でかわいて死んだ。その杖をすてると、杖は鄧林(とうりん)になった」

プレ男黄河を飲みほしても足りないって、どれだけ大きいんだ!
3. 「力をはからず」
- 『山海経』大荒北経では、夸父は「力をはからず(自分の力を考えずに)、太陽の影を追おうとして、禺谷(ぐうこく)でおいついた」と書かれています。そして、黄河を飲もうとしても足りず、大きな沢へ向かう途中で死んだ、とつづきます
- 同じ大荒北経には、べつの言い伝えもならんでいます。「応龍は、蚩尤を殺したあと、夸父も殺した。そして南へ去って住んだので、南には雨が多い」。応龍は、黄帝と蚩尤のたたかいで、黄帝の側についた竜です
4. 『列子』の夸父と、鄧林
- 『列子』湯問篇も、ほぼ同じ話を書いています。「夸父は力をはからず、太陽の影を追おうとして、隅谷(ぐうこく)のほとりまで追いかけた。のどがかわいて水を飲みたくなり、黄河と渭水へ飲みに行った。黄河と渭水では足りず、北の大きな沢へ飲みに行こうとした。たどりつかないうちに、道でかわいて死んだ」
- 『列子』は、そのあとをこうつけくわえます。「その杖をすてると、なきがらのあぶらと肉がしみこんで、鄧林が生まれた。鄧林は、広さ数千里にもおよんだ」

『山海経』北山経では、おぼれた炎帝の娘・女娃が精衛となり、いつも西の山の木や石をくわえて、東の海をうめようとしています。
まとめ
- 精衛は、東の海でおぼれた炎帝の娘・女娃が生まれかわった鳥。西の山の木や石をくわえて、東の海をうめつづける
- 精衛は、白いくちばし・赤い足のカラスのような鳥で、自分の名をよぶように鳴く
- 夸父は、太陽と追いかけっこをして、黄河と渭水を飲んでもかわきがおさまらず、たおれた
- 夸父の杖は、広い林「鄧林」になった。『山海経』には、応龍に殺されたという別の言い伝えもある
- 同じ『列子』湯問篇の愚公、山を移す、黄帝と蚩尤、太陽を射た羿、中国神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『山海經』北山經(北次三經、發鳩之山). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/山海經/北山經 (閲覧日:2026年10月10日)
- 『山海經』海外北經. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/山海經/海外北經 (閲覧日:2026年10月10日)
- 『山海經』大荒北經. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/山海經/大荒北經 (閲覧日:2026年10月10日)
- 『列子』卷第五 湯問篇. ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/列子/湯問篇 (閲覧日:2026年10月10日)
- クリーブランド美術館. A Newly-Cut Print of Illustrations from The Classic of Mountains and Seas, 1796–1820(2025.72、CC0). https://clevelandart.org/art/2025.72 (閲覧日:2026年10月10日)
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