
プレ男神さまをまつるための歌? どんな神さまが出てくるの?

メル美天の神さま、雲の神さま、人の命をにぎる神さま…。お祭りで、みこが歌って舞って、神さまをむかえたんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の『楚辞』九歌の神々です。古い詩集『楚辞』巻第二「九歌」の原文と、王逸の注釈『楚辞章句』(いずれもウィキソース)を読みました。同じ『楚辞』の「天問」が出てくる話は羿と女媧へ。太陽の母の話は羲和と常羲へ。
プロフィール
| 神 | 九歌でのすがた |
|---|---|
| 東皇太一 | 王逸の注では「上皇」で、天の神。玉の剣、ごちそう、楽器でもてなされる |
| 雲中君 | 王逸の注では雲の神(豊隆)。竜にのり、日と月と光をひとしくする |
| 大司命 | 天の門をひらき、黒い雲にのる。「人の命が長いか短いかは、わたしにかかっている」 |
| 少司命 | 秋のランの花の中にあらわれ、さっと来て、さっと去る |
| 東君 | 東から扶桑をてらしてのぼる日のすがたで歌われる |
1. 九歌のはじまり
- 王逸は、九歌のはじまりをこう説明しています。「むかし、楚の国の南の都、沅水と湘水のあたりでは、鬼神をうやまって、まつりを好んだ。まつりでは、かならず歌と音楽と、つづみと舞で、神々をたのしませた」
- 「屈原は追放されて、その地にかくれすみ、うれいと苦しみをいだいていた。人々のまつりの歌が、ことばがいやしいのを見て、九歌の曲をつくった。上には神につかえるうやまいをのべ、下には自分のむすぼれた思いをあらわした」
- そのため、九歌は、神まつりの歌でありながら、屈原の思いがこめられている、と王逸は考えています
2. 天の神、東皇太一
- 「よい日、よい時に、つつしんで上皇をたのしませよう」
- 「長い剣の玉のつかをにぎれば、佩玉がしゃらしゃらと鳴る」
- 「ケイ草でむした肉、ランをしいて、桂の酒と山椒の飲みものをそなえる」
- 「ばちをあげてつづみをうち、ゆったりと歌い、笛と琴をならべて、声高く歌う」「五つの音がまじりあい、神はよろこび、やすらぐ」
- 王逸は、「神には形も声もなく、つかえるのはむずかしい。けれども、人が心をつくし礼をつくせば、神はそのまつりをうけて、さいわいをくださる」と注しています

メル美いいかおりのお料理と、音楽と、舞。神さまを、心をこめてもてなしたんだね。
3. 雲の神、雲中君
- 「ランの湯で身をきよめ、香草で髪をあらい、五色の衣に杜若の花をかざる」
- 「日と月と、光をひとしくする」——王逸は、「雲がわくと日と月はくもり、雲がかくれると日と月は明るくなる。だから光をひとしくすると言う」と説明しています
- 「竜の車に、帝の衣。しばらく空をめぐりあそぶ」「冀州を見わたしても、まだ先がある。四方の海をよこぎって、どこまでもゆく」
4. 大司命と少司命
- 大司命は歌います。「ひろく天の門をひらき、わたしは黒い雲にのる。つむじ風に先ばらいをさせ、にわか雨にちりをあらわせる」
- 「九州にはおおぜいの人がいるが、命が長いか短いかは、わたしにかかっている」
- 少司命の歌には、秋のランの花がひらく堂に、神がふとあらわれ、ことばもなく去っていくようすが歌われます。「入るときは何も言わず、出るときもあいさつもない。つむじ風にのり、雲の旗をたてて」
- そして、有名な一句があります。「悲しみは、生き別れより悲しいものはなく、楽しみは、新しく知りあうより楽しいものはない」

プレ男「生き別れほど悲しいものはない、新しい出会いほど楽しいものはない」…。とても古い歌なのに、心にしみるね。
5. 東君
- 「あかあかと東から出ようとして、わたしの手すりと扶桑をてらす」
- 「竜の車にのり、雷をとどろかせ、雲の旗をなびかせる」
- 「青い雲の衣に、白い虹のもすそ。長い矢をあげて、天狼(星)を射る」「北斗をとって、桂の飲みものをくむ」
- 「手綱をとって高くかけ、はるか暗い中を、また東へとゆく」

『楚辞』九歌の少司命の歌には、「悲しみは、生き別れより悲しいものはなく、楽しみは、新しく知りあうより楽しいものはない」という一句があります。
まとめ
- 「九歌」は、鬼神をうやまう楚の国の神まつりの歌をもとにした詩で、王逸は屈原の作としている
- 天の神東皇太一は、玉の剣、ごちそう、音楽と舞でもてなされた
- 雲の神雲中君は竜にのり、大司命は「命の長い短いはわたしにかかっている」と歌う
- 少司命の歌には「悲しみは生き別れより悲しきはなく、楽しみは新しく知りあうより楽しきはなし」の句がある。東君は扶桑をてらしてのぼり、天狼を射る
- 『楚辞』天問が出てくる羿と女媧、太陽の母羲和と常羲もどうぞ
参考文献
- 『楚辭』卷第二 九歌(東皇太一・雲中君・大司命・少司命・東君). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/九歌 (閲覧日:2026年10月12日)
- 王逸『楚辭章句』卷二 九歌(序と、東皇太一・雲中君の注). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/楚辭章句/卷02 (閲覧日:2026年10月12日)
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