
プレ男女神3人の美人コンテストの審査員にされるなんて、こわすぎる!

メル美しかも、それがトロイア戦争のきっかけになっちゃうんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話のパリスの審判です。アポロドーロス『ビブリオテーケー(ギリシャ神話)』(J.G.フレイザー英訳)の摘要3.1〜2と注、3.12.5を、ペルセウス・デジタル・ライブラリーで読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。
プロフィール
| パリス | トロイアの王プリアモスと王妃ヘカベの子。アレクサンドロスともよばれる |
| 育ち | 生まれてすぐイダ山にすてられ、羊飼いに育てられた(アポロドーロス3.12.5) |
| あらそった女神 | ヘラ・アテナ・アフロディテ |
| きっかけ | 争いの女神(英訳では Strife)が投げた賞品 |
| つれていった神 | ヘルメス |
1. すてられた王子
- アポロドーロス(3.12.5)によると、王妃ヘカベは2番目の子を生む前に、燃えるたいまつを生み、その火が町じゅうに広がって町を焼く夢を見ました
- 夢うらないによると、その子は「国をほろぼすために生まれる」というので、生まれた子は召使いにわたされ、イダ山にすてられました
- 子はクマに5日のあいだ乳をあたえられ、無事だったので、召使いがひろって自分の子として育て、パリスと名づけました。のちに、盗賊から羊をまもったことから、アレクサンドロスともよばれました

メル美クマに育てられた王子さま! でも「国をほろぼす」っていう夢が気になるね…。
2. 争いのリンゴ
- 摘要(3.2)です。「争いの女神が、ヘラ、アテナ、アフロディテに、美しさをきそう賞品としてリンゴを投げこんだ。ゼウスはヘルメスに命じて、女神たちをイダ山のアレクサンドロスのもとへつれていかせ、えらばせた」
- フレイザーの注によると、よく知られた話では、ペレウスとテティスの結婚式に、争いの女神だけがまねかれなかったので、そのうらみから、「いちばん美しい者へ」と書いた金のリンゴを客たちの中に投げこんだ、といいます
- ただし注は、古い叙事詩には争いの女神の話はあっても、金のリンゴは、のちの作家(ルキアノスやヒュギヌス)からはじめて出てくる、とも書いています
3. 3つのおくりもの
女神たちは、それぞれパリスにおくりものを約束しました。
| 女神 | 約束したもの |
|---|---|
| ヘラ | すべての人の上に立つ王の位 |
| アテナ | 戦いでの勝利 |
| アフロディテ | ヘレネを妻に |
- 「そして、パリスはアフロディテをえらんだ」。パリスは、ペレクロスがつくった船で、ヘレネのいるスパルタへむかいました

プレ男えらばれなかった2人の女神は、だまってないよね…。これがトロイア戦争につながるのか。

アポロドーロスの摘要では、ヘラは王の位を、アテナは戦いの勝利を、アフロディテはヘレネを約束し、パリスはアフロディテをえらびました。
4. なぜそうなったのか
- 摘要(3.1)は、パリスがヘレネをつれさったわけについて、「ゼウスの意志で、自分の娘(ヘレネ)がヨーロッパとアジアを争わせたことで名をのこすため、とも、半神たちの一族を高めるため、とも言われる」と書いています
まとめ
- パリスは、トロイアの王子だが、国をほろぼすという夢のためにイダ山にすてられ、クマと羊飼いに育てられた
- 争いの女神が投げた賞品をめぐって、ヘラ・アテナ・アフロディテがあらそった
- 金のリンゴの話は、のちの作家から出てくる(フレイザーの注)
- 女神たちは王の位・戦いの勝利・ヘレネを約束し、パリスはアフロディテをえらんだ
- えらばれたアフロディテ、女神ヘラ、パリスの妹で予言者のカッサンドラもどうぞ
参考文献
- Apollodorus. The Library(英訳:J. G. Frazer、1921年), 3.12.5; Epitome 3.1–2 と注. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022:text=Epitome:book=E:chapter=3:section=2 (閲覧日:2026年10月10日)
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