
プレ男アフロディテって、愛と美の女神だよね。どうやって生まれたの?

メル美古い本では「海の泡から生まれた」と書かれているんだって。戦場でけがをして泣いちゃう話もあるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はギリシャ神話のアフロディテです。ヘシオドス『神統記』と『ホメロス風讃歌』(H.G.エヴリン=ホワイト訳、1914年、プロジェクト・グーテンベルク)、ホメロス『イリアス』(A.T.マリー訳、1924年、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)の英訳を読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

ヤン・ファン・オルレイ「ディオメデスとアイネイアスのたたかい」(「アキレウスの物語」より)1720〜30年ごろ。青い紙にペンと墨。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。『イリアス』第5歌の場面です
プロフィール
| 立場 | 愛と美の女神。「金の冠の」「笑いをこのむ」アフロディテ |
| 生まれ | 『神統記』では海の泡から。『イリアス』ではゼウスとディオネの娘 |
| よび名 | キュテレイア(キュテラ島に近づいたから)、キュプロゲネス(キュプロス島で生まれたから)(『神統記』) |
| つきしたがう者 | エロス(愛)と、あこがれ(英訳では Desire) |
| 子 | アレスとのあいだに、パニックと恐れの神々とハルモニア(『神統記』)。人間アンキセスとのあいだに英雄アイネイアス |
1. 海の泡から生まれる
ヘシオドス『神統記』188〜206行です。
- 天の神ウラノスに息子クロノスがおそいかかったとき、ウラノスの体の一部が海に投げこまれました。それは長いあいだ海をただよい、不死の体のまわりに白い泡が広がって、その中でひとりの乙女が育ちました
- 乙女は、まず聖なるキュテラ島に近づき、それから海にかこまれたキュプロス島にやってきて、おそれ多く美しい女神としてあらわれます。その美しい足もとには、草が生えたといいます
- 神々も人間も、この女神を「アフロディテ」とよびます。「泡(アフロス)の中で育ったから」と、ヘシオドスは説明しています
- 生まれたときから、エロスと、美しいあこがれがつきしたがいました。女神のうけもちは、「乙女たちのささやき、ほほえみ、あまいよろこびのいたずら、愛とやさしさ」です

プレ男名前が「泡」からきているんだ!
2. 季節の女神たちのかざりつけ
『ホメロス風讃歌』第6歌(アフロディテへの讃歌)です。
- 「わたしは、金の冠をいただく美しく堂々としたアフロディテをうたう。海にかこまれたキュプロスの、城壁の町々は、すべてこの女神のものだ」
- 「西風のしめった息が、とどろく海の波の上を、やわらかな泡にのせて女神を運んだ。金の髪飾りの季節の女神(ホーラ)たちが、よろこんで女神をむかえた」
- ホーラたちは、女神に天の衣を着せ、頭に金の冠をのせ、耳に金の耳飾り、首に金の首飾りをかけました
- かざりつけがすむと、女神は神々のもとへつれていかれます。神々は女神を見て手をさしのべ、「それぞれが、この女神を自分の妻にして家へつれて帰りたいと祈った」。それほど、すみれの冠のキュテレイアの美しさにおどろいたのです
3. 息子をかばって
『イリアス』第5歌311〜362行。トロイア戦争の場面です。
- トロイアの英雄アイネイアスは、ギリシャの英雄ディオメデスの投げた大きな石を受けて、たおれてしまいました
- そのとき、アイネイアスの母アフロディテがすばやく気づき、白い腕で息子をだきかかえ、かがやく衣のひだを広げて、飛んでくる槍から守りました
- ディオメデスは、アフロディテが「戦いのできない女神で、アテナのような、戦場をおさめる女神ではない」と見ぬき、槍でおそいかかります。槍は、美の女神たちが織った衣をつらぬき、手首を傷つけました
- 女神の体からは、神々の血「イコル」が流れました。『イリアス』は、「神々はパンを食べず、ぶどう酒も飲まないので、血がなく、不死とよばれる」と説明しています
- アフロディテは悲鳴をあげて息子を落とし、アポロンが黒い雲でアイネイアスを救いました

メル美こわくても、まず息子を守ろうとしたんだね。
4. 母のひざで
『イリアス』第5歌363〜430行です。
- アフロディテは、兄のアレスに馬を借りて、オリンポスへ帰りました。そして、母ディオネのひざにすがりつきます
- ディオネは娘をだきしめ、手でなでて言いました。「だれが、こんなひどいことをしたの?」。ディオネは「元気をだして、がまんしなさい。オリンポスに住むわたしたちの多くも、人間から苦しめられてきたのだから」となぐさめ、両手で腕のイコルをぬぐうと、腕はもとどおりになり、痛みもおさまりました
- それを見たアテナとヘラは、「アフロディテは、ギリシャの女の人の金のブローチで、手をひっかいたのでしょう」とからかいます
- ゼウスはほほえんで、アフロディテをよび、こう言いました。「わが子よ、戦いの仕事は、おまえにあたえられていない。おまえは、結婚のすてきな仕事にいそしみなさい。戦いのことは、アレスとアテナにまかせよう」

『イリアス』第5歌で、母ディオネが両手で腕のイコルをぬぐうと、アフロディテの腕はもとどおりになり、痛みもおさまりました。
まとめ
- アフロディテは、愛と美の女神
- 『神統記』では海の泡から生まれ、キュテラ島をへてキュプロス島に上がった。名前は「泡」から
- 讃歌では、季節の女神たちに金の冠と首飾りでかざられ、神々はみな妻にしたいと願った
- 『イリアス』では、息子アイネイアスをかばって手首を傷つけられ、母ディオネになぐさめられた
- ゼウスは「戦いはおまえの仕事ではない」と言った
- アフロディテがアンキセスに語った「若さをわすれた不死」の話エオスとティトノス、アフロディテに馬を貸したアレス、ヘパイストス、ギリシャ神話の入門もどうぞ
参考文献
- Hesiod. Theogony, lines 188–206, 933–937; Homeric Hymn 6 (To Aphrodite)(英訳:Hugh G. Evelyn-White、1914年). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/348 (閲覧日:2026年10月10日)
- Homer. The Iliad, 5.297–430(英訳:A.T. Murray、1924年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0134:book=5:card=311 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Jan van Orley, The Battle of Diomedes and Aeneas (from the Story of Achilles), ca. 1720–30(2014.115、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/428634 (閲覧日:2026年10月10日)
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