
プレ男「王さまの耳はロバの耳」って、ギリシャのミダス王の話だよね? アイルランドにもあるの?

メル美アイルランドでは、ロバじゃなくて「馬の耳」なんだって。秘密をかかえて苦しむ若者の気持ちが、とてもよくわかるお話なの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はケルト神話(アイルランド)のラブラ王の秘密です。T.W.ロールストン『フィンの偉業 ― 古代アイルランドの詩人の物語』(1910年、プロジェクト・グーテンベルク)の第3章「ラブラの秘密」を読みました。よくにたギリシャの話はミダス王へ。同じ本の物語はオシーンの誕生へ。
プロフィール
| ラブラ | 大むかしのアイルランドの王。ある航海から「船乗りラブラ」とよばれた |
| ずきん | 頭と耳をおおうずきんを、いつもかぶっていた。年に1度、髪を切るときだけ、ひとりにだけ見せた |
| 若者 | くじで髪切りにえらばれた、まずしいやもめのひとり息子 |
| ちかい | 見たことを、生きているかぎり秘密にすると、太陽と風にちかった |
| 柳の木 | 四つ辻を右へ行って、最初にあった大きな柳の木 |
| 竪琴ひき | 王の竪琴ひきクラフティニ |
1. ずきんの王
- 大むかし、アイルランドにラブラという王がいました。ある航海をしたことから、「船乗りラブラ」とよばれていました
- ラブラは、いつも頭と耳をおおうずきんをかぶっていて、年に1度、髪を切るときだけ、ひとりの人にずきんをとった姿を見せました
- 髪を切る人はくじでえらばれましたが、物語では、王は髪を切った人を、ずっとゆるさずにきた、と語られます
2. 母のねがい
- ある年、くじにあたったのは、王の宮殿の近くにすむ、まずしいやもめのひとり息子でした
- 母は王の前にひざまずき、「この子は、わたしのたったひとつのささえで、この世のすべてなのです」と、涙ながらにたのみました
- 王は母の悲しみに心を動かされ、「見たことを、死ぬ日まで秘密にするとちかうなら、ゆるそう」と言いました。若者は、太陽と風にかけて、生きているかぎり、だれにも言わないとちかいました

メル美お母さんのおかげで助かったんだ。でも、一生秘密をまもるのも、たいへんそう…。
3. 秘密の重さ
- 若者は髪を切って家に帰りましたが、知ってしまった秘密のふしぎさが心からはなれず、言いたくてたまらなくなり、休まることがありませんでした
- とうとう、若者はやせおとろえる病にかかり、死にそうになってしまいました
- そこへ、心とからだの病にくわしい、かしこいドルイドがつれてこられました。ドルイドは母に言いました。「息子さんは、だれにも言えない秘密の重さで死にかけています。言わないかぎり、楽にはなりません」
- 「大きな道を歩いて、4つの道があつまるところで右へ曲がり、道ばたで最初に出会った木に、秘密をうちあけさせなさい。そうすれば楽になり、ちかいもやぶらずにすむでしょう」
4. 柳の木
- 次の日、若者は四つ辻で右の道へ行き、最初にあった大きな柳の木に、ほおをよせて、秘密をささやきました
- 帰り道、若者は心がかるくなって、はねたり歌ったりしました。何日もしないうちに、すっかり元気になりました

プレ男だれにも言えないことを、木にささやいて楽になる…。ひとりでかかえこまないのって、大事なんだね。
5. 竪琴がうたった
- しばらくして、王の竪琴ひきクラフティニの竪琴の柱がこわれ、なおす木をさがしに出かけました。ちょうどいい木は、四つ辻のあの柳の木でした
- その夜、クラフティニが、食事のあと王と貴族たちの前で竪琴をひくと、何をひいても、何を歌っても、聞く人々には、ひとつのことばしか聞こえません。「船乗りラブラには、2つの馬の耳がある」
- すると王はずきんをとり、それからは耳をかくさなくなりました。そして、そのことで苦しむ人は、もうだれもいなくなりました

ロールストンの『フィンの偉業』では、秘密をかかえて病んだ若者は、ドルイドの教えで柳の木に秘密をささやき、すっかり元気になった、と語られています。
まとめ
- アイルランドの王ラブラは、いつもずきんで頭と耳をかくしていた
- 髪を切った若者は、秘密をまもると太陽と風にちかったが、秘密の重さで病んでしまった
- ドルイドの教えで、四つ辻の柳の木に秘密をささやくと、若者は元気になった
- その柳でなおした竪琴は「ラブラには2つの馬の耳がある」とうたい、王は耳をかくさなくなった
- よくにたギリシャのミダス王、同じ本のオシーンの誕生、ケルト神話の入門もどうぞ
参考文献
- T. W. Rolleston. The High Deeds of Finn, and Other Bardic Romances of Ancient Ireland(1910年). Chapter III “The Secret of Labra”. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/14749 (閲覧日:2026年10月12日)
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