
プレ男さわったものが全部金になったら、大金持ちだよね!ぼくもそんな力がほしいなあ。

メル美それ、ギリシャ神話のミダス王の話だよ。でも、ごはんも金になっちゃうんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、ギリシャ神話のミダス王です。オウィディウス『変身物語』11巻(H.T.ライリー訳、1851年)の英訳を、プロジェクト・グーテンベルクで読みました。
プロフィール
| 名前 | ミダス |
| 国 | フリュギアの王 |
| ねがい | 「わたしの体がふれたものが、すべて黄色い金になるように」 |
| 罰 | アポロンにロバの耳にされる |
| 出典 | オウィディウス『変身物語』11巻85〜193行 |

アントニオ・テンペスタ「ロバの耳になったミダス」(オウィディウス『変身物語』の版画シリーズ、第102図)1606年。エッチング。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
シレノスのおもてなしと、ひとつの願い
- 酒の神バッコス(リベル)の一行から、年老いたシレノスがはぐれてしまいます。お酒と年でふらふらしていたところを、フリュギアの農民がつかまえて、花かざりでしばって王ミダスのもとへ連れてきました
- ミダスは、シレノスがバッコスの祭りの仲間だとわかると、10日10晩のお祭りをひらいてもてなし、11日目、シレノスをバッコスのもとへ送りとどけました
- 育ての親がもどってよろこんだバッコスは、ミダスに「ほしいものを言いなさい」と言います。ミダスは答えました。「わたしの体がふれたものが、すべて黄色い金になるようにしてください」
- バッコスはその願いをかなえましたが、「もっとよいものを願えばよかったのに」と悲しみました
さわるものすべてが金に
- ミダスはよろこんで、何でもさわってためします
- 低い枝の小枝を折ると、小枝は金に。地面の石も金に。土のかたまりも金のかたまりに。かわいた麦の穂も金の麦に。りんごをとれば、まるでヘスペリデスの金のりんごのよう。門の柱にふれると柱がかがやき、水で手を洗えば、流れる水まで金のように
- ところが、家来がごちそうの食卓を用意すると——パンにふれると、かたい金に。かみつこうとすると、歯にふれた料理は黄色い金の板に。ぶどう酒を水でわると、口の中にとけた金が流れこみます

プレ男大金持ちなのに、何も食べられないし、何も飲めない…!
「わたしがまちがっていました」
- ミダスは「金持ちなのに、みじめ」になり、さっきまでほしかった富から逃げたくなります。どれだけ金があっても空腹はおさまらず、のどはかわききっていました
- 天に手をあげて、ミダスは祈ります。「父なるバッコスよ、おゆるしください。わたしがまちがっていました。この見かけだけの災いから救ってください」
- やさしいバッコスは、ミダスがあやまちをみとめたので、力を取り消し、こう言いました。「大都市サルディスの近くの川をさかのぼり、泉がいちばん勢いよくわき出すところで、頭をしずめて、体と罪を洗いなさい」
- ミダスがそのとおりにすると、金の力は体から川へうつりました。オウィディウスによると、いまもその川(パクトロス川)のまわりの畑は、金をふくんだ土で、黄色っぽくかたいのだといいます
ロバの耳
- こりたミダスは、富をきらって森や野にすみ、山の洞窟に住む牧神パンをしたうようになります。でも、オウィディウスによると「にぶい頭はそのまま」でした
- パンが、ニンフ(森や泉、川の源、山などに住む、女性の姿の精霊)たちの前で自分のアシの笛をじまんし、アポロンの竪琴をばかにしたことから、2人は音楽くらべをします。審判は、山の神トモロス
- パンの素朴な笛に、たまたま聞いていたミダスはうっとり。でもトモロスは、アポロンの竪琴のうつくしさに心をうばわれ、アポロンの勝ちを言いわたします。みんなが賛成するなか、「不公平だ」と言ったのは、ミダスただ1人
- アポロンは、そんなにぶい耳に人間の形をのこしておくことをゆるさず、耳を長くのばし、灰色の毛を生やし、動かせるようにして、ロバの耳にしてしまいました

メル美音楽の好みがちがっただけで、耳がロバに!?
穴にささやいた秘密
- ミダスは、紫のターバンで耳をかくしました。でも、髪を切る召使い(床屋)だけは見てしまいます
- 召使いは、だれにも言えないけれど、だまってもいられません。そこで地面に穴をほり、ミダスの耳がどんな耳か、小さな声で穴にささやき、土をかぶせて、だまって立ち去りました
- やがて、そこにはふるえるアシのしげみがはえてきます。1年たってアシが育つと、やさしい南風にゆれて、うめられた言葉をくり返し、主人の耳のことを話してしまったのです

オウィディウス『変身物語』によると、ミダスがふれるとパンはかたい金に、ぶどう酒はとけた金になり、ミダスは空腹とかわきに苦しみました。
まとめ
- ミダスは、バッコスへのお礼に「ふれたものすべてが金に」と願った
- 小枝も石も麦も金になったが、パンもぶどう酒も金になって、何も食べられない
- あやまちをみとめたミダスは、川で体を洗い、金の力は川へうつった
- のちに、パンとアポロンの音楽くらべでパンの味方をし、ロバの耳にされた
- 秘密を穴にささやいた召使い。そこにはえたアシが、風で話してしまった
- 『変身物語』の話はナルキッソスとエコー、オルペウスとエウリュディケもどうぞ
参考文献
- Ovid. The Metamorphoses, Books VIII–XV(英訳:Henry T. Riley、1851年). Book XI, Fables II–III. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/26073 (閲覧日:2026年10月6日)
- メトロポリタン美術館. Antonio Tempesta, Plate 102: Midas with the Ears of an Ass, from Ovid’s ‘Metamorphoses’, 1606(51.501.3938、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/401015 (閲覧日:2026年10月6日)
- Homer. The Iliad, Book 20, 7–9(英訳:A.T. Murray). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0134:book=20:card=1 (閲覧日:2026年10月8日)
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