
プレ男本人だっていうしるしが、子どものころにもらった木の数!? すてきだね。

メル美『オデュッセイア』のいちばんさいごの巻にある、お父さんとの再会の場面なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話の、オデュッセウスと父ラエルテスの再会です。ホメロス『オデュッセイア』第24巻(サミュエル・バトラー英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。乳母が傷あとに気づく場面は乳母エウリュクレイアと足の傷あとへ。オデュッセウスの帰郷の全体はオデュッセウスへ。
プロフィール
| ラエルテス | オデュッセウスの父。アルケイシオスの子 |
| くらし | 町をはなれ、自分で切りひらいたいなかの農園でくらす |
| すがた | よごれたつぎはぎの服、いばらよけの牛皮のすね当て、ヤギ皮の帽子 |
| しるし1 | パルナッソス山のイノシシ狩りでついた足の傷あと |
| しるし2 | 子どものころにもらったナシ13本、リンゴ10本、イチジク40本、ブドウ50列 |
1. 果樹園の父
- オデュッセウスは、父ラエルテスのいなかの農園をたずねました。そこは、ラエルテスが、大きな苦労をして切りひらいた、よくたがやされた農園でした
- オデュッセウスは、息子や家来たちに先に家へ行かせ、ひとりで果樹園へおりていきました。「父が、ひさしぶりに見るわたしに気づくかどうか、ためしてみたい」と思ったのです
- 父は、ひとりでブドウの根もとをたがやしていました。よごれた古い服はつぎはぎだらけで、いばらからすねをまもるために牛皮をまき、革のそでをつけ、ヤギ皮の帽子をかぶって、とても悲しそうに見えました
- 「あまりにやつれ、年老い、悲しみにみちた父を見て、オデュッセウスは、高いナシの木の下に立ちどまり、泣きだした」

メル美20年ぶりのお父さんが、こんなに年をとって、さびしそうに畑をたがやしていたら…。泣いちゃうよね。
2. ためすことば
- オデュッセウスは、すぐにだきしめようか、まずはたずねてみようかと迷い、さいごは、たずねてみることにしました
- 「あなたは、すばらしい庭師ですね。イチジクも、ブドウも、オリーブも、ナシも、花の床も、どれもていねいに手入れされている。でも、こう言っても怒らないでほしいのですが、庭のほうが、あなた自身よりも大切にされているようだ」
- そして、むかしイタケから来た客をもてなしたことがあり、その人の父は「アルケイシオスの子ラエルテス」だと言っていた、と話しました
- ラエルテスは涙をながして答えました。「ここはたしかにイタケだが、いまはわるい者たちの手におちている。……わたしの不幸な息子は、ふるさとから遠いところで死んでしまったのだろう。母も、父のわたしも、その体をだきしめることも、とむらうこともできなかった」
3. 「わたしです、父さん」
- オデュッセウスが、遠い国のつくり話をすると、ラエルテスは、深い悲しみにつつまれ、地面の土を両手にすくって、白い髪の上にふりかけ、うめきました
- それを見たオデュッセウスは、胸がいっぱいになり、父にとびついてだきしめ、キスをして言いました。「あなたがたずねているのは、わたしです、父さん。20年ぶりに帰ってきました」
4. 傷あとと、果樹園の木
- ラエルテスは言いました。「おまえが本当にわが子オデュッセウスなら、わたしが信じられるような、はっきりしたしるしを見せておくれ」
- オデュッセウスは答えました。「まず、この傷あとを見てください。パルナッソス山で、イノシシのきばにやられたものです。あなたと母さんが、おくりものをもらいに、母方の祖父アウトリュコスのところへ行かせてくれたときのことです」
- 「それから、この果樹園で、あなたがくれた木々を教えましょう。わたしは、あなたのあとについて庭をまわりながら、ひとつひとつたずね、あなたは、その名前と、どんな木なのかを教えてくれました。あなたは、ナシの木を13本、リンゴの木を10本、イチジクの木を40本くれました。それから、ブドウを50列くれると言いました」
- 息子のしめした、たしかなしるしを聞くと、ラエルテスは力がぬけ、息子をだきしめました。オデュッセウスがささえなければ、気をうしなってしまうところでした

プレ男お父さんといっしょに庭をまわって、木の名前を教えてもらった思い出…。それが、どんなしるしより強かったんだね。
5. わかがえった父
- 家にもどると、農園で世話をしていた年老いたシケリアの女の人が、ラエルテスの体を洗い、オリーブ油をぬり、よい外套を着せました
- 女神アテナがそばに来て、ラエルテスを、前よりも背が高く、がっしりとした、りっぱな姿にしました。もどってきた父を見て、オデュッセウスは、まるで不死の神のようだとおどろきました

『オデュッセイア』第24巻では、オデュッセウスは、しるしとして、足の傷あとと、子どものころ果樹園で父からもらった、ナシの木13本、リンゴの木10本、イチジクの木40本のことを話しました。
まとめ
- 20年ぶりに帰ったオデュッセウスは、いなかの農園で、つぎはぎの服で畑をたがやす父ラエルテスを見て泣いた
- まずはためすことばをかけたが、悲しむ父を見て「わたしです、父さん」と名のった
- しるしとして、足の傷あとと、子どものころもらったナシ13本、リンゴ10本、イチジク40本の木のことを話した
- 女神アテナは、父をわかがえったようなりっぱな姿にした
- 傷あとで気づいた乳母エウリュクレイア、帰郷の物語オデュッセウス、オデュッセウスを送りとどけたパイアケス人の国もどうぞ
参考文献
- Homer. The Odyssey(英訳:Samuel Butler), Book XXIV. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/1727 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

