
プレ男オデュッセウスって、一つ目の巨人やセイレーンとたたかった英雄だよね!

メル美今回は、旅のあと、20年ぶりに家に帰ってくる話なんだって。犬と奥さんの話が泣けるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 英雄の解説、今回はギリシャ神話のオデュッセウスの帰郷です。ホメロス『オデュッセイア』(A.T.マリー訳、1919年、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)の英訳を読みました。旅のとちゅうの冒険は、ポリュペモスやセイレーンの記事へ。

ウーゴ・ダ・カルピ(ラファエロの原画による)「ペネロペとオデュッセウス」1520〜27年ごろ。キアロスクーロ木版。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 名前 | オデュッセウス。「知略にとむ」「しんぼう強い」(英訳のよび名) |
| ふるさと | 島の国イタケの王 |
| 家族 | 妻ペネロペ、息子テレマコス、父ラエルテス |
| 留守 | トロイア戦争に出てから20年目に帰った |
| 飼い犬 | アルゴス |
| 守ってくれた神 | アテナ |
1. 老犬アルゴス
『オデュッセイア』第17歌290〜327行です。
- こじきに姿をかえたオデュッセウスは、ブタ飼いのエウマイオスとともに、自分の館へやってきました
- 門の前の、ラバや牛のふんの山に、1匹の犬が横たわっていました。オデュッセウスがトロイアへ出かける前に、自分で育てた犬アルゴスです。むかしは若者たちと野ヤギやシカやウサギを追いましたが、主人がいなくなると、だれにも世話をされず、ノミだらけになっていました
- それでもアルゴスは、近くに立つオデュッセウスに気づくと、尾をふり、両耳をたれました。けれども、主人のそばまでいく力は、もうのこっていませんでした
- オデュッセウスは顔をそむけて、そっと涙をぬぐい、エウマイオスに気づかれないようにしました
- 「アルゴスは、20年目にオデュッセウスを見たそのとき、黒い死の運命にとらえられた」

メル美20年も待って、主人に会えたとたんに…。アルゴス、がんばって待っていたんだね。
2. 昼に織り、夜にほどく
『オデュッセイア』第19歌です。こじきの姿のオデュッセウスに、ペネロペは身の上を語ります(上の図版の場面です)。
- 夫が帰らないあいだ、まわりの島々の貴族たちが館におしかけ、ペネロペに結婚をせまって、家の財産を食いつぶしていました
- ペネロペは、神に思いつかされて、大きな機をすえ、こう言いました。「オデュッセウスは死んだのだから、結婚をいそぐ気持ちはわかる。でも、この衣を織りおえるまで待ってほしい。義父ラエルテスが亡くなったときのための、死に装束です」
- 「昼は大きな布を織り、夜はたいまつをそばにおいて、それをほどいていました。こうして3年のあいだ、アカイアの人びとをあざむいていたのです」
- ところが4年目、恥知らずな侍女たちのせいで見つかってしまい、しかたなく布を織りあげた、とペネロペは打ちあけました

プレ男3年も布を織ってはほどいて…。ペネロペの知恵としんぼう強さも、オデュッセウスに負けてないね。
3. だれにもひけない弓
『オデュッセイア』第21歌です。
- ペネロペは、オデュッセウスがむかし、12本の斧を船の支柱のように一列にならべ、遠くから矢をとおしていたことを思い出し、オデュッセウスの大きな弓に弦をはって、同じように矢をとおした者と結婚する、と決めました(第19歌570〜575行)。求婚者たちはつぎつぎにためしますが、だれも弦をはることさえできません
- こじきの姿のオデュッセウスが弓を手にとると、「竪琴の名人が、新しい糸巻きにかんたんに弦をはるように」、力も入れずに弦をはりました。弦を指ではじくと、ツバメの声のように美しく鳴りました
- そのとき、ゼウスが大きく雷をとどろかせて、しるしを示します。オデュッセウスは、すわったまま矢をはなち、12の斧の穴をすべてつらぬきました
- このあと、オデュッセウスと息子テレマコスは、求婚者たちとたたかうことになります
4. 動かせない寝台
『オデュッセイア』第23歌です。
- 求婚者たちがいなくなっても、ペネロペはすぐには夫と信じられません。「大事な寝台を、寝室の外に出して用意しなさい」と、乳母に言って、夫をためしました
- オデュッセウスは怒って言います。「だれがわたしの寝台をほかに動かしたのだ? 神でもないかぎり、だれにも動かせないはずだ。中庭にはえていた、柱のように太いオリーブの木をかこんで寝室を作り、その幹をけずって寝台の柱にしたのは、このわたしなのだから」
- それを聞いたペネロペは、ひざの力がぬけ、心がとけました。それは、ほかにはだれも知らない、2人だけの寝台の秘密だったのです。ペネロペは泣きながらかけより、夫の首にだきついて言いました。「怒らないで、オデュッセウス。ずっと、だれかがあなたのふりをしてわたしをだますのではないかと、心がおそれでいっぱいだったの」

メル美生きている木で作った、動かせない寝台。2人の気持ちも、20年動かなかったんだね。

『オデュッセイア』では、ペネロペは昼に大きな布を織り、夜にほどいて、3年のあいだ求婚者たちを待たせていました。
まとめ
- オデュッセウスは、トロイア戦争から20年目に、こじきの姿でイタケへ帰った
- 老犬アルゴスは、主人に気づいて尾をふり、そのまま息をひきとった
- 妻ペネロペは、昼に織った布を夜にほどき、3年のあいだ求婚者たちを待たせた
- だれにもひけない弓に、オデュッセウスはかんたんに弦をはり、12の斧の穴をつらぬいた
- 最後は、オリーブの木で作った動かせない寝台の秘密で、夫婦はたがいをたしかめた
- 流れついた浜で出会った王女ナウシカア、冥界で見たタンタロスとシシュポス、帰り道で海の老人と組みあったメネラオスの話プロテウス、トロイアでともに戦った英雄アキレウス、旅のとちゅうのポリュペモス、セイレーン、見守った女神アテナもどうぞ
参考文献
- Homer. The Odyssey, 17.290–327; 19.96–163, 570–575; 21.404–434; 23.153–230(英訳:A.T. Murray、1919年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0136 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Ugo da Carpi, Penelope and Odysseus, ca. 1520–27(22.73.3-27、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/359855 (閲覧日:2026年10月10日)
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