
プレ男行き先を考えるだけで、ひとりでに進む船!? 自動運転みたい!

メル美『オデュッセイア』のパイアケス人の国には、そんなふしぎがいっぱいあるんだって。一年じゅう実がなる庭もあるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話のパイアケス人の国です。ホメロス『オデュッセイア』第7巻・第8巻・第13巻(サミュエル・バトラー英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。この国の王女はナウシカア、この国へ向かう前の島の女神はカリュプソへ。
プロフィール
| パイアケス人 | 海のかなたのスケリアにすむ人々。「世界一の船乗り」 |
| 王 | アルキノオス(王女ナウシカアの父) |
| 館の番犬 | 鍛冶の神がつくった、年をとらない金と銀の犬 |
| 庭 | 一年じゅう、実がなりつづける果樹園とブドウ畑と花畑 |
| 船 | かじも舵とりもいらない。人の考えを知って進む |
| さいご | オデュッセウスを送った帰りの船は、ポセイドンに石に変えられた |
1. 金と銀の番犬
- 第7巻で、オデュッセウスは、王アルキノオスの館にやってきました。入り口の両わきには、金と銀の大きな犬が立っていました。鍛冶の神(英訳では Vulcan)が、たくみなわざで、王の館を見はるためにつくったもので、「不死で、けっして年をとらない」犬でした
- 館の中には、手にもえるたいまつをもった金の若者の像が台の上に立ち、夜の宴を照らしていました
- 館には50人の侍女がいて、黄色い穀物をひき、機を織っていました。「パイアケス人が世界一の船乗りであるように、その女たちは、機織りで、ほかのだれよりもすぐれている」と書かれています
2. 一年じゅう実がなる庭
- 館の外には、壁にかこまれた大きな庭があり、ナシ、ザクロ、おいしいリンゴ、イチジク、オリーブの木がしげっていました
- 「その実は、冬も夏も、一年じゅう、くさることも、なくなることもない。空気がとてもおだやかなので、古い実が落ちる前に、新しい実が熟す。ナシの上にナシが、リンゴの上にリンゴが、イチジクの上にイチジクがなる」
- ブドウ畑では、ある場所ではほしブドウをつくり、ある場所ではつみとり、ある場所ではふんでぶどう酒にし、またべつの場所では、花がおわって実がなりはじめ、色づきはじめていました。いちばんおくには、一年じゅうさいている花畑がありました
- 2つの流れがあり、ひとつは庭じゅうにひかれ、もうひとつは館へ、そして町の人々の水くみ場へとひかれていました

メル美収穫と、花と、新しい実が、同じ庭で同時に見られるなんて…。夢の果樹園だね!
3. 考えを知る船
- 第8巻で、王アルキノオスは、オデュッセウスに名前と国をたずねて、こう言いました
- 「パイアケス人には、舵とりがいない。ほかの国の船のようなかじもない。船そのものが、わたしたちが何を考え、何をのぞんでいるかを知っている。世界じゅうの町と国を知っていて、霧や雲におおわれた海でも同じように進めるので、難破することも、害をうけることもない」
- ただし王は、父から聞いた予言も話しました。「ポセイドンは、わたしたちが、だれでも気軽に送りとどけるので怒っている。いつか、送りとどけて帰る船をしずめ、わたしたちの町を高い山でおおってしまうだろう」
4. 石になった船
- 第13巻で、パイアケス人の船は、ねむるオデュッセウスをふるさとイタケへ送りとどけました
- ポセイドンは怒り、ゼウスに、帰る船をしずめ、町を山でおおいたいと言いました。ゼウスは答えました。「町の人々が船を見ているそのときに、陸の近くで、船の形をした岩に変えるがいい。みんながおどろくだろう」
- 「ポセイドンは、ぐんぐん近づいてきた船のところへ行き、それを石に変え、手のひらでおしつけて、その場に根づかせた」
- パイアケス人たちはおどろいて言いあいました。「港に入ろうとしていた船を、だれが海に根づかせたのだ。いまのいままで、船全体が見えていたのに」
- アルキノオスは父の予言を思いだし、「もう旅人を送るのはやめよう。そして、ポセイドンに12頭のえりぬきの牛をささげて、町を山でおおわないよう、あわれみを願おう」と言いました。人々は祭壇のまわりに立って、ポセイドンに祈りました

プレ男旅人にやさしくしたせいで、船が石にされちゃうなんて…。パイアケス人、ぜんぜん悪くないのに。

『オデュッセイア』第8巻では、パイアケス人の船には舵とりもかじもなく、船そのものが人の考えとのぞみを知っていて、霧の中でも世界じゅうの町へ行ける、と書かれています。
まとめ
- パイアケス人は、スケリアにすむ「世界一の船乗り」。王はアルキノオス
- 王の館には、鍛冶の神がつくった年をとらない金と銀の番犬がいた
- 庭では、一年じゅう、古い実が落ちる前に新しい実が熟した
- 船は、かじも舵とりもいらず、人の考えを知って進んだ
- オデュッセウスを送った帰りの船は、ポセイドンに石に変えられ、海に根づかされた
- この国の王女ナウシカア、その前の島の女神カリュプソ、旅の主人公オデュッセウスもどうぞ
参考文献
- Homer. The Odyssey(英訳:Samuel Butler), Books VII, VIII and XIII. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/1727 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

