
プレ男不死にしてもらえるのに、ことわったの!? もったいない…。

メル美オデュッセウスは、それでも家族のいるふるさとに帰りたかったんだって。女神カリュプソとの別れの話よ。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話の女神カリュプソです。ホメロス『オデュッセイア』第5巻(サミュエル・バトラー英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。オデュッセウスの旅の全体はオデュッセウスへ。このあと流れついた浜で出会う王女はナウシカアへ。
プロフィール
| カリュプソ | 島の洞窟にすむニンフ(女神) |
| 洞窟のようす | 杉と白檀(びゃくだん)の香り、ブドウのつる、4つの流れ、スミレの花 |
| していること | 金のひで機を織りながら、美しい声で歌う |
| ねがい | オデュッセウスを不死にして、いっしょにくらすこと |
| あたえたもの | おの、手おの、きり、帆の布、着物、ぶどう酒と水と食べもの、追い風 |
| 教えた道 | 大熊座を左手に見て進むこと |
1. 神々の会議
- オデュッセウスは、ニンフカリュプソの島にとどめられていました。船も仲間もなく、ふるさとへ帰れずにいたのです
- 女神アテナがそのことを神々の会議でうったえると、ゼウスは使者のヘルメスに言いました。「カリュプソに、オデュッセウスを家に帰すと決めたことをつたえよ。彼はいかだで20日の苦しい旅をして、スケリア、パイアケス人の国に着くのだ」
2. ヘルメスの見た洞窟
- ヘルメスは、風のように飛べる金のサンダルをはき、杖をもって、海の上をウのように飛んでいきました
- 洞窟では、大きな火がもえ、遠くまで杉と白檀のよい香りがただよっていました。カリュプソは機の前で、金のひをとおしながら、美しく歌っていました
- 洞窟のまわりには、ハンノキ、ポプラ、いい香りのイトスギの森があり、フクロウやタカの巣がありました。入り口には実のたわわなブドウのつるがしげり、4つの流れが、スミレや草の床をうるおしていました
- 「神でさえ、こんな美しい場所には心をうばわれずにいられない」。ヘルメスも、しばらく立ちどまってながめた、と書かれています
- そのころオデュッセウスは、いつものように浜にすわって、涙をながしながら、海をながめていました

メル美こんなにきれいな島にいても、心はふるさとにあったんだね…。
3. 怒る女神
- ヘルメスがゼウスの命令をつたえると、カリュプソは怒りにふるえました。「あなたがた神々は、女神が人間の男を好きになると、いつもねたむのね」
- 「ゼウスが雷で船をしずめ、仲間はみなおぼれ、彼だけが風と波でこの島に流れついた。わたしは彼を大切にし、年をとることのない不死にしてあげようと思っていた。けれど、ゼウスの考えにはさからえない。行かせましょう。でも、わたしには船も船乗りもない。それでも、無事に帰れるように、まごころをこめて教えましょう」
4. 「それでも家に帰りたい」
- カリュプソは浜へ行き、オデュッセウスに言いました。「もう悲しまなくていい。よろこんであなたを送りだしましょう。木を切って、大きないかだをつくりなさい。パンとぶどう酒と水をのせ、着物もあげて、追い風をふかせましょう」
- オデュッセウスは、なにかたくらみがあるのではとうたがい、「わるいことをしないとちかってください」と言いました。カリュプソはほほえみ、天と地とステュクスの水にかけてちかいました
- 食事のあと、カリュプソは言いました。「帰るまでにどれほど苦しむか知っていたら、ここにとどまって、わたしに不死にしてもらうでしょうに。……わたしは、あなたのおくさんより、背の高さでも見た目でもおとらないと思うけれど」
- オデュッセウスは答えました。「女神さま、怒らないでください。妻のペネロペが、あなたほど背も高くなく、美しくもないことは、よくわかっています。彼女は人間で、あなたは不死の女神です。それでも、わたしは家に帰りたい。それしか考えられないのです」

プレ男不死より、ふるさとと家族…。オデュッセウスの気持ち、ちょっとわかる気がする。
5. いかだと星の道
- 翌朝、カリュプソは、両刃の青銅のおのと手おのをわたし、島のはしの、空にとどくほど高い木々のところへ案内しました
- オデュッセウスは20本の木を切ってけずり、カリュプソがもってきたきりで穴をあけて組みあわせ、甲板、帆柱、かじをつけました。カリュプソは帆の布ももってきました。4日でしあげ、5日目に、カリュプソは体を洗わせて新しい着物をあたえ、ぶどう酒と水と食べものをもたせて送りだしました
- カリュプソは、あたたかい追い風をふかせました。オデュッセウスは、ねむらずに、すばるや牛飼い座、そして大熊座を見つめて進みました。カリュプソが、大熊座を左手に見て進むようにと教えていたからです
- 18日目に、パイアケス人の国の山々が、海の上に盾のように見えてきました。けれども、それを見つけた海の神ポセイドンが嵐をおこし、オデュッセウスは、またもや海にほうりだされるのです(このあとはナウシカアへ)

『オデュッセイア』では、カリュプソは不死にしてあげると言いましたが、オデュッセウスは「それでも家に帰りたい。それしか考えられない」と答えました。
まとめ
- カリュプソは、美しい洞窟で機を織り、歌う女神。オデュッセウスを島にとどめていた
- ゼウスの命令をヘルメスがつたえると、怒りながらもしたがった
- 不死にしてあげるという申し出に、オデュッセウスは「それでも家に帰りたい」と答えた
- カリュプソは、おのや布をあたえていかだをつくらせ、追い風と、大熊座を左に見て進む道を教えた
- いかだでめざしたパイアケス人の国、旅の主人公オデュッセウス、流れついた浜で出会うナウシカア、ゼウスの使者ヘルメスもどうぞ
参考文献
- Homer. The Odyssey(英訳:Samuel Butler), Book V. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/1727 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。


