
プレ男ヘルメスって、羽のついたくつの神さまだよね。ブランドの名前でも聞く!

メル美生まれた日に、もうどろぼうをしたんだって。とんでもない赤ちゃん!
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はギリシャ神話のヘルメスです。『ホメロス風讃歌』第4歌「ヘルメスへ」(H.G.エヴリン=ホワイト訳、1914年、プロジェクト・グーテンベルク)の英訳を読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

ティトノスの画家「ヘルメスをえがいた油壺(レキュトス)」紀元前480〜470年ごろ、ギリシャ・アッティカ。テラコッタ。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 立場 | 不死の神々の使者。幸運をもたらす神 |
| 父母 | 父ゼウス、母はマイア(ほら穴に住む、はずかしがりやのニンフ〈森や泉、川の源、山などに住む、女性の姿の精霊〉) |
| 生まれ | アルカディアのキュレネ山のほら穴。月の4日 |
| 讃歌のよび名 | 「たくらみの多い、口のうまい者、どろぼう、牛追い、夢をもたらす者、夜の見張り、門のぬすびと」 |
| 発明したもの | 竪琴(リュラ)、火おこし棒、羊飼いの笛 |
| 持ちもの | アポロンからもらったかがやくむち(牛の番人のしるし) |
1. 夜明けに生まれ、昼には竪琴
讃歌は、ヘルメスの1日目をこうまとめます。「夜明けに生まれ、昼には竪琴をひき、夕方には、遠矢のアポロンの牛をぬすんだ」
- 生まれたヘルメスは、ゆりかごにじっとしていません。ほら穴の入り口で、草を食べているカメを見つけて笑いました。「さい先がいい! ごきげんよう、宴の友よ」
- ヘルメスはカメを持ち帰り、こうらにアシのくきをとりつけて牛の皮をはり、腕木をつけて、羊の腸の弦を7本はりました。ためしにひくと、すばらしい音がひびきます
- 讃歌は「カメを歌い手にしたのは、ヘルメスがはじめてだ」と書いています

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2. 牛50頭と、逆向きの足あと
- 日がしずむころ、ヘルメスはピエリアの山にかけつけ、神々の牛の中からよく鳴く牝牛を50頭引きはなしました
- 追っ手をまくため、牛のひづめのあとを逆向きにして、前とうしろを入れかえ、自分は反対向きに歩きました
- 海辺で、ギョリュウとギンバイカの小枝をあんで、ふしぎなサンダルを作り、足にむすびつけます
- とちゅう、ぶどう畑をたがやす老人に見られると、「見たことは見なかったことに、聞いたことは聞かなかったことに」と口止めしました
- アルペイオス川の牛小屋に着くと、火おこし棒で火をおこします。讃歌は「火おこし棒と火を、はじめて見つけたのはヘルメス」と書いています
- 夜明けにキュレネにもどると、ヘルメスは秋の風のように、霧のように、かぎ穴から横向きにすべりこみ、ゆりかごで赤ちゃんのふりをしました。左手には、竪琴をしっかりかかえて
3. 「ぼくは、きのう生まれたばかり」
- 牛をさがしてきたアポロンに、ヘルメスは言います
- 「牛なんて見ていない、聞いてもいない。ぼくが牛どろぼうみたいな、たくましい者に見える?」
- 「ぼくが気になるのは、ねむることと、お母さんのおっぱいと、くるまれることと、あったかいおふろ」
- 「ぼくはきのう生まれたばかりで、足はやわらかいし、地面はごつごつしているのに」
- アポロンは笑って言いました。「この、ずるいうそつきめ。これからおまえは、神々のあいだで『どろぼうの王』とよばれるだろう」

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4. ゼウスの笑いと、竪琴での仲なおり
- 2柱はゼウスのもとでうったえあいます。ヘルメスがうまく罪を否定するのを見て、ゼウスは大声で笑い、2柱に「いっしょに牛をさがせ」と命じました
- アポロンがヤナギの枝でヘルメスをしばろうとすると、枝は地面に落ちて、たちまち根をはってのび、牛たちをおおってしまいます
- そこでヘルメスは、竪琴をひいてみせました。アポロンは、そのすばらしい音によろこんで笑います。「牛ごろしで、いたずら者よ。その歌は、牛50頭のねうちがある」「ここには3つのものがある。楽しさと、恋と、あまいねむり」
- ヘルメスは竪琴をアポロンにおくり、アポロンはかわりにかがやくむちをわたして、ヘルメスを牛の番人にしました。ヘルメス自身は、羊飼いの笛を作ったといいます
- ヘルメスは「アポロンのものは、二度とぬすまない」とうなずいてちかい、アポロンも友となることをちかいました。ゼウスはよろこび、2柱を仲なおりさせました
5. 使者の神へ
- アポロンは、ヘルメスが「人間のあいだの取り引きを定める役目」をゼウスから受けている、と語っています
- 讃歌の終わりで、ゼウスはヘルメスを、占いの鳥、ライオン、イノシシ、犬、羊など大地が育てるすべての群れの主とし、また、冥界の神ハデスへのただひとりの使者と定めた、とうたわれます
- ヘルメスは、英雄ペルセウスにメドゥーサを切るための鎌をあたえたとも伝えられます

『ホメロス風讃歌』は、ヘルメスを「夜明けに生まれ、昼には竪琴をひき、夕方には、遠矢のアポロンの牛をぬすんだ」とうたっています。
まとめ
- ヘルメスは、ゼウスとマイアの子。神々の使者で、幸運をもたらす神
- 生まれた日に、カメのこうらで竪琴を作り、アポロンの牛50頭をぬすんだ
- 足あとを逆向きにし、小枝のサンダルをはき、かぎ穴から帰って赤ちゃんのふり
- 「きのう生まれたばかり」としらを切り、ゼウスを大笑いさせた
- 最後は竪琴をアポロンにおくり、牛の番人のむちをもらって仲なおり
- ヤギの足の息子パン、父の話はゼウスへ。竪琴の名手オルペウス、讃歌でいっしょによびかけられるかまどの女神ヘスティア、ゼウスと旅人に化けて老夫婦をたずねたバウキスとピレモンもどうぞ
参考文献
- Homeric Hymns, IV. To Hermes(英訳:Hugh G. Evelyn-White、1914年). Hesiod, the Homeric Hymns, and Homerica. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/348 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Tithonos Painter, Terracotta lekythos (oil flask), ca. 480–470 BCE(25.78.2、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/251800 (閲覧日:2026年10月10日)
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