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プレ男アポロンって、太陽の神さま?

メル美『ホメロス風讃歌』では、竪琴と弓と予言の神なんだって。生まれた場所の話からおもしろいよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はギリシャ神話のアポロンです。『ホメロス風讃歌』第3歌「アポロンへ」(デロスのアポロン、ピュトのアポロン。H.G.エヴリン=ホワイト訳、1914年、プロジェクト・グーテンベルク)の英訳を読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

ニコンの画家「アポロンをえがいた油壺(レキュトス)」紀元前460〜450年ごろ、ギリシャ・アッティカ。テラコッタ。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。美術館の分類では、アポロン、ヤシ、竪琴
プロフィール
| 立場 | 竪琴と弓、そして予言の神。「遠矢を射る者」「銀の弓の神」 |
| 父母 | 父ゼウス、母レト |
| きょうだい | ふたごのアルテミス、弟のヘルメス |
| 生まれ | デロス島の、ヤシの木の下 |
| 聖地 | デロス、そしてデルポイ(ピュト)の神殿 |
| よび名 | 「ピュトのアポロン」「デルピニオス(イルカの)」 |
1. 生まれる場所が見つからない
- 母レトは、アポロンを生む場所をさがして、ギリシャじゅうの土地をたずねました。でも、どの土地もおそれて、受けいれません
- 最後にたずねたのが、小さな岩の島デロスです。レトは言いました。「わたしの子アポロンの住まいになって、神殿を建ててくれるなら、ほかのだれもあなたをかえりみなくても、すべての人がいけにえを持ってここに集まり、あなたはよその人の手で養われるでしょう。あなたの土地は、ゆたかではないのだから」
- デロスはよろこんで受けいれ、レトは、大地と天とステュクスの水にかけて、「アポロンはここに祭壇と聖域をもち、あなたを何よりもうやまうだろう」とちかいました
2. 9日9晩と、ヤシの木
- ところがレトは、9日9晩も、ふつうでない苦しみにおそわれます。ゼウスの妻ヘラが、お産の女神エイレイテュイアを、オリュンポスの金の雲の下に引きとめていたからです
- 女神たちは、虹の女神イリスを使いに出し、長さ9キュビットの金の首かざりをお礼に約束して、エイレイテュイアをこっそりつれてこさせました
- エイレイテュイアがデロスに足をおろすと、レトはヤシの木に両腕をまわし、やわらかい草地にひざをつきます。大地はよろこんで笑い、子は光の中へとびだしました
- 女神たちは、あまい水で子を洗い、白い布でくるんで、金の帯をしめました

メル美お産の神さまを、首かざりでこっそりつれてきた…! 女神たちのチームワークだね。
3. 「竪琴と弓は、わたしのもの」
- レトは乳をあたえず、おきての女神テミスが、神の飲みものネクタルと食べものアンブロシアをあたえました
- それを口にしたとたん、アポロンは、金のひもでも、帯でも、とどめておけなくなり、むつきの結び目はみなほどけてしまいます
- そして、女神たちの中で言いました。「竪琴と、曲がった弓は、いつもわたしのものだ。そして、ゼウスのたしかな意志を、人間に告げよう」
- アポロンが大地を歩きだすと、女神たちはみなおどろき、デロスは金でいっぱいになりました

プレ男生まれてすぐに自己紹介! 竪琴と弓と予言、これがアポロンの3点セットなんだ。
4. デルポイの大蛇と、「ピュト」の名前
- アポロンは、神託(予言)のための神殿を建てる場所をさがし、パルナッソス山のふもとのクリサにたどりつきます。「ここに、人間のための神託所を建てよう。たしかな助言を、わたしの神殿で答えよう」
- 近くの泉には、ふくれあがった大きな牝の大蛇がいて、人間や羊に大きな害をあたえていました。この大蛇は、むかしヘラから怪物テュポンをあずかって育てたこともありました
- アポロンは強い弓でこの大蛇を射ました。「ここで、人を養う大地の上で、くさってしまえ」
- 太陽の力で大蛇はそこでくさりはてたので、その場所は「ピュト」、アポロンは「ピュトの(ピュティオス)」とよばれるようになった、と讃歌は説明しています(英訳の説明によると、ギリシャ語の「くさる」にかけた名前です)
5. イルカの姿で、神官をつれてくる
- 神殿に仕える人をさがしていたアポロンは、海を行く船を見つけます。乗っていたのは、ミノスの都クノッソスのクレタ人たちで、商売のためにピュロスへ向かっていました
- アポロンはイルカの姿になって船にとびのり、大きくおそろしい怪物のように横たわります。船乗りたちはイルカを海に投げ落とそうとしますが、アポロンは船をゆさぶって、ふるえあがらせました
- 船は風にはこばれ、アポロンのみちびくまま、クリサの港に着きます。アポロンはクレタ人たちに「わたしはゼウスの子、名はアポロン。あなたたちは、ここで、多くの人がうやまうわたしの神殿をまもるのだ」と正体を明かし、神殿に仕える者にしました。そして「はじめに、イルカの姿で船にとびのったのだから、アポロン・デルピニオスとしてわたしに祈れ」と言い、浜の祭壇も「デルピニオス」とよばれることになりました
6. 弟ヘルメスとの竪琴
- 『ホメロス風讃歌』第4歌では、アポロンの牛をぬすんだ赤ちゃんの弟ヘルメスが、竪琴をひいてアポロンをよろこばせ、竪琴をおくって仲なおりします(くわしくはヘルメス)
- 竪琴の名手としてのアポロンは、ミダス王の「音楽くらべ」の話にも登場します

『ホメロス風讃歌』のアポロンは、生まれてすぐに「竪琴と曲がった弓はいつもわたしのもの。ゼウスのたしかな意志を人間に告げよう」と言っています。
まとめ
- アポロンは、ゼウスとレトの子。竪琴と弓と予言の神
- どの土地にもことわられた母レトは、小さな島デロスで、9日9晩苦しんだすえ、ヤシの木の下でアポロンを生んだ
- 神の食べものを口にすると、むつきをやぶって「竪琴と弓はわたしのもの、ゼウスの意志を告げよう」
- デルポイ(ピュト)で大蛇を射て神託所を建て、イルカの姿でクレタ人の船をみちびいて神官にした
- 円盤投げの事故で花になったヒュアキントス、息子で医術の神のアスクレピオス、月桂樹になったダプネ、弟のヘルメス、父のゼウス、太陽の馬車をめぐるパエトンの記事もどうぞ
参考文献
- Homeric Hymns, III. To Delian Apollo; To Pythian Apollo(英訳:Hugh G. Evelyn-White、1914年). Hesiod, the Homeric Hymns, and Homerica. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/348 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Nikon Painter, Terracotta lekythos (oil flask), ca. 460–450 BCE(53.224、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/254795 (閲覧日:2026年10月10日)
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