
プレ男「月桂樹」になった女の人の神話があるって、ほんと?

メル美アポロンと、月桂樹になったダプネのお話があるんだって。でも、ダプネはアポロンのことが好きじゃなかったの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話のダプネです。オウィディウス『変身物語』第1巻(B.モア英訳、1922年、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)を読みました。英訳では、アポロンは「ポイボス」、エロスはローマの名で「クピド」とよばれています。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

「テトラドラクマ銀貨:月桂冠をかぶったアポロンの頭(表)」紀元前466〜422年、シチリア島レオンティノイでつくられた銀貨。クリーブランド美術館所蔵(CC0)
プロフィール
| ダプネ | 川の神の娘。森で狩りをして、だれとも結婚しないことをのぞんだ |
| お手本 | 結婚しない狩りの女神ディアナ(アルテミス) |
| 追いかけた神 | アポロン(ポイボス) |
| 原因 | クピド(エロス)の金の矢と鉛の矢 |
| さいご | 月桂樹になった |
1. 金の矢と鉛の矢
- 大蛇ピュトンをたおしたばかりのアポロンは、弓をひいている小さなクピドを見て、ばかにしました。「いたずら小僧が、りっぱな武器をもってどうする。弓は、けものや敵をたおす大きな神々のものだ。おまえは、たいまつで恋の火でもつけていればよい」
- クピドは答えました。「アポロンよ、あなたの弓は世界のすべてをうつでしょう。でも、わたしのこの小さな矢は、あなたの胸をつらぬきます」
- クピドは、2本の矢をとりだしました。恋をおこす金の矢と、恋をしりぞける鉛の矢です。鉛の矢でダプネを、金の矢でアポロンを射ました

メル美ばかにされたしかえしで、ふたりの気持ちを正反対にしちゃったんだ…。
2. 「ずっとひとりでいさせて」
- ダプネは、恋という言葉さえきらい、森のかげで狩りをよろこびました。結婚しない狩りの女神ディアナのように、髪をリボンでたばね、だれの求愛も聞こうとしませんでした
- 父の川の神は「むこがほしい。孫の顔が見たい」と言いましたが、ダプネは父の首にだきついてたのみました。「お父さま、わたしをずっと結婚しないままでいさせてください。ユピテルも、ディアナが生まれたとき、そうゆるしたのですから」。父はその願いをみとめました
3. にげるダプネ
- けれども、アポロンはダプネを見て、恋の火にもえました。ダプネは、風よりもはやくにげ、よびかけにもふりかえりません
- アポロンはさけびました。「とまってくれ。わたしは敵ではない。羊がオオカミから、鹿がライオンからにげるように、だれもがおそろしい相手からにげる。でも、わたしが追うのは恋のためだ」「わたしはデルポイの神で、ユピテルの子。医術を考えだしたのもわたしだ。それなのに、この傷をなおす薬草はない」
- それでも、ダプネはおそれてにげつづけました。英訳はふたりを、「ウサギを追う猟犬」にたとえています。「ひとりは希望をもって追い、ひとりはおそれてにげた」

プレ男アポロンは「恋のため」って言うけど、ダプネはこわくてにげてる。相手がいやがってるのに追いかけるのは、ちがうよね。
4. 月桂樹へ
- 力がつきたダプネは、父の川を見つめて祈りました。「お父さま、助けて。わたしをきずつけたこの姿を、変えてください」
- 祈りがおわらないうちに、体は重くなり、うすい木の皮が体をつつみ、髪は葉に、うでは枝に、はやかった足は根になって地面にしっかりとどまりました
- アポロンは、木になってもその姿をいとしく思い、こう言いました。「おまえはわたしの妻にはなれないが、わたしの木になるのだ。月桂樹よ、おまえの葉は、いつもわたしの髪を、竪琴を、矢筒をかざるだろう。ローマの将軍たちが勝利の行列でカピトリウムの丘をのぼるときも、おまえがかぶせられる。わたしの若い髪が切られないように、おまえも、いつも緑の葉をたもつだろう」
- 月桂樹は、つくられたばかりの枝をかたむけ、うなずいたように見えた、と書かれています

『変身物語』では、ダプネが父の川の神に祈ると、髪は葉に、うでは枝に、足は根になり、月桂樹に変わりました。
まとめ
- ダプネは、川の神の娘で、だれとも結婚しないことをのぞんでいた
- アポロンにばかにされたクピドが、アポロンに金の矢、ダプネに鉛の矢を射た
- アポロンに追いかけられたダプネは、父に祈って月桂樹になった
- アポロンは、月桂樹の葉を、自分の冠と竪琴と矢筒のかざりにすると定めた
- アポロンが愛し、花になった若者ヒュアキントス、月桂樹を自分の木にしたアポロン、ダプネがお手本にしたアルテミス、同じ『変身物語』のナルキッソスもどうぞ
参考文献
- Ovid. Metamorphoses, 1.452–567(英訳:Brookes More、1922年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.02.0028:book=1:card=452 (閲覧日:2026年10月10日)
- クリーブランド美術館. Tetradrachm: Head of Apollo, laureate (obverse), Leontinoi, 466–422 BCE(1917.988.a、CC0). https://clevelandart.org/art/1917.988.a (閲覧日:2026年10月10日)
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