
プレ男アルテミスって、狩りの女神さまだよね。弓矢を持ってる。

メル美アポロンのふたごなんだって。強いけど、泣いてお父さんにかけよる場面もあるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回はギリシャ神話のアルテミスです。『ホメロス風讃歌』第5・27歌(H.G.エヴリン=ホワイト訳、1914年、プロジェクト・グーテンベルク)と、ホメロス『イリアス』21巻(A.T.マレー訳、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)の英訳を読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

「子鹿をつれたアルテミスの石灰岩の小像」紀元前310〜30年、キプロス。石灰岩。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 立場 | 狩りと弓の女神。「野のけものの女王」 |
| よび名 | 「金の矢の」「犬をはげます者」「鹿を射る者」「けがれのない乙女」 |
| 父母 | 父ゼウス、母レト |
| きょうだい | ふたごの兄弟アポロン |
| 好きなもの | 弓、山でけものを狩ること、竪琴、踊り、さけび声、木かげの森、正しい人びとの町(『ホメロス風讃歌』第5歌) |
1. 山をかけめぐる金の弓
『ホメロス風讃歌』第27歌です。
- 「わたしはアルテミスをうたう。金の矢をもち、犬たちをはげまし、けがれのない乙女で、鹿を射る、弓を楽しむ女神。金の剣のアポロンの、実の姉妹」
- 「かげの多い丘や、風のふく峰で、彼女は金の弓を引き、狩りをよろこんで、するどい矢をはなつ」
- 「高い山の頂はふるえ、しげった森は、けものたちのさけびでおそろしくこだまする。大地もふるえ、魚の群れる海もふるえる」
2. 狩りのあとは、兄の館で踊りを
- 心ゆくまで狩りを楽しむと、アルテミスは弓の弦をゆるめ、デルポイの兄アポロンの大きな館へ行きます
- そこで、曲がった弓と矢をかけておき、美しく着かざって、ムーサたちとカリスたちの踊りの先頭に立ってみちびきました
- 女神たちはみな、「足首の美しいレトが、考えでもおこないでも、不死の神々の中でいちばんすぐれた子どもたちを生んだ」ことをうたうのでした

メル美昼は山で狩り、そのあとは歌と踊り。アルテミスの1日って、かっこいい!
3. 愛の女神も、心を動かせない
- 『ホメロス風讃歌』第5歌「アフロディテへ」は、愛の女神アフロディテの力でも心を動かせない女神が3柱いる、とうたいます。アテナ、ヘスティア、そしてアルテミスです
- 「金の矢の狩人アルテミスを、ほほえみを好むアフロディテは、愛でしたがわせることができない。彼女は弓と、山でけものを狩ることを愛し、竪琴と、踊りと、するどいさけび声と、木かげの森と、正しい人びとの町を愛するから」
4. ヘラに自分の弓でたたかれる
『イリアス』21巻468〜513行。トロイア戦争で、神々どうしが戦う場面です。
- 兄アポロンは、おじのポセイドンとは戦えないと言って身を引きます。アルテミスは兄をなじりました。「にげるのね、遠矢の神。ポセイドンに勝ちをゆずって。おろか者、その弓は風みたいに役に立たないの?」
- それを聞いたゼウスの妻ヘラが怒ります。「わたしに立ち向かうつもりか。ゼウスは、女たちにとってのライオンとしておまえを作ったけれど、山でけものや鹿を殺しているほうがいい」
- ヘラはアルテミスの両手首をつかみ、肩から弓と矢筒を取りあげて、ほほえみながら、その弓で耳のあたりをたたきました。矢がばらばらと落ちます
- アルテミスは、タカからにげるハトのように、泣きながらにげ、弓も矢もそこにおいていきました。母レトが、ちらばった弓と矢をひろい集めます
- アルテミスは、オリュンポスの父ゼウスのひざにすわって泣きました。ゼウスはだきよせて、やさしく笑いながらたずねます。「天の神々のだれが、おまえにこんなひどいことをしたのだ」。アルテミスは「あなたの奥さんよ、お父さま。白い腕のヘラ」と答えました

プレ男狩りの女神が、泣いてお父さんのひざに…! 神さまの家族げんかも、人間みたいだ。

『ホメロス風讃歌』のアルテミスは、狩りを楽しんだあと、デルポイの兄アポロンの館で弓をかけ、ムーサたちの踊りをみちびいています。
まとめ
- アルテミスは、ゼウスとレトの子で、アポロンのふたご。狩りと弓の女神
- 金の弓で山をかけめぐると、峰がふるえ、森がこだまする
- 狩りのあとは、デルポイの兄の館でムーサたちの踊りをみちびく
- 愛の女神アフロディテも、アルテミスの心を動かせない
- 『イリアス』では、ヘラに自分の弓でたたかれ、泣いてゼウスのひざにかけよった
- ふたごのアポロン、父のゼウス、ヘロドトスがアルテミスにたとえたエジプトのネコの女神バステト、カリュドンのイノシシ狩りのアタランテの記事もどうぞ
参考文献
- Homeric Hymns, V. To Aphrodite, 16–20; XXVII. To Artemis(英訳:Hugh G. Evelyn-White、1914年). Hesiod, the Homeric Hymns, and Homerica. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/348 (閲覧日:2026年10月10日)
- Homer. The Iliad, Book 21, 468–513(英訳:A.T. Murray). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0134:book=21:card=468 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Limestone statuette of Artemis with a fawn, Cypriot, 310–30 BCE(74.51.2742、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/242293 (閲覧日:2026年10月10日)
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