
プレ男ヒヤシンスの花って、神話から名前がついてるの?

メル美ヒュアキントスっていう若者のお話なんだって。アポロンの悲しい事故のお話なの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話のヒュアキントスです。オウィディウス『変身物語』第10巻(B.モア英訳、1922年)と、アポロドーロス『ビブリオテーケー(ギリシャ神話)』(J.G.フレイザー英訳)を、ペルセウス・デジタル・ライブラリーで読みました。『変身物語』では、竪琴の名手オルペウスが歌う物語のひとつとして語られます。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

「青いヒヤシンスと黄色いスイセン」(『花の画集(フロリレギウム)』18葉の裏)1608年、フランス。ヴェラムに水彩など。クリーブランド美術館所蔵(CC0)。いまのヒヤシンスの絵です。神話の花がいまのヒヤシンスと同じかどうかは、英訳(「ユリのようで、色が紫」)からはわかりません
プロフィール
| 出身 | スパルタ(『変身物語』) |
| 親 | ミューズのクレイオとピエロスの子とも(アポロドーロス1.3.3)、スパルタの王アミュクラスの子とも(アポロドーロス3.10.3) |
| 愛した神 | アポロン |
| さいご | 円盤があたって命を落とした |
| 変わったもの | 紫の花。花びらに「AI AI」の文字 |
1. 竪琴も弓もわすれて
- 『変身物語』によると、アポロンは、ほかのだれよりも深くヒュアキントスを愛していました
- アポロンは、自分の神託所デルポイをるすにして、スパルタのエウロタス川のほとりへ通いました。「竪琴も弓も、もう心をみたさなかった」。神の威厳もわすれて、網をかつぎ、犬の綱をひいて、ヒュアキントスといっしょにけわしい山をかけまわりました

メル美大事な仕事をわすれるくらい、いっしょにいたかったんだね。
2. 円盤投げ
- 太陽が空のまんなかにのぼったころ、ふたりは円盤投げのなかよしの勝負をしました
- まずアポロンが、ねらいさだめて円盤を投げると、円盤は雲をきりさいて飛び、やがて地面に落ちました
- ヒュアキントスは、はりきって円盤をとりに走りました。ところが、かたい地面ではねかえった円盤が、ヒュアキントスの顔にあたってしまいました
- 神の顔は、若者と同じくらい青ざめました。アポロンは、薬草で手当てをしましたが、もうまにあいませんでした
3. アポロンのなげき
- 「ヒュアキントス、若さのさかりにたおれてしまった。この手が、おまえに罪もない死をあたえてしまった」
- 「でも、いっしょにあそんだことが、あやまちと言えるだろうか。おまえを愛したことが、あやまちと言えるだろうか。おまえのかわりに命をさしだせたら、いっしょに死ねたら」
- 「運命がそれをゆるさないのなら、おまえはいつもわたしとともにいる。わたしの竪琴と歌は、いつもおまえをたたえるだろう。おまえは新しい花になり、その花びらには、わたしのなげきがしるされるだろう」

プレ男神さまでも、事故はどうにもならなかったんだ…。アポロン、つらかっただろうな。
4. 紫の花
- アポロンがそう歌うと、地面の草をそめていたヒュアキントスの血は、ティルスの紫よりも美しい花に変わりました。「紫と白のちがいがなければ、ユリと見まちがえるほど」だったといいます
- アポロンは、花びらに自分のなげきの言葉を書きしるしました。「AI, AI(アイ、アイ=ああ、ああ)という文字が、花にきざまれている」
- 『変身物語』は、「スパルタは、ヒュアキントスを自分の子としてほこりにし、その名声はいまもつづき、毎年まつりがひらかれる」と書いています

『変身物語』では、ヒュアキントスの血が紫の花に変わり、アポロンはその花びらに、なげきの言葉「AI, AI」を書きしるしました。
まとめ
- ヒュアキントスは、アポロンが愛したスパルタの若者
- アポロンは竪琴も弓もわすれて、ヒュアキントスと山をかけまわった
- 円盤投げのとき、はねかえった円盤にあたって命を落とした
- その血は紫の花に変わり、花びらには「AI, AI(ああ、ああ)」とアポロンのなげきがきざまれた
- 愛した神アポロン、同じく花になったナルキッソス、月桂樹になったダプネもどうぞ
参考文献
- Ovid. Metamorphoses, 10.162–219(英訳:Brookes More、1922年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.02.0028:book=10:card=162 (閲覧日:2026年10月10日)
- Apollodorus. The Library(英訳:J. G. Frazer、1921年), 1.3.3; 3.10.3. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022 (閲覧日:2026年10月10日)
- クリーブランド美術館. Blue Hyacinth and Yellow Narcissus, folio 18 (verso), from Florilegium, 1608(1963.594.18.b、CC0). https://clevelandart.org/art/1963.594.18.b (閲覧日:2026年10月10日)
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